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暮らし

ぶどう名産地 "宇佐市安心院町"のシャインマスカット

種がなく皮ごと食べられて、爽やかな味の シャインマスカット‼ 6月ごろからハウスものの出荷が始まっていて、9月が露地ものの出荷の最盛期となっています。 大分放送局の早川愛キャスターが、旬のぶどうで賑わう街・宇佐市安心院町を訪ねました。   【旬のシャインマスカットを訪ねて】 まず訪ねたのは農産物直売所。 平日にも関わらず、ぶどう売り場には行列が…。 (お客さん) 「横浜の孫に送ってあげようと思って、シャインマスカットとぶどうの詰め合わせを買いに来ました」 (JAおおいた ふれあい市場 安心院店 岩男美智徳さん) 「ことしはぶどうの粒が大きいですし色合いもよいですから、また購入したいというお話もいただいています」    【生産現場へ・・・!】 農家の國年真悟さんです。 安心院でぶどう栽培を始めてことしで6年目。福岡県から移住してきました。 早川キャスター「この袋の中がシャインマスカットなんですよね?」 國年さん「見てみますか?」 早川キャスター「すごい!一粒一粒が大きくてずっしりしていますね!きらきらと輝いています!」 試食した早川キャスター 「パリッとした皮の中に、想像以上にみずみずしい果汁!口に入れた瞬間、ジュースを飲んでいるような感覚です!」   妻と2人でぶどうを育てている國年さん。家族みんながぶどうが好きだったため栽培を始めたそうです。 栽培にあたっての工夫は、土づくり。 堆肥を入れたり、落ち葉を入れたり、麦わらを入れたり…土を柔らかくして根っこが出やすいように工夫をしています。 毎日の丁寧な作業の積み重ねでおいしいぶどうが出来ていることを感じました。   【5年ぶりのワインまつり】 続いて、台風やコロナ禍による中止を経て、2023年に5年ぶりの開催となった「安心院フェア葡萄酒(ワイン)まつり」を訪ねました。 皆さん笑顔で楽しんでいて、久しぶりのワインまつりを待ち望んでいた様子でした。 会場には地元の高校生の姿も!県立安心院高校のみなさんです。 葡萄酒まつりとしては初めてのイベントを企画したそうです。 地元の高校生の視点で安心院の観光名所をバスで巡るおよそ2時間のツアー。 バスの中ではおいしいぶどうの見分け方など、ぶどうについての豆知識なども紹介されていました。  バスを降りて緑豊かな道を歩いていくと、、、 生徒たちがぜひ案内したかったという東椎屋(ひがししいや)の滝が見えてきました。 落差85メートル。日本の滝百選にも選ばれています。勢いよく流れ落ちる姿に、参加者も見入っていました。 (参加したお客さんは・・・) 「高校生が自主的にやっていて好感が持てます」 「生徒さんが上手に案内していてびっくりしました」    高校生による地元愛が詰まった観光ツアー。ほかにも「地獄極楽」という江戸時代後期に掘られた洞窟などにも案内したそうです。若い視点で地域を盛り上げようとする姿が印象的でした。 旬のぶどうで賑わう街、大分県宇佐市安心院町でした。

執筆者 早川愛
2023年09月29日 (金)

香り豊かな青ゆずの魅力 宇佐市院内町

宇佐市院内町で、9月、収穫の最盛期を迎えている「青ゆず」。 県内では、ゆずごしょうに使われることで有名ですが、実は、ひと工夫することですぐに料理にも使えるんです。 今回は、そんな青ゆずの魅力と、おすすめの食べ方をご紹介します。   豊作!院内の青ゆず ゆずを栽培している杉園康信さんです。ゆずを育てて21年。現在は、10アールの農園で、青と黄色、両方のゆずを育てています。 (杉園康信さん) 「去年は大不作でしたが、ことしは大豊作です。ことしは花芽の落ちが少なく、順調にいったんじゃないかと思います」 院内町では、昔からゆずの木が自生していたと言われるほど、栽培に適した土地でした。 (西垣キャスター) 「緑が濃くてきれいですね。青ゆずの特徴は何ですか?」 (杉園康信さん) 「一番は、皮を利用すること。ゆずは香りがいいので、いろいろな使い道があると思います」   皮をすりおろすと、さわやかな香り!青ゆずのおすすめの食べ方 杉園さんのご自宅にお邪魔しました。 青ゆずの香りを楽しむためには、おろし器で皮をすりおろすといいそうです。 皮をすりおろしていくと、いい香りがしてきました。 杉園さんは「青ゆずは皮が命」だと言います。 (西垣キャスター) 「ふわふわ!さわやかな香りです。強すぎない、すっぱい香りがしますが、長く続くアロマのような香りです」 皮をすりおろすことで、より豊かに感じる青ゆずの香り。   料理に使うのはとても簡単です。杉園さんのおすすめは、そうめんです。 「そうめんのつゆに、すりおろした青ゆずの皮をスプーン1杯ほど入れてください」 (西垣キャスター) 「おいしい!さわやかです!青ゆずの香りと風味が、きいています。夏場にそうめんをたくさん食べたという方も多いと思いますが、味を変えたい方にはぴったりですね」 他にも、豆腐や納豆、お吸い物にも、よく合います。 (杉園康信さん) 「今が旬です。院内町では青ゆずが盛んにできていますから、食卓で利用していただければいいと思います」 皮を削るだけで、いろいろな料理に合う青ゆず。期間限定の味ですので、見かけたらぜひお試しください!

執筆者 西垣光キャスター
2023年09月15日 (金)

