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刺身にプロテインバー!? 愛媛のハモが今アツい

全国有数の水揚げ量
  • 2023年06月23日

「梅雨の水を飲んでうまくなる」とも言われ、梅雨の時期から夏にかけて旬を迎えるハモ。
京都や大阪で古くからよく食べられてきました。 

そんなハモが今、愛媛でも気軽に食べられるようになってきているそうです。 
どんなことになっているのか、取材しました。

(NHK松山放送局 清水真紀子) 

愛媛は水揚げ全国トップクラス 

ハモの消費自体は関西地方が多いものの、水揚げ量を見ると実は愛媛県は全国トップクラスを誇ります。 
京都市中央卸売市場の産地別取扱量を見ると、愛媛県は年間およそ162トン。 
これは兵庫県に次いで全国2位の量です(令和3年度)。 

しかし愛媛で水揚げされたハモの多くは、これまで地元ではあまり消費されてきませんでした。

骨はどこへ? 新感覚のハモ 

それが今、じわじわと県内でも広がっているというのです。 
産地ならではの食べ方をふるまっている松山市内の和食店を訪ねました。

これが店の看板メニュー「生ハモ出汁茶漬け」。 
ハモの刺身が乗ったご飯に出汁をかけていただきます。 

おいしそう♪ 
…と、ここまで読んで「刺身?」と不思議に思った方はいませんか? 

関西の料亭などで出される代表的なハモ料理、「ハモの落とし」を想像してみてください。 
細かい骨を丁寧に“骨切り”して、食べやすくしています。 

ハモは骨が非常に多く、小骨だけで約600本もあると言われています。 
その小骨もY字になっていて身に食い込でいるため、抜くことが難しく、身ごと細かく切り目を入れる“骨切り”がされてきたんです。 

しかし今回訪ねた松山の和食店の店主の塩沢研さんは、このY字の骨をピンセットを使わずに包丁で取り除く技を習得したんだそうです。 

ハモの骨

(和食店店主・塩沢研さん)
「Y字の骨が入っているので、どっちの方向から引っ張っても抜けません。そこでYの形に包丁を入れていくんです」

塩沢さんは、かつて修行していた岐阜県でこの技を身につけたといいます。 
そしてハモをはじめ、愛媛で取れる良質な海鮮に惚れ込み、14年前に移住。 
6年前に海鮮をお茶漬けで出すこの店を開業しました。 

塩沢さんは店を経営する傍ら、“骨取り”の技術を広めたいと料理人たちに教えてきました。 
その活動が広がり、3年前には骨取りしたハモを「技ありハモ」と名付けて新たな愛媛の名産にしようというプロジェクトが始動しました。 

プロジェクトの認定を受けた飲食店などは、現在愛媛県内で41店舗にまで広がっています(2023年6月現在)。 
骨がないことを生かして、「ハモのかば焼き重」や「ハモのチリソース」など、料理の幅も広がっています。 

増えたハモ料理のバリエーション

(和食店店主・塩沢研さん)
「関西などで骨切りされるハモは1キロ以下の小さい物が多いんです。それは骨が切りやすいから。それより大きいハモは流通されないから捨てられることもありました。でも骨取りの技術が広まれば、今は捨てられる大きいハモも売り物になります。だから愛媛の料理人に技術を広めているんです。愛媛のハモを食べる人を増やしていきたいですね」

タンパク質に注目した人も

 愛媛のハモは飲食店以外でも注目されています。 

新居浜市にある整体院兼パーソナルジムに置かれていたのは…
ハモのプロテインバーです。 

2023年3月の販売開始以来、地元の筋トレ愛好家を中心に人気が広がっています。

 

(ジムオーナー・薦田剛志さん) 
「朝ご飯やトレーニング後に食べます。仕事の合間に食事取る時間がないとき、パッと食べられてタンパク質を補給したりとか。本当に便利ですね。ジムのお客さんにもお勧めしたところ、“これだったら食べられる”と言って1ヶ月分30本買っていく方もいます」

開発したのは四国中央市の老舗かまぼこ店です。 専務の青木真理さんが、地元の漁業関係者から「ハモが大量に獲れるが買い手がつかない上、網を食い荒らすため困っている」という声を聞いたのが開発のきっかけでした。 

(かまぼこ店専務・青木真理さん)
「かまぼこの原料の魚を仕入れている漁業関係の方から、近年ハモなど、以前は取れなかった魚がたくさん取れると聞きました。ハモはなかなか一般的に売るのが難しい魚なので、それをなんとか利用できないかというところから商品開発を始めました」

新商品を考える過程で、青木さんが注目したのは、ハモに豊富に含まれているタンパク質です。
近年のプロテインブームを受けて、かまぼこではなく、プロテインバーとして売り出すことで時流を捉えた商品が誕生しました。 

(かまぼこ店専務・青木真理さん) 
「常温保存可能で持ち歩きできる商品なので、今後、トレーニングジムやサイクリング施設、お土産店などでも広く販売していきたい。より多くの人に愛媛のハモを食べてもらえたらと思っています」

取材を終えて 

水産王国・愛媛県。
タイや養殖ブリが有名ですが、私自身、ハモのイメージは持っていませんでした。 
取材を始めてみると、多くが関西に出荷されるためか、愛媛でよく取れるということ自体、地元ですらまだ広く知られていない印象でした。
漁業関係者に聞いてみると、特に骨切りに向かない大きなハモは買い手がつかず、捨てられることもあったそうです。 
そんな状況を変えたいと立ち上がった、塩沢さんと青木さん。
今後、骨を取ったハモが広く食べられるようになり、プロテインバーのような手軽な商品が親しまれていけば、「愛媛でハモ」というイメージが定着する日は着実に近づいていると感じました。

  • 清水真紀子

    清水真紀子

    2021年入局のディレクター。ふだんは「ひめポン!」や「四国らしんばん」など番組制作にかかわる。

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