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山田章仁選手に聞く!ラグビーワールドカップ2023の見どころ!

  • 2023年09月07日

いよいよ開幕するラグビーワールドカップ2023フランス大会!日本代表の初戦は日本時間今月10日(日)午後8時からのチリ戦です。大会を前に、元日本代表で2015年のワールドカップでトライも決めた北九州市出身の山田章仁(やまだ あきひと)選手に見どころや楽しみ方を聞きました!北九州ならではの話題もたっぷり。これを読めばあなたもきっとラグビー通!
(2023年9月7日ニュースブリッジ北九州で放送)

取材 神戸和貴アナウンサー 石井直樹記者

山田章仁選手

八幡東区出身の38歳。小倉高校から慶應義塾大学、トップリーグのパナソニック(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)などでトライゲッターとして活躍。海外リーグやアメリカンフットボールに挑戦した経験も。去年から九州電力キューデンヴォルテクスに所属。主なポジションはウィング。日本代表の主要国際試合に25試合出場。
2015年のワールドカップでは南アフリカ戦に先発出場し、歴史的勝利に貢献。サモア戦でくるりと回ってのトライは「忍者トライ」と呼ばれた。自由な動きでトライを量産する山田選手は、トークも変幻自在!?

直前の強化試合で1勝5敗。本戦に向けて大切なことは。

―いよいよラグビーワールドカップフランス大会が近づいてきましたね!

めちゃくちゃ楽しみです!早く始まってほしいという思いで、なんかカウントダウンしてます(笑)。

―どんなところが楽しみですか??

日本代表が勝ち進んでいくところも楽しみなんですけど、やっぱり大会自体が盛り上がること。今回はフランスですけど、日本開催とはまた違った表情が出るんじゃないかなと思って楽しみです。なんか日本のラグビーもようやくワールドカップというワードが似合う時代になったなと思って、なんかしんみり、いいなあと思いながらですね。

―そのきっかけは、やっぱり2015年の南アフリカ戦の勝利というのはありますよね。

あの頃ね。うん、すごく盛り上がったね。

―その盛り上がりを楽しみにしたいんですが山田さん、日本代表は直前の強化試合とテストマッチで1勝5敗でした。これはどうご覧になりますか?

うーん、ちょっと心配!それはね、正直心配(笑) 。まあでもこればっかりはもう終わったことなんでね。いろいろ勉強することが見つかったと思うので、しっかり本番にいかしてくれるんじゃないかなと思っています。

―なかなか勝てなかった中で本戦に入っていっても、力を発揮することはできそうですか?

できますよ!なんかワールドカップで勝つイメージが日本にはありますよね。なので前の試合は関係なくて、ワールドカップのイメージだけを持っていけば、どんどん勝ち進むんじゃないかなと思います。

―ちなみに山田さんが出場した2015年のワールドカップの前は、チームの雰囲気や完成度はどうだったんですか?

そんな余裕はなかったんでね。今ちょっと思い返すと時間がかかるんですけど…。よかったと思いますよ。勝敗とか全然覚えてませんけど、けっこう勝ってたんじゃないですか?

―はい、そうなんです。勝利が続く中で南アフリカとの初戦に挑む流れでした。

そうですよね。ただまあ別に勝ち負けって、そんなに大した違いってないんです。ただやっぱり勝つことでチームの雰囲気がよくなったり、周りの皆さんもテンション上がってきたりはするんで、当時はすごくいい流れだったんじゃないかなと思います。

あの「ブライトンの奇跡」の裏側には、山田選手の猛アピールが!?

―ちなみに山田さんは「ブライトンの奇跡」と呼ばれた南アフリカ戦で先発メンバーでしたが、直前の試合はずっと出ていないんですよね。これはどうしてだったんです?

そうなんですよ。理由はね、単純に実力不足!ケガじゃないです。Bチーム、控えでチームを盛り上げていました。けど、ワールドカップメンバーに入れていただいて、これでは俺は北九州に帰れん!って思って。どうせならいちばん強い相手に出たい!という思いをね、当時の監督に伝えただけ。

―え!? 伝えたら出られたんですか?(笑)

うん、思いはしっかり伝えたね!