駆除される鳥獣を少しでも活用したい ジビエアカデミー開設

おいしそうなシカ肉の赤身のステーキ。この料理の材料「ジビエ」が今回のテーマです。ジビエについて、国の食品安全委員会は、「狩猟の対象となり、食用とする野生の鳥獣、またはその肉」と定義しています。牛肉や豚肉、それに鶏肉に比べると、なかなか食卓でお目にかかれません。そんなジビエを普及させようと、ことし5月、宇佐市に加工技術などを学ぶ施設、「ジビエアカデミー」が開設されました。どんなことを学ぶのか、講習の様子に密着しました。 鳥獣被害との葛藤 駆除された鳥獣を少しでも活用したい 宇佐市に開設されたジビエアカデミーです。こちらでは、ジビエを実際に加工して、おいしく処理するための技術やポイントなどを学んだり、加工する様子を見学したりすることができます。 アカデミーでは、実技のほかに、ジビエの持つ栄養価なども学びます。ジビエを専門に学べる施設は、ここが全国初と言われています。 アカデミーを設立した山末成司さんです。宇佐市内で食肉加工会社を営んでいます。アカデミー設立の背景には、各地で相次ぐ農作物への鳥獣被害がありました。県内でも去年、被害額が1億5000万円に上りました。 対策として地元の猟友会のメンバーなどが鳥獣を駆除しますが、そのほとんどは廃棄され、ジビエとして流通するのはごくわずかです。山末さんは廃棄される鳥獣を、少しでも活用したいと考えていました。(山末成司さん)「ジビエが、殺されてただ捨てているだけの状況になっていた。それをなんとかしたいと思って、おいしいジビエを作るには、やっぱりこういう施設が必要だという思いで、立ち上げました」 アカデミーでは、駆除されたイノシシなどを引き取り、加工したり、教材として使ったりしています。(猟師)「ここに持ってきたら引き取ってくれるし、胸が痛まない」 県外から学びに来る人も ジビエならではの難しさアカデミーには、県内外からジビエに関心のある人が学びに訪れます。 群馬県から訪れた増田充宏さんです。群馬にジビエの処理施設を開設しようと、5日間の日程でノウハウを学びに来ました。 (増田充宏さん)「せっかくいただいた命。最終的には、全部処理できればいいんじゃないかと思います」 解体技術の講習です。 増田さん自身も、半世紀近く牛や豚などの食肉加工に携わってきたベテランですが、これらを一から解体したことはほとんどありませんでした。初めは手際よく処理していましたが、食用に飼育された牛などと違い、ジビエは個体差が大きく、処理するのが難しいと言われています。さらに、皮をはいだり、関節を外したりするなど、普段行わない作業もやらなければなりません。 (増田充宏さん)「牛も豚も飼育されているものですから、ある一定の範囲に収まっているんですね。ところが、ジビエは自然のものですから、個体差がまるっきり違います。目から鱗じゃないけど、こうやればいいのかという感じでやらせてもらいました」 一人でも多くの「ジビエ伝道師」をイノシシなど、鳥獣の命を無駄にしないとともに、ジビエのおいしさを多くの人に知ってほしい。山末さんは、この施設から一人でも多く「ジビエの伝道師」が巣立っていくことを願っています。 (山末成司さん)「牛、豚、鶏に次ぐ、第4の肉として、みなさんのご家庭の食卓に並べられるように頑張りたいと思っています」 地元の農家の方も、被害を受けるのは嫌だけど、駆除されたイノシシなどを見ると、つらい気持ちになるそうです。私もジビエが運ばれてくる様子を見た時は、何とも言えない気持ちになりました。ジビエアカデミーには、地元の高校生なども見学に訪れていました。今後、このアカデミーで学んだ人たちが各地でジビエの普及を担っていくかもしれません。

執筆者 西垣光キャスター
2023年08月31日 (木)

甘くてシャキシャキ 杵築のスナップエンドウ

県内では、杵築市を中心に生産されているスナップエンドウ。さやごと食べられる手軽さと甘さが人気です。杵築市では平成14年から生産が始まり、生産量を増やしてきました。 旬の時期に生産者のもとを訪ねて、おいしい食べ方を教わってきました。   関西や福岡で人気! シャキシャキして甘い、スナップエンドウ。県内一の産地・杵築市では、年間およそ120トンを生産しています。   生産を始めて7年目の大村哲弥さんです。合わせて20aの農業用ハウスでスナップエンドウを栽培しています。杵築のスナップエンドウの魅力とは? (大村哲弥さん) 「ハウス栽培が多い杵築では、実の太りもけっこう大きいので、おいしい豆ができていると思います。ことしは、非常にいい出来になっていると思います」 品質の高さが人気を集め、全体のおよそ9割を関西や福岡など県外に出荷しています。その人気の秘密は、収穫作業にありました。 スナップエンドウは傷がつきやすいため、ひとつひとつ丁寧に収穫していきます。期間中、多い年ではおよそ70万本収穫し、出荷に向けた作業を夫婦で手分けして行っています。 (大村哲弥さん) 「妻もけんしょう炎になったり、けっこう大変な目に遭わせていますけど、手をかければかけた分、いいものができるので、それを収穫した時はうれしいです」   燃料費高騰で、ハウスみかんからスナップエンドウへ 大村さんのこの農業用ハウス、かつては、みかんを栽培していました。杵築市では、昔からハウスみかんの生産がさかんで、県内一の生産量を誇ります。しかし、燃料費高騰で収益が圧迫され、21年前から、寒さに強いスナップエンドウに切り替える農家が出てきました。大村さんは6年前、自動車関連の仕事を辞めて、両親のみかん用のハウスを引き継ぎ、スナップエンドウ栽培を始めました。大村さんによりますと、栽培にかかる燃料費は、みかんと比べて6分の1以下で済むということです。 (大村哲弥さん) 「自分が生まれ育った近所にも空きハウスがあったので、そういうのを見ると寂しくなってしまう。スナップエンドウは冬場の作物ですが、あまり油を焚かない作物なので、誰か参入する人でもいたら、できるだけ紹介して、スナップエンドウなどで空きハウスをなくしていきたいなと思います」   生産農家のおすすめ!スナップエンドウの調理法 大村さんおすすめの食べ方がこちらです。 白だしあえと、ベーコン巻きです。まず白だしあえの作り方です。 最初に塩ゆでします。ゆで時間は2分。それ以上ゆでると、しんなりしすぎてしまいます。それを焦げ目がつくくらいに炒めて、薄めた白だしにつけるだけです。 かつおぶしをかけると、さらにおいしくなります。スナップエンドウの甘さとだしのうまみが調和したおいしさが、口の中に広がります。 続いては、ベーコン巻きです。塩ゆでしたスナップエンドウにベーコンを巻いて、塩こしょうで焼くだけです。こちらも簡単に調理できます。まずベーコンとスナップエンドウのシャキシャキの食感から始まり、そこからスナップエンドウの甘さがやってくる、2段階でおいしい料理です。 (大村哲弥さん) 「スナップエンドウは、どんな料理を作っても合うと思うので、新たな料理を色々作ってもらって、楽しんでもらえたらいいかなと思います」

執筆者 戸部眞輔
2023年05月08日 (月)

国東の絶品ネギをPRせよ!

