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活断層、揺れだけ? ○○にも警戒を

  • 2023年09月04日

熊本地震などの地震を引き起こしてきた活断層。 

専門家の調査で 揺れとは別のリスクの存在が浮き上がりました。

(熊本放送局 記者 西村雄介)

活断層、揺れのイメージだけど…

2度の震度7の揺れを観測した熊本地震を引き起こした活断層。

発生したのは7年前ですが、当時のあの揺れに大きな衝撃を受け、記憶に強く残っている人も多いのではないでしょうか。

記者の私も発生した時、熊本市内にいましたが、あの揺れは忘れられません。

揺れのイメージが大きい活断層ですが、先月、その印象を覆す調査の結果がわかりました。

大雨で崩れた斜面は…

調査をしたのは、熊本大学の鳥井真之特任准教授。

地震の被害をもたらした活断層の調査を続けています。

調査を行ったのは、益城町と西原村。

2023年7月、2度の線状降水帯が発生した大雨で被害を受けた地域でした。

町、村の山沿いや川など、一帯を車で回った鳥井准教授。

結果、寺に土砂が流入した益城町の赤井地区など、土砂崩れが発生した3か所の斜面を見つけます。

この3か所について分かったのは、活断層の真上に位置し、熊本地震の発生で亀裂が生じていたとみられる場所だったことです。

活断層図を使って

この結果を導くために、鳥井准教授が用いたのは、国土地理院の「都市圏活断層図」です。

県内に活断層がどのように通っているかが分かる地図です。

この図に3つの場所をあわせてみると…。

活断層の真上に位置していたことがわかります。

この活断層上には亀裂が入った場所が多数見つかっていて、今回の3か所も、亀裂が入ったとみられる場所で崩れていたことがわかりました。

活断層、雨にも警戒を

鳥井准教授によると、活断層がずれ動いたり、強い揺れが生じたりすることで亀裂が生まれ、そこに雨が染み込むと地盤が弱くなって崩落が発生しやすくなるとのこと。

鳥井准教授撮影の崩落した斜面

亀裂が埋まるには長い年月が必要で、7年前に発生した地震の亀裂が埋まるまでには至っておらず、揺れだけでなく雨にも警戒する必要があるとしています。

行政による斜面の補強といった対策は進んでいるものの、すべてを防ぐには限界が。

(熊本大学 鳥井真之 特任准教授)
「活断層があるところとないところでは土砂が崩落するリスクが異なり、住んでいる場所がどのような場所にあるのかを確認をすること、早めの避難をすることが大事です」

揺れのイメージがある活断層の別のリスク、なお残る地震の影響を明らかにした今回の大雨。

教訓として活かすために改めて、住んでいる場所のハザードマップを確認するのは、いかがでしょうか?

  • 西村雄介

    熊本局記者

    西村雄介

    2014年入局 熊本局が初任地。公式確認60年となる2016年から水俣病を継続取材。熊本地震・令和2年7月豪雨を発生当初から取材。

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