【南阿蘇鉄道】駅長は柴犬！阿蘇白川駅を訪ねる

駅長はモフモフ

ぼくはゆう。しばいぬだよ。

あそしらかわ駅で、3年前から、「えきちょう」ってやつをしてる。
お休みの日だけ、パパがつれてきてくれるんだ。

すきなことは、チーズをたべることと、ちかくの子たちとあそぶこと。
それから、おしごともすき！ぼくのおしごとは、れっしゃをおむかえすることだよ。

この駅にいる、ぼくのだいすきな真理子おばさんといつもいっしょにおむかえしてるんだ。

真理子さんはとってもやさしいの。
れっしゃにいつもニコニコして手をふってる。
ぼくよりもずっと前から、このえきでカフェをやってるんだって。
ぼくは食べられないけど、とってもおいしいみたいだよ。

きしゃのおねえちゃんが、真理子さんにインタビューしてたのをぬすみ聞きしちゃったんだけど、こんなこと言ってた。

ぼくね、3年間、たくさんのれっしゃと、いろんな人を見てきたよ。みんなとってもかわいがってくれた。

えきのホームは日あたりがよくて、いつもねむくなっちゃう。
でもぼくに会いにきてくれた人が、えがおになってくれるのがとってもうれしいから、いつもがんばっておむかえしてるんだ。

こんど、「みなみあそてつどう」は、「ふっこう」っていうのをするんだって！

ぼくもずっと待ってたから、とってもうれしい！
だってこのために、おしごとがんばってきたからね。

真理子さんもうれしいって言ってたの、ぼくきいちゃった。

ちょっとさみしいけれど、これで、ぼくのやく目はひとくぎりかな。パパもまいしゅう、きくよう町からつれてきてくれるのは大変そうだったんだ。

だからね、ぼくがいんたいしたあとも、たくさんの人が来てくれるように、さいごのおしごとまでがんばる！
だからみんな、あいにきてね！

南阿蘇鉄道のむかしばなし

かわいらしい駅長、ゆうくんに会えるのは、6月一杯。7月は全線開通日の15日のみの出勤予定です。

さて、ここからはゆうくんからバトンタッチして、恒例の、むかしばなしのコーナーです。
南阿蘇鉄道がいかに地元に根付き、愛されてきた鉄道であるかを理解するために、この鉄道や南阿蘇村・高森町（＝通称「南郷谷」）にまつわる歴史をひもといていきます。

さて、今回は、阿蘇白川駅周辺の、地域の話をしましょう。

この地域は、「吉田新町」という地区です。
新町と名がつくところは、いっぱんに、その地区の中心地を示します（熊本市の新町エリアも、昔の町並みが残る、かつての中心部ですね）。

ここも、その昔は、江戸時代以降は南郷谷の商業や行政の中心地でした。役場や学校、旅館、料亭、商店、映画館など多くの商業施設が建ち並んでいたそうです。
昭和3年に鉄道が開通した後は、その往来を、より活発にしたことでしょう。

ひとつ、こぼれ話をしましょう。駅の近くには、文房具や本を売っている店がありました。子どもたちが蒸気機関車に乗って阿蘇白川駅まで訪れ、ここで買い物をする。そうしたことも、当時の日常だったそうです。

いまは、商業施設こそほとんどありませんが、村の子どもたちが通う「白水小学校」があります。

かつては中学校や、女学校もこの地域にありました。

南郷谷の人たちの多くは、南阿蘇鉄道（高森線）を通学で使っていたそうです。学校が集まっていたこの駅も、多くの子どもたちが利用していたのでしょう。熊本地震後、通学で利用する人はいなくなりました。全線開通後、学生たちや地域の人たちの利用が戻り、駅がにぎわうことが期待されます。