        どうですか! 切り口から滴るこの水分!  化学肥料や農薬を使わずに作られているコネギ香り、味ともに絶品! ネギしゃぶなどにすると最高です!   どんなところでどんな方が作っているのか国東市の畑を訪ねました         このネギを作っているのは、森夏樹さんサラリーマンだった森さんは、6年前、子供が生まれたことを機に農業に取り組みはじめます 前職のサラリーマン時代は子どもと過ごす時間がまったくなくて子どもと一緒に仕事がしたくて農業がいいなとずっと思っていました本当に楽しくて子供と一緒に遊びながら仕事ができる。理想の状態ですね         鹿児島から移住し、国東にネギを栽培するハウスを構えます農薬も除草剤も使わないネギづくり畑ではニワトリが虫を食べ、雑草はヤギが食べてくれています自然の力をそのまま利用して育てるネギは、地域の人たちにも好評です          森さんのところのネギは、味ももちろんなんですけど、日持ちが全然違うんですね!あれば、やっぱり森さんのところのネギを買いたいなって思います   多くの人に食べてもらいたいと思う反面、家族経営の森さんは、おいしさを広めるまで手が回りませんでした 正直、農家っていいもの作ろうというのが本来の形だと思うし、作るので手いっぱいで時間もない誰かがインターネットとかそっちの苦手な部分をやってくれるのであれば、たぶんうまくいくかなと   そんな森さんに手を差し伸べた人がいます。それが…   若い力が、農家を“売り込む!”         立命館アジア太平洋大学4年の吉川龍さん交換した名刺には…         三雲:一次生産業専門デザイナーというのは? 吉川:農家さんとか漁師さんとか一次生産業をやっている方々のホームページや商品のポップを作って、宣伝をするお仕事をしています   吉川さんは1年生の時、新型コロナで販路が減少した生産者を助ける事業に参加そこで森さんと出会います そのとき感じたのが森さんと自分の「役割分担」の必要性 結局作っただけでは売れないっていう内情があるので、何でネギがおいしいかとか他と何が違うかって差別化してお伝えして、やっと手にとっていただけるっていう流れなんで、そこをとにかく伝えるっていうのが僕の役割になっていますね   吉川さんは独学でwebデザインを学び農家の取り組みを伝えるホームページの作成に取り組みます   そこで伝えるのは、農家の作物にこめた思いや栽培方法へのこだわりいまではイチゴ農家や養鶏場のホームページやパッケージのデザインを担当顔と顔をつきわせるからこそわかる“農家の本音”をくみ取って細かい要望にこたえることで売り上げ向上につなげています   かいま見た厳しい現実から リアルで新しいデザインを生み出す さらに吉川さんは、仮想空間だけでなく、リアルな世界のデザインにも挑戦していますきっかけは畑で見た現実でした 実際にこういうネギが、捨てられている光景を見たときに「え、捨てちゃった」みたいなものがきっかけだったんですけど         私たちが店頭で見ているコネギは、右のもの 全体のごく一部にすぎません 左側の、太いものや、葉分かれが多いものは基準にあわず、私たちの手に届くことはないんです   そこに吉川さんは新たなデザインの種を見つけました この捨てる部分、食べられるんで商品にもともとなってない側をどうするかを考えようっていうので加工商品を作れないかなっていうので   それが、森さんの畑で採れたネギをふんだんに使ったネギ餃子!試作を重ねる現場に潜入!         例えば、色とか。皮の中透けて見えるくらいの緑色とか絶対この形でいきたい、、、!!妥協したくない グッと揉むとたぶんいけるかなって気もするんですけどね 杵築市の餃子店の協力を得ながらの作業さて、お味のほうは?          吉川:ネギ感はこっちの方が断然ありますわ 森:あ、違う?? 全く違います ええ! そんな違わないかなと思ったけど、そんな違うんだ?          吉川さんと森さんの思いがひとつの形になりました         自分が理想とする野菜作りに“飽くなき取り組み”を重ねる農家 それを新たな視点で“目に見える形”にしていく若きデザイナー   森さんと吉川さんの間には年代を超えた信頼関係が生まれてきています 森:正直年齢が息子みたいな年齢じゃないですか。大学生がひょっと現れて、あーだこーだ言ってくるんですね。最初は何だこいつ!でも言っていることがまともすぎて気づかさせることが多かったので、本当楽しく一緒に仕事出来ている。農業の世界でもいままでやったことないことやってみたい 吉川:僕の意見を聞いてくれる方々あっての僕の活動なので、そういう大人の方々に協力していただきながら、話聞いていくなかで、ご自身も気づいてない魅力たくさんあると思うので掘り出しながら、そういう役割を担っていきたいなと思っています   このネギ餃子、これまで廃棄されてきたコネギの活用先として商品化を目指していくことにしています   さらに森さんはいま、農薬を使わないコメ作りに向けて新たな仲間たちと取り組みをはじめています   吉川さんのような、若い、新たな視点が大分の一次産業を、これからも盛り上げていってほしいと思います

執筆者 三雲 紫恩(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

ハチミツでふるさと豊後大野を元気に!

