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シラベルケーネ! 宇品島の“別世界”

  • 2023年09月14日

ことし5月に行われたG7広島サミット。各国の首脳が議論を交わしたのが広島市南区の宇品島です。今回、「シラベルケーネ!」のコーナーに、視聴者の方からこの宇品島にまつわる質問が寄せられました。「かつて、宇品島に“別世界”と呼ばれた場所があったらしい…」。“別世界”という響きにひかれた私、前川。どんな場所だったのかを調べてきました。

(NHK広島放送局 前川夏生キャスター 小室洋平)

“別世界”はかつて…

早速、宇品島の“別世界”と呼ばれた場所に行ってみました。しかし、今はマンションや住宅が立ち並ぶ静かな場所でにぎわいが分かるものは見当たりませんでした。そこで、広島市郷土資料館を取材したところ、“別世界”の写真を入手することができたんです。

およそ100年前の大正時代、洋風の建物が立ち並んでいました。建物には入浴施設やホテルが入り、海辺は海水浴場になっていて大にぎわいでした。別世界は1日を優雅に過ごせる、広島の“総合リゾート施設”でした。その後、昭和に入ると太平洋戦争の戦況が拡大。宇品港一帯は旧陸軍・船舶部隊の根拠地となり、島自体の立ち入りが厳しく制限されました。その間別世界がどのように利用されていたかは定かではありません。

戦後の“別世界”は…

戦後、“別世界”はどうなったのか。広島市内の家具メーカーに詳しく知る人がいました。

池田文雄さん。この道、60年の家具職人です。

池田さん
昔は水族館がありました。日曜日なんか足の踏み場がないくらいごった返していたんですよ。

別世界にできたのは「宇品天然水族館」。昭和33年にオープンしました。

一番の呼びものは、なんとゾウ!当時まだ広島市内には、動物園がなく、ハナコという名前のこのゾウに餌をあげたり、ハナコのショーを楽しめたりすることもあって、大きな人気を集めました。

池田さん
ゾウのほかにもライオンとか、タヌキもいたんじゃないでしょうか。あとはサンショウウオもいました。地下に降りるとガラス窓があって、魚も見えるようになっていました。

思い出の“別世界”

水族館の開園から6年後、島根の中学校を卒業してすぐに家具メーカーに入社した池田さん。

家具メーカーの創設者の父親が水族館を運営していたのが縁で、入社式は水族館の敷地のゾウ舎隣にあった大広間で行われました。その後、およそ3か月ほど、この大広間で寝泊まりして職場に通ったそうです。

池田さん
夜寝ているとき、ゾウが鼻でしぶきを飛ばすような音が聞こえましたね。それと蚊がいっぱいいて、眠れなかったですね…。

それでも中学卒業後、見知らぬ土地で不安な新生活を送っていた池田さんにとって、“別世界”は思い出の場所でした。

池田さん
風呂があって、風呂の上は宴会場になっていて、宴会が終わったら残ったものを食べに行ったこともありました。6月になったら仕事が終わったあと、海で泳ぎましたね…。それから風呂に入って寝るような感じ。その時の思い出は、今でも全部頭の中に入っています。

その後、水族館は昭和55年まで営業を続けました。リゾート地から始まり、軍の施設を経て、水族館に…。G7広島サミットで注目された宇品島には、さまざまな歴史があったんですね。

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