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あなたが買う飲み物1本が誰かを助けるかもしれません

  • 2023年08月10日

街なか、道路脇、建物の中など至る所にある自動販売機。
実は自動販売機の中には、飲み物を買うことで誰かを助けることにつながるものもあります。
あなたが買う飲み物1本が、巡り巡って、見知らぬ誰かを助けているかもしれません。
(熊本放送局アナウンサー・石井隆広)

熊本市の中心部、人通りの多い場所にあるこちらの自動販売機。
飲み物を売る・買う以外に、別の役割があります。

実は、売り上げの一部が寄付される寄付型の自動販売機です。

こちらは、スペシャルオリンピックス日本・熊本の活動に寄付される自販機
知的障害のある人たちのスポーツ活動や社会参加を応援する組織です。

さらに、街中を探してみると・・・。
こちらは、2016年の熊本地震で被災した熊本城の復旧費用として寄付されるものです。

こちらは、犯罪被害者などの支援活動を行う団体に寄付されるものです。

通常、自販機で飲み物を買うと、売り上げに応じて自販機を導入しているお店や企業に手数料が入ります。
寄付型自動販売機では、その手数料の一部、例えば飲み物1本につき数円がこうした団体などに寄付されます。


この寄付型自動販売機を頼りにしている団体があります。
熊本市にある「熊本いのちの電話」です。

「生きるのがつらい」「先が見通せない」などの声が毎日届きます。
そうした声を24時間体制で相談員が受け止めます。

「熊本いのちの電話」によりますと、去年(令和4年)1年間の相談件数は9107件にのぼり、このうち希死念慮(きしねんりょ)があると相談員が判断したケースはおよそ2割にあたる1708件でした。

受話器を置くとすぐ次の電話がかかってくる状況が続いていて、「電話を受けきれていない」と言います。

熊本いのちの電話・赤星敦事務局長
「電話相談は1日2回線ありますが、1回線しか相談員のシフトが埋まらないこともあるので、もっと相談員の数が多くて、2回線フルに受信できるようになれば、もっと相談を受ける件数が増えます」

しかし、相談員の数や回線の数を増やそうにも、資金面などの理由から難しいと言います。
運営資金の大半は、個人や法人からの寄付で賄っていて、相談員は全てボランティアです。
さらに、相談員になるためにはカウンセリングなどの専門の研修を受けなけれなばなりませんが、2年でおよそ3万円の受講料などは、予算の都合もあり相談員の皆さんに負担してもらっています。


「ボランティアの負担を軽くし、相談員を増やしたい」
そこで着目したのが、寄付型自動販売機でした。

熊本市にある建設会社では、「熊本いのちの電話」を支援する寄付型自動販売機を4年前から設置しています。

本社に1台、そして建設現場にも1台設置して熊本いのちの電話を支援しています。

「水分補給をせなんけん。ちょうどよかですよ。現場では売れ行きははよかですよ」

「毎日暑いんで、特に最近は買っています。うちの会社もいいなと思います。社会的に貢献できるなら。私ももっと貢献できるようもっと買います」

建吉組総務課・竹内拓矢さん
「建設現場には多くの専門工事業の方々も入ります。そうした各協力会社の方に周知していくことでより大きな輪ができてくるのではないかと思い、今後も推進していければと考えています」


熊本いのちの電話では、今では県内35の企業や団体に寄付型自販機の設置を広め、その寄付金は運営費全体の1割を賄うまでになりました。しかし・・・。

熊本いのちの電話・赤星敦事務局長
「相談員を養成するための講座の費用に加えて、電気代、水道代、駐車場代などのランニングコストもあり、運営するための資金は不足がちなので、なんとか資金の拡大のためにいろいろな手立てをやっている最中です」

「鳴りやまない電話に1本でも多くこたえたい」と、熊本いのちの電話では寄付型自動販売機の増設を目指しています。

赤星さんが訪れたのは、熊本市にある通信機器のメンテナンスなどを手掛ける会社です。

この日は、この会社の社長に、すでにある自販機を寄付型に切り替えて支援をしてほしいと伝えました。

そして、無事、「熊本いのちの電話」を支援してくれることが決まりました。

九州電機工業・潮崎浩則社長
「企業側としては社会貢献活動という観点の一環として、少しでもサポートができるということだと理解したので今回取り組ませていただくことにしました」

またひとつ、支援の輪が広がりました。
寄付型自動販売機がひとつ増えると長期での継続的な支援が期待できます。

熊本いのちの電話・赤星敦事務局長
「大変ありがたいです。相談員をたくさん育成して、そして多くの電話をとれるようにしたい。まだ電話をかけたいという方がたくさんいらっしゃるので、そういう方からの電話も少しでも多くとれるようにしていきたい」

何気なく飲む1本の飲み物が、巡り巡って、多くの人を助けることにつながっています。
 

  • 石井隆広

    熊本放送局 アナウンサー

    石井隆広

    熊本県出身
    福井→熊本→東京と経て、2度目の熊本勤務

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