みなさんの「ふるさと」ってどんなところですか?  誰しもがふるさとへの思いを抱いているはず もし、そのふるさとがなくなる瀬戸際だとしたら… 今回は過疎化が進み忘れられようとしているふるさとを自らの手でよみがえらせたいと模索している男性のお話です   その模索の“相棒”が、こちら ニホンミツバチです   さまざまな花から蜜を集める習性がありその蜜は「百花蜜」として知られていますよね 実はいま豊後大野の山中で採れるハチミツがひそかな話題になっているんです そのハチミツを集めているのは羽田野弘文さん 羽田野さんは、定年退職後地元・豊後大野に戻って養蜂を始め今年で10年目になります  今年獲れたハチミツを一口いただきました  わぁ!あま~い!濃厚です。   私がうかがった11月はミツバチの越冬準備の時期寒さに弱いため冬に備えて寒さ対策をするそうです 羽田野さんはそんなミツバチに注目しました   小さなミツバチたちの頭脳の高さって すごいなって思いましたね。 みつばちに惚れこんだっていうのがひとつと 巣を作り生活を営んでいるというのに非常に興味ありますし かわいらしいですよね。おとなしいですし     荒廃するふるさとをなんとかしたい   羽田野さんは地元の高校を卒業後東京で観光の仕事を40年以上続けてきました   Uターンを決意したのはふるさとの過疎化でした   私の住んでいたところは山あり谷ありの僻地でございまして 忘れ去られているような地域です 少子高齢化で過疎化していっている 私が通っていた小学校、中学校、高校は すべて廃校になっています 帰るたびにそういう話を身内から聞かされまして なんとか歯止めをかけるじゃないですけど   山あいの地域でできる産業を探していたところたどり着いたのが養蜂でした   奮闘する羽田野さんを妻の弘子さんも応援しています 本当に一生懸命 家庭の方は守っているので 自分の好きなことをやればいいかなと思っています   羽田野さんは養蜂に関する本を何冊も読み養蜂家のところに見学にいくなどして少しずつ知識を増やしていきました   蜂は、羽があるので、山でも谷でも飛んでいける ミツバチを飼うってことは蜜源植物を植えたくなる 蜜源植物、蜜を作り出す花ですね 蜜もできるし、蜂蜜が蜜をとることで、 受粉、実になり種になると循環ができる それが産業になるのではないかと思いまして   いま羽田野さんが力を入れているのが蜜の源となる植物を植える植栽活動です これはプラムの木  荒れた土地を整地し4年前に植えました春には花が咲き、蜜の源となっています   荒地、休耕田を整地して植物を植えることで 植えた木に花がつき、実になり ハチの力を借りて受粉をすることによって草木が成長して 環境も整ってくっていうこのサイクルですね、連鎖   羽田野さんはこれまでにプラムやカボス、ナシなど10種類およそ2000本の木を植えてきました    一人ではじめた羽田野さんの取り組みはハチだけでなくいま人も呼び込み始めています   「ひろちゃ~ん。手伝いに来たよ~」 「ありがとう!今日もよろしくお願いします!」 草刈りや植樹、剪定作業を一緒にすることでなくなりかけていた地域の絆も深まっています。 先駆者でハチミツとかいろいろ花植えとか 地域をちょっとでも活性化しようということで ここら辺が良くなればということで大変ありがたいです   そんな羽田野さんは新たな取り組みをはじめました ハチミツを使った新たな特産品づくりです   考えたのは干し柿をハチミツに漬けたオリジナルスイーツ    私もいただきました(今回の取材、私、食べてばかりですね…) みためは普通の干し柿のようですが…    上品な甘さが口いっぱいに広がっておいしいです  甘い渋柿に輪をかけてハチミツの甘さがありますが  くどくなく、いくらでも食べられそうです   この柿は、地域固有種の渋柿しっかり干して甘みが出たところでハチミツに漬けるタイミングや期間など試行錯誤しながら羽田野さんは商品化にこぎつけました 地域の特産物を作りたかった ここから地域の活性が成り立っていくんじゃないかなって はちみつと加工品であるハチミツ干し柿 こちらの方を軌道に乗せて 地元に貢献できればなと思っております     羽田野さんの養蜂が軌道に乗ってハチミツが販売できるようになるまで6年 そして干し柿のハチミツ漬けはそこから更に4年かかってできあがったもの   それだけの長い時間がかかった分羽田野さんのふるさとへの思いがつまっていると感じます   干し柿のハチミツ漬けは、豊後大野市の道の駅「あさじ」で販売されていますまた、市のふるさと納税の返礼品にもなっています   ゆくゆくは販売経路を拡大したいと羽田野さんは話しています ふるさとを何とかしたいという羽田野さんの思いがふるさとの新たな名物を生み出しましたこれからの羽田野さんの取り組みに注目です!        

執筆者 三雲 紫恩(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

ボタンボウフウでまちおこし!

おいしそうなソフトクリームまわりに振りかけられている緑色の粉なんだと思います?ちなみに抹茶ではありませんこの粉になるのはある植物大手化粧品メーカーが化粧水や栄養補助食品として注目しているんです大分県内では豊後高田市の香々地地区でこの植物を活用したまちおこしをしているということで取材に行ってきました 香々地で味わえるボタンボウフウ 取材には体力も必要まずは甘いものを食べて元気をつけて…と自分に言い訳をしてみましたがこの粉の正体はセリ科の植物 ボタンボウフウ葉っぱがボタンの葉に似ていることからこの名がつきました専門機関の調査では野菜の王様といわれるケールよりも鉄やビタミンなどを多く含んでいるとのこと地元では「一株食べれば一日長生き」沖縄では「長命草」とも言われているそう   おすすめの食べ方は「天ぷら」葉をそのまま揚げていますお味のほどは?西垣:かめばかむほどボタンボウフウの風味が広がります思ってたよりも苦みが少なくて食べやすいです!ほかにもボタンボウフウを刻んで入れた卵焼きなどどんな料理にもあうんですやはり先人はいいものを知っていたんですね 自生から栽培への挑戦 海沿いに生えていたボタンボウフウを採ってくるだけではいつかなくなってしまいますそんなボタンボウフウを栽培していこうと取り組んでいるのが渕秀幸さんです本職は90年近く続く和菓子屋さん10年ほど前からボタンボウフウを使ったまちおこしに取り組んでいますここがボタンボウフウの畑です海沿いに生えていたのを畑に持ってきて植えたのが最初です 1年中採れますが主な収穫時期は春と秋なんだそう 地域を活性化させる産業に育てたい! 渕さんが住む香々地地区は人口の減少などで旧豊後高田市と合併過疎と高齢化が進むふるさとを元気にしたいと海に近い香々地ならではの特産品としてボタンボウフウに注目しましたボタンボウフウで地域おこしをしているところが沖縄にあると聞いて人が少なくなった香々地地区の新たな産業になればなと 畑での作業には地元の農家や地域おこし協力隊の人たちがあたっています収穫量も安定商品化も幅広く行えるようになりましたお茶や青汁、まんじゅうなどなど次々と新商品が開発され道の駅や「昭和の町」で販売され人気を集めていますそれにあわせ渕さんたちは畑を今の2倍に拡大地域を支える産業としての足掛かりを作っていますまだ知名度もないんで皆さんに知ってもらって我々もおいしく食べられる方法や産業として成り立つ方法を今後も探っていって地域の雇用につながるようなものにしていければと   外からのものをありがたがるのではなくもともと地域にあったものに注目する 地域おこしの大切な視点だと思います豊後高田では去年第1回となるボタンボウフウフェアを開催渕さんたちの取り組みが実をむずびつつありますさらなる可能性を秘めたボタンボウフウ今後の展開に期待したいところです