―こういう大きな大会ですと、そういうことも大事になるんですか?!

大事やね!なんかやっぱ小さい頃、小中学生の頃ってね、自分の思ったことを素直に伝えて「なん言いよんか!」みたいな話になると思うんですよ。でも大人になると、ちょっといろいろ考えたり周りの目も気にしたりして、なかなか前に踏み込めない自分がいたりするんです。でもそれだともったいないな!と、この時に思ったんですよね。せっかく北九州というすごく朗らかな大海原で育ったんで、そのままの自分で勝負していこうということで臨みました。

―山田さんのように自分をアピールする選手がどんどん出てくるとおもしろいかもしれないですね。

うん、今までこんな選手いたんだ!みたいな選手がいるといいですね。

プールDを勝ち抜くために、ポイントとなる試合は!?

日本代表のプールD。2チームが決勝トーナメントへ

―日本代表はプールD、世界ランキングは14位で、5チーム中の4番目。決勝トーナメントに進めるのは2チーム。このプールを勝ち抜くポイントはどこですか?(※世界ランキングは2023年8月30日現在)

ポイントかー。いやなんかね、全部勝っちゃう可能性もあるし、負けちゃう可能性もあるんですよね。初出場のチリに対しても。なので1戦1戦、気を抜かずにやることなんじゃないかなと思います。

―日程では初戦が初出場のチリ、次が前回準優勝のイングランド、その次が前回も対戦したサモア、そして世界ランキング6位のアルゼンチンです。

その流れから言うと、やっぱりサモア戦じゃないですか。3試合目だね。まあなんかね、3勝すればだいたい突破みたいな話ですから、2連勝なら勝って早く決勝トーナメントの準備もしていきたいでしょうし、1勝1敗なら勝てば次につながりますし、2敗でもそこから連勝すれば可能性はありますし。

―サモアは2015年に山田さんがトライを決めた試合の相手ですね。

忍者トライね!くるっと回ってましたね(笑)。 まあだからあの試合もですね、南アフリカに勝っていた日本代表でしたけど、サモアにも勝てるみたいな余裕もなく、必死にやっていた思いがありますんで。1戦1戦大事に戦っていけば大丈夫なんじゃないかなと思います。

―サモアは7月のテストマッチで敗れた相手(22対24)ですが、どんなチームですか?

いやサモアってね、多分ラグビーを知らない皆さんにとってはどこ?って感じだと思うんですけど、めちゃくちゃ強いですよ!もう何でしょうね、まあサッカーで言う…サッカーは私詳しくないので、例えられないんですけど(笑)。 最近ちょっと代表になるためのルールが変わったことで、サモア代表になれる選手が増えてきたんですよ。それまでオーストラリア代表やオールブラックス(ニュージーランド代表)だった経験豊富な選手が、今サモアに集まってます。世界ランキングは12位になっていますけど、もう全然ひとけたの実力はありますよ。

―日本の初戦は9月10日のチリ戦です。初出場のチームですがどうでしょうか?

チリはもう「失うものは何もない」的なところで、気合いが入ってガンガン来ると思うんですよ。情報は少ないんですけど、なんだか聞くところによると、フォワードが強いらしいですね。 ラグビーってフォワードが8人のスポーツなんで、フォワードのやり合いで負けちゃうと、試合も負けちゃうパターンがあるんですよ。まあでも、万が一、負けちゃったとしましょう。それでも残り3つ勝てばいいんで、焦ることなく大会を過ごせばいいかなと思いますけどね。

―山田さんの考える日本代表のキーマンは誰でしょう?

本当にみんな一人一人がリーダーなんで、この方ってあげづらいんだけど…。(リザーブの背番号)23番に入ることが多い中村亮土(なかむら りょうと・32歳)選手ですかね。先発メンバーは15人でリザーブが8人ですけど、最近は15人じゃなくて、23人で1試合を戦おうって話になってきてるんですよね。なのでこのリザーブの選手が非常に大事で、その中でもいちばん後ろに控えている中村選手は経験豊富ですから。彼が試合を見た上でのちょっとしたサイドのマネジメントとか、みんなへの声かけは大事なんじゃないかなと思います。 途中出場の選手がどういう働きをするかもポイントになるということですね。

福岡県ゆかりの選手に注目!なんとヘッドコーチまで…

福岡県出身の代表選手はこの4人!

