手塩にかけたコメ、廃棄処分に
- 2023年08月13日
「力が抜けていった。熊本地震の時よりもひどい」
九州各地で浸水被害などが発生した7月の大雨から1か月。
被災地となったのは、7年前の熊本地震でも被害を受けた益城町など。
復興を目指して歩んできた町の人たちはいま、新たな困難に直面しています。
(熊本放送局 記者 山本未来)
手塩にかけたコメが
「堤防の土手があるでしょう。流木なんかがここにも入ってきた。こっちには20~30センチの泥が。だから、この泥を撤去しなければいけない。田んぼが作れないようになる」
益城町の山本直さん。町を流れる木山川に面する地区でコメ農家を営んできました。
秋の収穫を目指すなかで、見舞われた7月3日の大雨。
およそ20ヘクタールの田んぼのうち、4分の1が浸水し、植えたばかりの苗が被災しました。
年間100トンを生産していましたが、ことしは7割ほどに落ち込むといいます。
(花田直さん)
「力が抜けていった。熊本地震の時も田んぼは被害を受けたが、今回ほどではなかった。周りからもおいしいと言われるコメで、それだけに、何も考えることができませんでした」
残る被害の爪痕
浸水被害や土砂災害などが県内で相次いだ7月の大雨。
7年前の熊本地震で被害を受け、復興への歩みを進めていた益城町も被災し、農地や道路の復旧が課題となっています。
崩落した県道。
積まれたままの土のう。
1か月たった今でも、被害の爪痕が残っています。
特に深刻な被害を受けたのが、基幹産業でもある農業でした。
県のまとめでは、農業用ハウスの損壊、農地への土砂流入などでおよそ73億円の被害、町のまとめでも、田んぼ200ヘクタール、畑14ヘクタールの農地、農道にも被害が確認されました。
頼みの綱は
花田さんが受けた被害は、田んぼ以外にも。
稲を乾燥させる機械などを置いていた倉庫が浸水。
機械だけで、およそ6000万円の被害が出ました。
(花田直さん)
「ここにコメをあげていた。全部上げて積んでおいた。そうしたら一番下が(水に)つかって、袋が破けてパタッと倒れて。廃棄処分」。
そして、保管していたコメも。
倉庫の浸水で廃棄せざるを得ませんでした。
頼みの綱である国からの補助金が出るかどうかは、まだ決まっていません。
町は、国が被害の規模などを確認する災害査定に向けた準備を進めています。
(花田直さん)
「助成金などが出れば助かるが、機械の入れ替えを進めて、来年に向けて頑張らなきゃしょうがない」