執筆者 西垣 光(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

いまを生きるために死を考える

みなさんは「死」についてどれだけ考えていますか?誰もが迎えることとはいえ遠い将来のこと、と考えているかもしれませんいま大分市内で「デスカフェ」というイベントが開かれ多くの人が関心をもって訪れていますどんな場所なのか取材してきました どんな”最期”を迎えたいか考える場 この日のカフェに参加していたのは10人ほど一人で参加する人や友人と参加する人などさまざまですこのカフェではゲームをしながら和やかな雰囲気のなかで死について考えよりよく生きる方策を探します 使うのはトランプのような「もしバナカード」このカードには「意識がはっきりしている」「大切な人とお別れする」などの言葉がかかれています自分の余命があと半年だと想定し最期をどのように過ごしたいのか自分の大切な価値観は何かをカードとともに考えますルールは「自由に、思いのままに話すこと」そして「それを否定しないこと」ほかの人のいろいろな意見を聞いてさらに考えを深めていきますこちらの男性が選んだのは… 「最終的に残ったのが、 ”私の価値観や優先順位を知る” ”意思決定支援者がいる” ”意識がはっきりしている” 自分が何を望むのか家族と確認することで口論を避けられる」 ”自分以外の人に自らの意思をちゃんと伝えていきたい”という思いがあふれていました 大分でデスカフェが始まったのは2022年1月口コミで人気が広がり月1回だった開催がいまでは月2回になっています主宰している木原寛さん神奈川で貿易の仕事をしていましたが高齢の両親と暮らすために大分に戻りこのカフェを開くようになりましたこれまでは死は縁起が悪い、むやみやたらに話すもんじゃないって避けられていた話題だと思うんですけど死を見つめることによってやり残したことはないか、いまをどう生きようっていうのを考えるきっかけになればと思っております 実際に行動に移した人も 家族のことを思って行動にうつした人もいますデスカフェに初めて参加したという小崎和子さん最近自分の死について考えることが多くなったといいますコロナ禍で終活アドバイザーの資格を取ってみたりして死とは何だろうって考えたときに聞いてみたいな、話してみたいなって思って参加しました ご自宅にうかがって拝見したのが…小崎さん)こちらになります西垣)わ~ ご家族で家族に声をかけ葬儀に使う遺影を撮影したそうなんです次男が小学校に入学するタイミングで記念撮影しようというときにいっしょに撮りました小崎さんの写真を選んだのは次男の響君その理由を聞いてみるとママ、髪型が違う かわいい!小崎さんは葬儀の準備で忙しい家族が写真選びに困らないよう先に準備することにしたそうです私が急に亡くなって夫が私の写真を選んだ時に「あら、もう少しいい写真あったんじゃないかな?」ともしそんな写真が選ばれたら残念な気持ちになりそうだったのでちゃんと自分の目でさきにお気に入りの写真を決めておきたかったというのがありますね   小崎さんにとって家族と死を考えることがどのように生きていくのかを考えるきっかけになっているようです取材しながら私だったら何を重視するか考えてみました私は「意識がはっきりしている」を選ぶかなと思いますいろいろな人にちゃんと挨拶をしてお別れしたいと思ったからですみなさんはどんなことが大切だと考えますか?デスカフェについてはまるっと終活大分支援協会のホームページをご覧ください

執筆者 西垣 光(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

環境保護につながる大入島のカキ養殖

ぷりっぷりのカキおいしそうでしょう?これは佐伯市の大入島のブランドカキ「大入島オイスター」年々漁獲量が増えていて東京や関西、海外でも人気となっていますこのカキ島の活性化だけでなく環境保護にもつながっているんですまずは佐伯市のカキ小屋を訪ねました何事にも味わってみないと取材は始まりません!よね   人気! 大入島オイスター   私の目の前に運ばれてきたカキ身がとってもきれいですいただきます! う~~~ん♪とっても甘くて濃厚な味が口いっぱいに広がります!とろとろしていてとてもおいしい♪カキ小屋のお客さんもその味に感動していました 中身がジューシーですごくおいしかった身がぷりぷりでとってもおいしかったです! みんなを感動させる味わいの大入島オイスターどんなところで養殖されているのかいざ!大入島へ   おいしさの秘密は育て方にあり!   訪ねたのは島のカキ漁師 宮本新一さん 10年ほど前からカキの養殖を始め以来試行錯誤を重ねてきました大入島のカキ養殖はシングルシードという方法で行われていますカキの養殖はロープで吊り下げたホタテの貝殻に種ガキをつけて行うのが一般的ですただこの方法だとカキ同士がくっついてしまうこともしばしば一方、シングルシード方式だとかごの中ではなればなれに育つので身が大きく成長します 波に揺られカキとカキがぶつかりあうことで殻にフジツボなどが付着することもなく丸みを帯びたきれいな見た目に育つんだそうですさらに成長に合わせて出荷までに3回かごを入れ替えますかごの中のカキの大きさをそろえることで餌となるプランクトンがまんべんなくいきわたるようになります そしてもうひとつの工夫がこちら 矢印の部分、よく見てくださいカキの入ったかごが海面からでていますよねこれ、「天日干し」しているんですかごをひっくり返して海水から出し空気にさらしてストレスを与えるんだそうでも、なぜこのようなことを? 宮本さん?宮本:天日干しをすると日光に当たるので水分が逃げないよう耐えるために固く口を閉じるので貝柱が鍛えられ、太くて甘みの強い貝柱になります 大事にしながらも、ときに負荷をかけることで成長をうながす人間にも同じことが言えそうですね   カキが海を守る? その働きとは?   大入島のカキは佐伯湾の環境を守ることにもつながるのではと期待されているそうなんですどういうことでしょう? かつて佐伯湾では大規模な赤潮がたびたび発生6年前にはおよそ2億円にのぼる被害が出ましたカキ漁師の宮本さんは、当時アワビやサザエなどの漁をしていましたがほとんどが死んでしまったそうです 宮本:絶望的でお先真っ暗な感じでした収入がなくなるので他のアルバイトに行ったりしていました でもカキだけは赤潮の被害をうけなかったことから本格的にカキ養殖に取り組みはじめました実は近年の研究でカキは赤潮の被害を受けないだけでなく発生を抑える効果があることがわかってきています この日宮本さんのもとを訪れたのは大分県農林水産研究指導センターの宮村和良さん県も赤潮対策としてのカキの存在に注目し定期的にデータをとったり補助金を出したりしてカキ養殖をサポートしています宮村:カキはプランクトンをエサにするため養殖を拡大することで赤潮プランクトンの異常増殖を防げるといわれていて赤潮の被害軽減に役立つのではないかと考えています 大入島オイスターは佐伯の海を守る存在としても注目され始めているんです   カキと地域を未来へつなぐために   大入島全体のカキの生産量は当初のおよそ6倍にいまでは東京や関西などのオイスターバーのほか海外にも輸出するようになっていますカキ漁師の宮本さんは大入島を新たなカキの産地にしようと養殖協議会を設立しました島全体で大入島オイスターのブランド力をアップさせようと自分が得た知識やノウハウを惜しみなく仲間たちと共有していますカキ養殖がうまくいけば次の世代が続いてくれると思うのでこの島でカキ養殖を成功させて人口減少に歯止めをかけたり若い人の仕事がこの島にあったりすることで移住したりビジネスモデルを作ったりすることになるとおもうそれが原動力となっています 大入島オイスターの貝殻は細かく砕いて家庭菜園用キットの肥料にも使われているそうですSDGsという観点でも注目ですね大入島オイスターは佐伯市のカキ小屋でたべられますまた佐伯市のふるさと納税の返礼品にもなっていますみなさんもぜひ味わってみてください!