―福岡県出身の選手では、まずプロップの垣永真之介(かきなが しんのすけ・31歳)選手。若手では共にフランカーの、東福岡高校出身の福井翔大(ふくい しょうた・23歳)選手、新たにメンバー登録された下川甲嗣(しもかわ かんじ・24歳)選手。そして副キャプテン、スクラムハーフの流大(ながれ ゆたか・31歳)選手。山田さんが注目する選手は?

いやもう圧倒的に翔大、福井翔大選手ですね。彼はね、高校を卒業して大学に行かずすぐにパナソニックに入団したのかな。一緒に練習しましたけど、やっぱり覚悟があったし、早く代表になってワールドカップで活躍してもらいたいなという思いがずっとあって。今のラグビー界ってね、大学でいろいろ経験積んでリーグワンに入る流れなんですけど、当時高校からすごく大きなチャレンジをして。まあいろいろと周りからね、言われたんじゃないかなと思うんですけど。自分を信じて戦い抜いてポジションを勝ち取って。出るだけじゃなくてこの大会で自分自身を発散させるというか。存分に楽しんでプレーしてほしいですね。

―選手としての魅力は?

オールラウンダーですね。ディフェンスはもちろんいいんですけど、アタックでも走力があるんで、なんかトライを取るシーンとかも出てくるんじゃないかな。チリ戦でもし先発メンバー入りすると、彼がボールを持って走る姿も想像できます。

―20代前半の若い選手の活躍というのは、日本代表にとってどうですか?

もうこの世代が中心になってくる大会なんじゃないですか。これ日本に限らずですけどね、世界の23、4歳ってね、10代で経験して20代に入ってしっかり洗練された選手が多いので、彼もそこに肩を並べて、その世代を引っ張ってほしいなあと思います。

―ひとつ残念なのは北九州市出身の中野将伍(なかの しょうご・26歳)選手が代表メンバーに選ばれていたんですが、ケガのため代表から外れることになりました。

めっっっっちゃショックです!ショックで朝から立ち直れていません。ワールドカップ楽しみな気持ち半減くらいショックです…。北九州市出身としては、やっぱり将伍に出てほしかった。なのできょうお兄ちゃんの裕太(ゆうた)とご飯食べてきましたよ。悔しくてね。先の話ですけど4年後もありますから、ポジティブにやっていくって言ってましたけど。

―山田さんと同じラグビースクール出身なんですよね。

そうなんです!同じグランドで同じ水を飲んで同じボールを蹴って走ってやってきました。いやー、彼には出てほしかったですね。でもね、いちばん本人が悔しい気持ちを持ってると思うんで、本当に次に向けて頑張ってほしいと思います。

―地元ということでは、実はジェイミー・ジョセフヘッドコーチも、現役時代に宗像市のサニックスでプレーされた経験があるという、この地域にゆかりのある方なんですよね。ジェイミーさんの2大会目のジャパンラグビーを山田さんはどうご覧になってるんですか?

彼はね、なかなか答えをみんなに言わずにですね、みんなに探してもらう旅に出ていますね。ようやくその答えを選手が見つける、見つけ出すんですけど、もう就任した頃からそういう指導のアプローチをしていて。選手も最初はどうしたらいいんだろうって感じで、僕もずっとお世話になってたので、あれどこに行けばいいんだろう?って感じはあったんですけど。まあそれがようやく2019年の大会を経てだんだんと目的地がわかって、宝のありかがわかっている感じじゃないですかね。 

―この大会を最後に退任されるということで、最後のワールドカップになりますね。 

だから日本のラグビー界としても、彼が現役の時から福岡に来て、日本のために体を張ってくれたので、いい形で送り出したいですね。

前回北九州で大注目されたウェールズ代表は?

