【症状別】動悸・胸痛・息切れ・むくみがあるときの心臓の検査

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不整脈狭心症心不全動悸(どうき)がする胸が痛い息切れがする・息苦しい胸・心臓

突然死の多くは、心臓の病気が原因で起こります。突然死を防ぐためにも、日頃から心臓の異常に早めに気づき、適切な検査で心臓病を早期発見することが大切です。「動悸」「胸の痛み」「息切れ・むくみ」という代表的な心臓の異常を示す症状があるとき、どんな心臓の検査があるのか解説します。

「動悸」があるときの心臓の検査

人は緊張したり興奮したり、運動をしたりすると、誰でも脈が速くなって動悸を感じます。これは生理的な現象で、特に心配はいりません。ただし、動悸の中には、背景に何らかの病気が隠れている場合もあり、最も多いのが不整脈です。

不整脈には、1日中、脈の異常が続くものや発作的に起こるもの、運動時に起こるもの、安静時や就寝時に起こるものなど、様々な種類があります。あまり心配しなくていいタイプの不整脈もありますが、なかには心臓突然死を引き起こすような危険な不整脈もあるので、注意が必要です。

不整脈の主な検査

ホルター心電図検査

胸に数か所電極を貼り付け、携帯型のホルター心電計を装着して24時間ふだん通りの生活を送り、どのような場合に不整脈が起こるかを調べる検査です。最近では、非常に小型のホルター心電計や防水タイプのものも登場しています。

運動負荷試験

医師の立ち会いのもと、トレッドミルと呼ばれるベルトの上を歩き、運動中の心電図を記録します。不整脈のほか、狭心症の発見にも役立つ検査です。

電気生理学的検査

電極のついたカテーテルを脚の付け根や鎖骨の下の血管から挿入して心臓の内部に送り込み、心筋の電気活動を直接調べる検査です。不整脈と診断されたあと、その危険度や心臓のどの部位で不整脈が発生しているのか詳しく調べることができます。局所麻酔か全身麻酔をして行い、通常3日程度の入院が必要です。最近では、カテーテル電極焼しゃく術(カテーテルアブレーション)という治療と併せて行われることがほとんどです。

「胸の痛み」があるときの心臓の検査

狭心症・心筋梗塞の主な検査

締めつけられるような胸の痛みがあるときに最も疑われるのが、狭心症と心筋梗塞です。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合には、まず問診で症状や生活習慣病の有無を確認し、心電図検査運動負荷試験などが行われます。さらに、診断を確定するためには、冠動脈CT検査や冠動脈造影検査、心筋シンチグラフィー検査といった画像検査が行われます。

狭心症・心筋梗塞の主な検査

冠動脈造影検査

カテーテルを大動脈から心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈という血管に送り込み、エックス線を照射して、冠動脈どの部位が狭くなったり詰まったりしているのかを調べる検査です。カテーテルで造影剤を入れるため、局所麻酔を行い、基本的には2日間程度の入院が必要になります。

心筋シンチグラフィー検査

心筋のどの部位にどの程度の血流量があるかを視覚的に示すことのできる検査です。通常、自転車エルゴメーターなどで運動をして、心臓に負荷をかけてから放射線を出す特殊な薬を注射し、心臓を撮影します。狭心症の重症度や血流が不足している心臓の部位を判断できます。

「息切れ・むくみ」があるときの心臓の検査

息切れは肺の病気による症状、むくみは腎臓の病気による症状として知られていますが、心不全が原因で起こることもあります。心不全を診断する際に行われる基本的な検査には、胸部エックス線検査、血液検査、心エコー検査があります。

心不全の主な検査

胸部エックス線検査

胸にエックス線を照射し、心臓の異常の有無を調べます。心不全の場合、正常な場合に比べて、心臓が大きくなっている様子がわかります。

胸部エックス線検査

血液検査

心不全のマーカーとなるBNP(心臓から分泌されるホルモンの一種)を測定します。

心エコー検査

胸にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる超音波を発信する機器をあてて、心臓の機能を調べる検査です。心臓の収縮や弁の動きも見ることができます。体への負担が少ないのが特徴です。

動悸や締め付けられるような胸の痛み、息切れ、むくみなどが気になる場合、早めに医療機関を受診して、適切な検査を受けるようにしましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年4月 号に掲載されています。

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