執筆者 和田 弥月(NHK大分アナウンサー)
2023年01月19日 (木)

イチオシ! 誰でも簡単 お手軽なめらかプリンの作り方

  子育て中のアナウンサー、戸部眞輔です。 クリスマスを前にした2022年12月、大分市で、男性向けのスイーツ作り教室が開かれ、その様子を12月20日(火)、いろどりOITAのイチオシ!で放送しました。 その中で私が挑戦した「誰でも手軽にできるプリンの作り方」をまとめました。 本当に簡単ですので、ぜひご家庭で作ってみてください! 大分市内の調理師専門学校の製菓衛生師、森田孝行さんに教わりました。 用意するものは、卵(全卵2個、卵黄1個)、牛乳(300g)、グラニュー糖(70g)の3種類だけです。 (1)まず、卵を溶きます。ポイントは、空気が入らないように溶くこと。左右に振るように溶くといいそうです。 (2)そこに、グラニュー糖(70g)の3分の2の量を入れて混ぜます。すぐに混ぜないと固まってしまうので、早めに混ぜましょう。 (3)残りのグラニュー糖を牛乳に入れて、混ぜます。 (4)その牛乳を電子レンジ(600w)で1分ほど温めて、先ほど溶いた卵に入れて、ゆっくり混ぜます。ポイントは、少しずつ牛乳を入れること。森田さんによりますと、「急激に温かいものを入れてしまうと、たまごが凝固してしまう」そうです。 (5)固まった部分などを取り除くため、こします。2回こすことで、より滑らかに仕上がります。 (6)それを耐熱の容器に入れます。 (7)これを温めますが、一番早いのは電子レンジ。ふたをせず、600wで1分ほど温めます。しかし注意点があります。長く温めるとプリンがはじけ飛んでしまいます。電子レンジの中を見ながら温めて、はじける前に止めましょう。 (8)多少ゆるくても余熱で固まっていきます。ここまでで10分ほど。これを冷やせば完成です!1日冷やすと、おいしさがさらに増すそうです。   西垣光キャスターに試食してもらいました。 「なめらかですね、とってもおいしいです。作り方がとてもシンプルだったので、こんなに濃くて滑らかなプリンができているとは思わなかったです」 プリンの上に、生クリームやイチゴなどを乗せれば、こんなにかわいく仕上がります。 実際に自宅でも作ってみましたが、包丁も使わないので、本当に簡単に作ることができました。 今回は、最もシンプルな作り方をご紹介しましたが、生クリームやバニラエッセンスを混ぜて作ったり、カラメルを加えるとよりおいしく仕上がります。 ぜひお試しください!

執筆者 戸部 眞輔(NHK大分アナウンサー)
2022年12月22日 (木)

気分はお殿様⁉ 人をつなぐうすき"輪"菓子

あ、タイトルの輪菓子は誤植ではありませんよ  この謎は読み進めていっていただければおよそ2分後に解けます…  城下町として栄えた臼杵には 今も当時の風情ある街並みが残っています  その臼杵市で今、 江戸時代にお殿様が食べたとされる 和菓子を再現する取り組みが進んでいます  挑戦した理由 そこでの工夫やこだわりを知るために 臼杵を訪ねてきました    ひとつの古文書に記された謎が謎を呼ぶ  臼杵藩を治めていた稲葉家には ある古文書が伝わっています  それがこちらの「菓子製法」 見せていただいたのは複写したものです  当時の藩主がおやつを選ぶために使っていた メニュー表ではないかとのこと  彩り豊かなお菓子が描かれていますね その数、およそ100種類   ただ、この古文書には、実は大きな問題が…  臼杵商工会議所の吉田さんによると  これお菓子の絵が載っているんですけど、  絵と名前は書いてあるんですが  レシピは一切ないんですよ   え?そんなことってあるんですか?もう一度見てみましょうたしかに絵と名前は書いてありますが 材料や作り方に関する記述は一切なし…    これだけでも十分に謎なのですが さらに謎を呼ぶのがこちら  これ、見た目はしいたけですよねでも赤線のところを見てください 「きんとん」と書かれています しいたけなのに、きんとん?    さらに吉田さんが見せてくれたのは…  吉田:和田さん、これ何に見えます?  和田:これ、お刺身ですよね 鯛のお刺身かなんか?  吉田:ぽいですよね   ただぼくもちょっとわからないですけど  おそらくお菓子であろうと…    刺身のように見えるけど、実はお菓子…  だんだんわからなくなってきました       謎の和菓子に現代の粋人が挑む     お殿様が食べていた 「しいたけ」や「刺身」とはどんなものなのか その謎に挑もうと考えたのがこの方  臼杵商工会議所の中村充さん 300年続く呉服屋の16代目です  中村さん、なぜ再現してみようと思ったんですか? 菓子製法が臼杵市の市報の裏にいくつか載っていて すごいなんかいろどりが良くてきれいだなと思って 僕自身が茶道をしていたので茶道時代の仲間と  このレシピを復刻させて、みんなでこう楽しめたら  何か面白いことが起こるかなと思って  この取り組みをスタートしました    臼杵市内の和菓子屋に声をかけ 再現する作業にとりかかりました  まず挑戦したのが、こちらの芋ようかん  ただ、わかっているのは、この鮮やかな色味だけ  そこで用意したのが、 臼杵産のサツマイモ「紅はるか」  作業に当たった芦刈さん曰く有機野菜のお芋で本当にそのお芋がよくて  色もすごくきれいなので  やっぱり原材料の素材がいいと  すごくきれいに仕上がるんじゃないかなと    「紅はるか」の特徴はその柔らかさ  それを活かすためていねいに裏ごしすることに  すると、どうでしょう♪なめらかな食感の黄金色の芋ようかんに 仕上げることができました  もう一つ再現したのが琥珀糖  寒天という文字がみえますが味の手掛かりは一切なし  ならばそこは現代風にアレンジしてみようということで… 特産のカボスを使い酸味を生かすことで お殿様も味わったことのない現代風の味わいに   特に苦心したのは透き通るような淡い緑色 カボスの皮を一度茹でてからミキサーにかけ 更にそこから煮込むという手間と細かい手順を踏むことで できあがったのが…この透明感、いかがですか?    中村さんたちは この和菓子を“うすき輪菓子”と名付けました さあ、ここで冒頭の謎が解き明かされます!ここまで何分かかりました? 中村さん、「和」を「輪」に置き換えたそのこころは?   この“輪菓子”を通じて人と人とのつながりが  どんどん輪っかのように広がっていってくれたら  うれしいなという思いがあります  そしてこの復刻したお菓子を  臼杵のいろいろな町並みで  いろんな方が召し上がれるようになれば  嬉しいなと思います    中村さんはうすき輪菓子の未来をこんな風に思い描いていますここからはイメージ映像でご覧ください臼杵では訪れた人が和服に着替えて街を歩く そんな粋な取り組みが行われています   参加した人たちに再現した和菓子を食べてもらう その場所は…  臼杵藩主下屋敷の茶室で開かれるお茶会  お茶うけの和菓子はもちろん“うすき輪菓子”  お抹茶と一緒に 「黄金の芋ようかん」と 「カボスの琥珀糖」をいただきます 参加者:自然な甘みでお抹茶にとてもあって美味しかったです    中村さんはこの輪菓子が 臼杵を知ってもらうきっかけになればと考えています    この“うすき輪菓子”の味や歴史を通じて 臼杵の素晴らしい場所を皆様に知っていただいて  盛り上げたいという気持ちがありますし 市の外、県外、日本へとどんどんつながりを増やして  盛り上げていきたいと考えています。     これまで再現されたお菓子は4種類 現在は高校生と5種類目のお菓子を開発中です    うすき輪菓子の販売の予定はいまのところありませんが これからは臼杵市内での販売のほか インターネットなども利用しながら 多くの人に手に取ってもらえるようにしていきたいということです  中村さんをはじめ、プロジェクトにかかわる皆さんが 楽しみながら和菓子の再現に取り組まれている姿が とても印象的でした 「うすき輪菓子」が人と人とをつないでいき 大きな輪になっていってほしいと思います