―日本で開催された前回大会では、北九州市とウェールズ代表の関係が注目されました。北九州市で行われた事前キャンプで、スタンドが満員になり、ウェールズの歌が歌われ、試合の日は北九州がウェールズ一色になりました。山田さんも覚えていらっしゃいますか?

覚えてますよ!誘致の時に僕もウェールズのコーチとビール飲みましたもん!いや飲んだだけですけど(笑) 。北九州はいいとこだよって話をさせてもらって、でも多分ウェールズの皆さんが思った以上に盛り上がったんじゃないかなと思いますよね。なんかこれがラグビーのいいところですよね。自国だけじゃなくて自分の好きな国を応援する。

ウェールズが入るプールCも強豪ぞろい

―ウェールズは前回大会4位に。今回はプールCでフィジー、オーストラリア、ジョージア、ポルトガルと同じ組です。どうでしょうか?

フィジーはこの前イングランドにも勝ちましたね。このプールもめちゃくちゃ強いですよ。いやーどこも強いな…。ポルトガルなんかクリスチアーノ・ロナウドが出そうだし…。

―それはフットボール違いです(笑)

失礼しました(笑) 。うん、だからウェールズでも敗退の可能性もあるくらい強いプールだね。決勝トーナメントに行ってほしいね。北九州のみんなが応援しているでしょう!

ラグビーのルールは難しい?初心者の楽しみ方は??

―前回大会は”にわかファン”という言葉が話題になりましたが、山田さんはラグビー初心者の方にどう楽しんでもらいたいですか?

どこでもいいです!ボールを持って走る選手でもいいし、ちょっとハンサムな選手とか、体がこいつすげえかっこいいな!とかそういう入り方でもいいし。タックルで激しい音が聞こえたりするところもいいですから。ラグビーってどこを楽しむとか、どう見ろみたいなのはあんまりないんですよ。なので気軽にこうリラックスして、ぼけーっと見ながら、すごい!こいつすげーな!みたいな。そんなノリでワールドカップ見てもらっていいかなと思います。

―ちょっとルールがよくわからないなという方は?

安心してください、皆さん。僕もわかりません(笑) 。いや選手も難しいんですよ、ルール。最近だとどこにタックルにいったらハイタックルの反則なのか、僕もちょっと今でもわかんない(笑)。 反則の度合いがちょっと変化しました。あとボールが敵陣に転がって、どこから蹴ってどこに出るとどっちボールとか。ちょっとわかんないです(笑) 。

―では難しいところはいったん置いておいていいんですね?

はい、いったん置きましょう。いったん置いて、それ取りに行かなくていいです。忘れてください!気楽に見て楽しんでもらえればいいんです。

―最後になりますが、日本は前回初めてベスト8で、今大会は優勝を目標にしています。目標に向けて大切なことは?

1次リーグでしっかり自分たちの戦いをして、ひとつひとつ強みを自信に変えていく。それで決勝トーナメントに行ったら、もうここからはラグビーボールなんでね、どっち転がるか「運」もあるんで。レフェリーもいますし。しっかり運を引き寄せて、勝てるようにみんなで頑張って進んでほしいですね。

―運も大事ですか!?

ラグビーは運もいるの。だってボールが丸じゃないから!みんなでラグビーワールドカップ、いっしょに盛り上がりましょう!

山田選手、楽しいお話をありがとうございました!

山田選手ならではの自由な見どころ解説、いかがだったでしょうか?ラグビーワールドカップについてもう少し詳しく知りたい!という方は、NHKのラグビーワールドカップ特設サイトをどうぞ!日本代表や出場チームの情報のほか、これまでの名場面や用語、ルールなども掲載されています。

  • 神戸和貴

    北九州放送局 アナウンサー

    神戸和貴

    愛知県出身、2011年入局
    野球を中心にスポーツを取材。ワールドカップではチリ戦のラジオ実況を担当。

  • 石井直樹

    北九州放送局 記者

    石井直樹

    2019年入局
    北九州局が初任地
    ラガーマンの体を目指して筋トレ中(お腹ぽっちゃり)

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