【目指せ 女子相撲日本一】教えて松鳳山!
戸部眞輔アナウンサー
2023年08月30日 (水)
「相撲」というと男子のイメージが強いかもしれませんが、実は大分県は、女子の相撲が盛んです。
女子の大会は基本的に体重別で行われ、これまでに大分県から、全国大会で優勝する選手のほか、世界大会で表彰台に上がる選手も出ています。
夏休み、全国大会での優勝を目指す小中学生に、今回、強力な講師をお招きました。
宇佐産業科学高校出身で、大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也(まつたに・ゆうや)さんです。
松谷さんのアドバイスで、子どもたちがどう変わったのか、見ていきましょう。
男子と一緒に稽古する女子
小学1年生から中学3年生まで、男女16人が稽古する別府実相寺相撲クラブです。
このうち、女の子は5人で、稽古は男の子と一緒に行います。
女子選手たちは、自分の体だけで戦う相撲に魅力を感じています。
(左 中学2年生 黒岩由莉香さん)
「自分が勝っても負けても、そこで負けたとしたら、自分がどんなところが悪かったのか、そういうところを考えて、自分で改善していくところがおもしろいです」
(右 小学3年生 安本奈未さん)
「得意技は下手投げです。(下手投げが決まったときはどう?)監督に『それで行け』って言われる」
このクラブを立ち上げて30年になる末宗公明(すえむね・きみあき)監督(73)です。
これまで、全国大会で優勝を成し遂げた女子選手を4人育ててきました。
女子選手が活躍する理由についてこう考えています。
(末宗公明監督)
「女子だからって気を緩めることもありませんし、男子と同じメニューで、すべてやります。小学生の間は、むしろ女子の方が体幹が強い場合があるんですね。だから、男子に勝てるということが、一番相撲にはまっていく要素かもわからないですね」
特別講師・松鳳山、別府に現る!
夏休み、相撲に打ち込む子どもたちにもっと強くなってもらうため、今回、この方に来てもらいました。
大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也さんです。
松鳳山は、激しい突っ張りと、相手の懐に入る相撲で、金星5個、三賞4回を獲得。38歳まで関取として活躍した人気力士でした。
現役時代の黄金の締め込み姿で指導する松谷さん。
まずは相撲の基本「すり足」を、自ら見本を見せて教えました。
(松谷裕也さん)
「ただ足をすって前に出ればいいものではない。自分の目の前に対戦相手をイメージして、その相手をおっつけて押す、脇を締めて押す。こうやってイメージしながらすり足をやることが大事。バスケットボールを持つようなイメージで手を構えると、自然と下から手が出てくる」
さらに得意の突っ張りも伝授しました。
「後ろに回すイメージで。前に突くより、腕を引くことが大事。じゃないと、次の手が出てこない」
わかりやすいことばで指導し、子どもたちも熱心に取り組んでいました。
隙のない相撲を! 全国大会優勝を目指す小学5年生
ことし6月の全国大会で優勝した、小学5年生の黒岩香莉奈(くろいわ・かりな)さんです。
中学2年生の姉、由莉香(ゆりか)さんと、小学1年生の弟・香之介(こうのすけ)くんとともに相撲に励み、力をつけてきました。
まわしを引いてからのうまさが最大の持ち味です。
(黒岩香莉奈さん)
「自分の技が決まったら気持ちいいし、相手を押し出したらうれしい」
ことし10月に行われる全国大会でも優勝を目指す中で、松谷さんに自分の相撲を見てもらいました。
しかし、2学年上の中学生との稽古では、懐に入られて、寄り切られてしまいました。
松谷さんが気になったのは、香莉奈さんの右手の使い方でした。
まわしを引いて力を発揮する香莉奈さんですが、苦しくなると、深い位置のまわしを引いてしまいます。こうなると、相手に深く差されてしまうため、脇が空いて攻めにくくなります。
(松谷裕也さん)
「差されちゃダメ。深い上手では、絶対に相手に力も伝わらないし、どんどん苦しくなるでしょ。まわしを取ったら、そのまま懐に入るか、そこで我慢しないと。相手の腕をおっつければ、相手は苦しくなって腕を抜いてくれる。そうすれば、中に入れて次が攻めやすくなる。地道に、地道に、コツコツとやっていこう」
松谷さんのアドバイスを受けて、稽古を再開した香莉奈さん。
今度は右手をうまく使って、浅い位置のまわしを引きました。松谷さんのアドバイス通り、そこから相手の懐に入ることができました。
最後は得意の投げも駆使して勝ちました。
(黒岩香莉奈さん)
「教えてもらえて楽しかった。手の使い方が大事。全国大会に向けて、普段の練習でも使いたいです。全国大会で1位になりたいです」
(松谷裕也さん)
「中に入った後は、切り返しや技も上手だったので、もっと体の使い方がうまくなれば、もっと勝てるようになるんじゃないかと思います。女子も世界大会があるので、そういうところを目指して、がんばってほしいですね」
今回、男子選手も指導していただきましたが、これまで稽古場であまり勝てなかった小学4年生の選手が、松谷さんのアドバイスを受けて相撲が変わり、稽古場で連勝するシーンがありました。
松谷さんの指導力もさることながら、子どもたちの吸収力にも驚かされました。
これをきっかけに、大分の子どもたちに、もっともっと相撲が好きになってもらえたら、うれしいです。