執筆者 和田 弥月(NHK大分アナウンサー)
2022年12月22日 (木)

別府の"宝" 共同温泉を守る

「おんせん県おおいた」9年前からつかわれている大分県の観光PRキャッチフレーズです 空港でも駅でも、街のいたるところでこのフレーズをみることができますよねそんな温泉大国・大分の中でも源泉の数と、お湯の湧出量ともに日本一なのが「別府市」 「別府八湯」と呼ばれる8つのエリアを中心に、泉質が異なる多彩な温泉が数百も存在しています   別府には、市の責任の下で管理運営されている「市営温泉」のほかに地域の人たちで維持管理している「共同温泉」があります ただ、管理者の高齢化などで廃業に追い込まれる施設も増えているんです そうした現状を見たひとりの大学生が立ち上がりました別府の文化「共同温泉」を守れるのか?大学生の挑戦を見つめました 別府に根付く文化“共同温泉” NHKに入局し初めての任地として大分に来た私は別府の文化に触れたいと、このカードを手に入れました これは「スパポート」というもの簡単に言えば、温泉のスタンプラリーです 別府に数多くある温泉のうち88か所のスタンプを集めると「温泉名人」の称号が与えられます 料金箱にお金を入れ(100円~500円のところがほとんど!)温泉に入ったあと、スタンプを押します 番台さんが押してくれることもありますが、いないところは入口や脱衣所に置いてあるスタンプを自分で押します 市営温泉や、大型施設の温泉、旅館の立ち寄り湯などさまざまな種類の温泉がありますが私が心惹かれたのは「共同温泉」これが、なんともいえない味があるんです 「共同温泉」の多くは洗い場にシャワーはなく湯船からすくったお湯で頭や体を洗いますシャンプーやリンスもありません利用する人は「マイお風呂セット」を持参します湯船には蛇口があり、そこからは水が出るようになっています別府の温泉は、直接源泉を引いている所も多く温度が“激熱”なので、お湯の温度を下げたいときにはこの蛇口をひねるのですその時、勝手に水を出そうとすると…地元の人に怒られてしまいます「共同温泉」はみんなのもの温度調整ひとつとっても「水出してもいいですか?」と相席する人に尋ねてコミュニケーションをとるのがマナーだと知りました 別府に住む人とくに年配の方の世帯では家風呂がない人も多くいますそうした世代を中心に「共同温泉」はにぎわいます「もう6時やけんAさんが来る時間や」「きょうはお友達とランチにいったんよ」なんて会話に混ぜてもらうのが次第に私の週末の楽しみになりました誰とどんな話をしたか、スタンプの横に書き残しています住吉温泉に行ったときのことは、こう記しました「温泉を管理するおばちゃんに会った ここは一度閉じた温泉だけど、この方が立て直したんだそう(略) こういう地元の人がいるから、 我々は温泉を楽しめているんだな…ありがたい」 この時、共同温泉の後継者不足の問題を初めて知りました 共同温泉に押し寄せる 後継者不足の波 この言葉が心に残り共同温泉の取材を始めました「住吉温泉」は話をしたおばちゃん含めて3人で経営 おばちゃんはテレビに出るのが恥ずかしいということで代表の菅さんに話を聞きました 菅裕之さん高校時代からほぼ毎日、住吉温泉を利用してきました。 地区の自慢だったと言う住吉温泉が経営難や人手不足が原因で閉鎖したのは6年前 「なくなると困る」という地域の人達の声を受け常連客だった菅さんたちが立ち上がりました しかし、温泉の管理は重労働とくに大変なのが清掃です衛生面から毎日行わねばなりませんがそれを営業が終わった時間からほぼ休みなく行うのは菅さんにとって体力的に厳しいもの 管理しているメンバーは全員70歳以上目の前の作業をこなすのが精いっぱいの日々です だんだん年をとってきて、10年後、今と同じ働き方はできない将来的なことは何も考えられなくて、とりあえず今できることでいっぱいいっぱい若い人が力を貸してくれたら・・・  別府の文化を“若い力”が守る おなじ別府市内の「前田温泉」管理者の高齢化が原因で廃止の危機にありましたが若い力で存続できた共同温泉です ここでは、菅さんが重労働と語っていた清掃作業をアルバイトの大学生が担っています複数人で担当していますがそのなかで中心となっているのが別府大学3年生の重光宏哉さんです 重光さんの清掃に密着すると…作業がはじまる時間は温泉が閉まる午後10時 まず栓を抜いてお湯をすべて流しますそのあと、溝に溜まった汚れを洗浄機を使って洗い流しますさらにはロッカーや靴箱も入念に 1人黙々と作業すること、30分時計が10時半を指したころバイクに乗った重光さんは一言 「次に行きます」 前田温泉を軸に1日3か所の温泉を清掃することもあるそうで帰宅は日付をまたぐことも… こうした生活を続けること2年清掃した回数は、1200回にのぼっています 重光さんがこの活動を始めたきっかけは大学の講義で別府の共同温泉が人手不足だと知ったことでした 始めた頃は、ほかのアルバイトと掛け持ちできるからという気持ちもあったそうですしかしあるときから別の気持ちがわいてきたといいます これは、温泉の利用者から届いた“感謝の手紙”こんな言葉が書かれています 「こんなに立派な明るい前田温泉にしてくださり なんだか心まで浮き浮きしてきました ありがとう 心から感謝しています…」 こうした手紙をもらった重光さんには次第に共同温泉という“文化財”を守りたいという責任感が芽生えてきました 共同温泉に未来はあるのか? しかし、重光さんもいつまでもこの活動ができるわけではありません卒業後はふるさとで飲食店を開くという夢がある重光さん自分が中心に行っている清掃作業が滞り共同温泉という文化がまた危機に瀕するのではと考えています そこで、共同温泉を守ってくれる仲間をさがすため自分と同じ世代に温泉の魅力を発信する活動を始めました   11月26日の「いい風呂の日」に学生の入浴料を無料にするイベントを開くなど精力的に活動しています またSNSも開設し、学生たちで知恵を出し合い共同温泉の魅力を発信しています 自分と同じ思いを持った若者が現れてほしいその一念での重光さんの活動が続きます 学生と地域の方が交流できるイベントを通して前田温泉の魅力を多くの学生に認知してほしい後継者を探して一種の文化財である共同温泉を守っていってもらいたい   慢性的に続く共同温泉の担い手不足 別府の文化を守り受け継いでいくためいまこそ、具体的な対策を考える時が来ています

執筆者 飯尾 夏帆(NHK大分アナウンサー)
2022年11月25日 (金)

いまや家族の一員! ペットの老後を見守るには?

みなさんは犬や猫など、ペットを飼っていますか? 上のグラフは飼われている犬と猫の寿命の推移を調べた調査の結果 体の大きさなどにもよりますがこの10年で猫は1.3歳、犬は0,78歳のびているということなんです   そうなると今度は寿命がのびたペットの“老後”をどのようにしていくのか、という課題が私たち飼い主に問われることになっているのです今回は大分市内でよりよいペットの老後に向きあっている人たちを取材してきました 大分市内のドッグサロンです ここでは犬のしつけ教室のほかに年をとった老犬むけの介護支援などをおこなっていますペットを介護するうえで大切になることはなにかスタッフの木原今日子さんはこういいます 「覚悟」と「お金」と「体力」 どれも大切だけど、みんなつながっていて 結局、「お金」が必要になりますよ、という「覚悟」でもあるし 「体力」がないと介護の期間がどのぐらいになるかわからないので その「覚悟」   こちらはスタッフが飼っているトイプードルのディディー君年齢は18歳 人間では90歳を超えているそう自力で体勢を変えたり、歩くことが難しいため歩行器をつけての生活家に残してくると心配なため、店に連れてきていますここには仕事などの間、ディディー君のような犬を預ける人もいます  木原さんは、いま世話している犬や自身の飼い犬を介護した経験からペットを飼っている人にこういうといいます  私ももう亡くなった犬を1年介護しました その子のあとに犬を飼う時に 自分の年を考えて、 大きさと犬種と年を考えて次の子は飼いましたけど その前の子のことがあったからそうやって考えたけど 初めて犬を飼いますというときに、そこまで思っている人のほうが少ない   確かに…みなさんはどうですか?ペットを飼いたい!ということにだけ意識がいっていて飼った後のこと、とりわけ老いてきたペットとどう過ごすか、そんな先のことまで考えないですよねでも、木原さんのことばから“自分より確実に先に逝く存在”と考えることも大切なんだと考えさせられました   そんななか、年をとった犬の健康を気軽に相談できる場所を提供している人がいます   大分市内のペット関連グッズのお店ですここにはある人を頼りに多くの飼い主が訪れます 本村あいさんは統一認定動物看護師の資格を持ち6年半にわたって動物病院で数々の命と向き合ってきました  この日、本村さんのもとを訪れたのは2匹のトイプードルの飼い主 飼い主:クレアチニンの数値が初めて高くてびっくりして本村:クレアチニンの数値は少し上がりましたが レンちゃんの体調は落ち着いてますよね 腎臓よく踏ん張っていると思います。     医師の診断書をみて飼い主と話し、寄り添いながら人間のことばを発することができない犬の調子を見て取ります そこにはこんなきっかけが… (看護師時代に)病院で診察をして先生が話したことを飼い主さんが 頭が真っ白になって帰っていくのを見てきてたので そのあとのほうが気になったんですね、仕事しているうえで それで、どちらかというと今後そういう飼い主さんにできること 自分がわかる範囲で飼い主さんだったらこうやってできるんだよと 伝えていくほうが私の中でおおきくなった   さらに食の面でも力強いサポートを行っています 佐藤佳枝さんです 人の管理栄養士と犬の管理栄養士、両方の資格をもっていて犬の健康を考えたごはんづくりをしています 私たちと同じように安心で安全なものを 大切なワンちゃんにも食べさせてあげたいというのと 少しでもおいしく食べさせてあげたいなというのがあります 佐藤さんはもともと産婦人科医院で管理栄養士として働いていましたそのとき、離乳食づくりの指導をした経験を活かし年をとった犬でも食べやすい食事を作っています細かく刻んだり、こしたり…   食材は県内の農家が作ったものを使いますさらに… こちらは安心院のすっぽん…なんともぜいたく… 本村さんと佐藤さん専門的な知識を持つ2人のサポートが年老いたペットの飼い主の不安を取り除いています 飼い主:犬はしゃべれないから。 人間だったら調子悪いとかご飯食べたくないとか言ってくれるけど 犬は様子を見て想像するしかないから 相談して「こんなんだけど、どうだろう」というと 犬がしゃべらない代わりに本村さんがしゃべってくれる   本村さんは年老いたペットとのこれからの時間にしっかり向き合ってほしいと考えています いままでこれしたから悪かったのかなと 飼い主さんはよく後悔するんですよね 診断された時点で後ろ向きの発想をしてしまう でもそんな後悔している時間でも 毎日時間は過ぎてしまうので そこにいかに向き合っていくか 心が折れそうになったらここにお話ししにきてねというんですけど 医療的なことじゃなくて、そっちのほうがより身近にしてあげられる     私が飼っていたミニチュアダックスフンドは12歳まで生きてくれたんですが、当時の私は大学生で実家を出ていましたたまに帰ると昔ほど遊んでほしいとじゃれてこなくなったり散歩の歩みもゆっくりになっていたりいろいろなところで老いを感じました 今回の取材をしてみて、いま思えば老いたペットとともに生きる時間が濃い大切な時間だったんだなと思わされました   今回取材してみてペットについても高齢化や介護という問題としっかり向き合う責任が私たち飼い主には求められると感じました

執筆者 西垣 光(いろどりOITAキャスター)
2022年11月18日 (金)