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トリニータ前監督・片野坂知宏さんが斬る!~第40節秋田戦 勝利のカギは?~

アナウンサーの西岡遼です。サッカーJ2リーグのシーズンは最終盤。残すところ3試合となりました(vs 秋田、金沢、群馬)。 この記事を書いている第39節終了時点で、トリニータは11位。J1昇格プレーオフ圏内である6位長崎との勝ち点差は4。 大変厳しい状況ですが、まだ昇格の可能性は残されています! NHK大分では、第40節秋田戦を生中継!(10月29日(日)午後1時~ 総合・大分県域) 大事な試合に向け、秋田戦での解説もお願いしているトリニータ前監督の片野坂知宏さんに、勝利のポイントやカギとなる選手について伺いました! (片野坂知宏さん) 鹿児島市出身の52歳。現役時代は広島や柏などで左サイドバックとして活躍し、2003年にトリニータで現役を引退。2016年にトリニータの監督に就任し、1年でJ3からJ2に復帰させる。さらに2018年にはJ2で2位に入り、チームとして6年ぶりとなるJ1復帰へ導き、J2優秀監督賞受賞。監督として自身初挑戦となった2019年のJ1では、予算規模が小さいなかで9位に押し上げ、J1優秀監督賞を受賞した。2021年に退任となったものの、指揮官として最後の試合となった天皇杯ではクラブ初の準優勝に輝いた。現在は解説者として活躍中。  カタさんが見る 最近のチーム状況 トリニータのシーズン前半(第1節~第21節)と後半(第22節~第39節)を比較しました。 シーズン前半折り返しまで2位だったものの、そこから勝ち点を積み上げられず今の順位にいます。 片野坂さん「シーズン中盤から主力選手のけがが相次いで、序盤の勢いを維持するのが難しくなった。フォーメーションの変更などで修正を図ってきたものの、ピッチ内の選手間で意思疎通がうまくいっていなかったように感じる」。 と分析。 「ただまだ昇格の可能性は残っている。見ている限り選手たちは、残り全試合の勝利に向けて準備していますね」とチームの練習を見ながら話してくれました。   ブラウブリッツ秋田 「走り勝つ」チームスタイル 対戦相手、ブラウブリッツ秋田とはどんなチームなのでしょうか。 現在13位。得点はJ2最少の33で、得点のおよそ半分がセットプレーから生まれています。 失点はJ2で5番目に少ない41です。 秋田の要注意なところは?という質問に、片野坂さんは ▼試合終了まで落ちない運動量  ▼前線からの激しいプレス  ▼奪ったらすぐに前へ放り込むロングボール の3つを挙げました。 片野坂さん「就任4年目の吉田謙監督が志向するサッカーはシンプルで強力。球際に強くいくこと、最後まで走りきること、サッカーの本質の部分で強い。簡単に勝てる相手ではない」。   秋田戦 勝利のポイントは?(攻撃編) では、どうしたら勝てるか?攻撃では ▼先取点をとること  ▼複数点をとること  ▼必ずしもきれいに崩すことにこだわらないこと をポイントにあげました。 そして、カギを握る選手には ◆左ウイングのFW18・藤本一輝選手 ◆中央の攻撃的なポジションFW11・渡邉新太選手をピックアップ! 片野坂さん「藤本選手のドリブルで相手を1枚2枚はがしてチャンスメイクをし、好調な渡邉新太選手を中心に得点に絡むシーンを増やしてほしい」。 と期待を込めます。さらに、 「攻撃の形ももちろん大事だが、このシーズン終盤でより大事なのが『泥臭く得点をもぎとる』こと。きれいに崩し切ることにこだわらず、どんな形であれリスクを恐れず複数得点を狙っていってほしい」とのことです。  秋田戦 勝利のポイントは?(守備編) 次に守備です。相手のストロングポイントである ▼ロングボール・セカンドボール ▼セットプレー・ロングスロー これらへの対応が焦点になると片野坂さん。 カギになるのは、ブラジル人センターバックの◆DF3・デルラン選手 ◆DF・31ペレイラ選手だと言います。 片野坂さん「秋田はFWの選手にどんどんロングボールを入れて、こぼれたボールを高確率で回収して攻撃をつなげてくる。対抗するためにはしっかりとロングボールで競り勝つことが大事。また、セットプレーが秋田の強みでロングスローもどんどん入れてくる。デルラン・ペレイラのセンターバックの高さと強さでボールを跳ね返してもらいたい」と期待していました。 そのうえで片野坂さんは、「無失点で勝利することがとても重要」と指摘します。 「無失点で試合を終えられると、次の試合に向けてメンタル面で大きく上向きになる」とのこと。 秋田戦含めた残りの3試合を勝ち切るためにも、まずは秋田戦を無失点におさえて波に乗りたいですね!    スコア予想は、ズバリ! 「2-0でトリニータの勝利!」 片野坂さん「複数点をとり、無失点で試合を終わらせ、次につながる気持ちよい勝ち方を期待したいです」。   【3連勝でJ1昇格へ望みをつなぐために】 最後に、秋田戦・金沢戦・群馬戦を3連勝でJ1昇格に望みをつなぐためのポイントを教えてもらいました。 「交代選手を生かす」 「展開や時間帯によって、攻め続けるのか・守り抜くのかをピッチ内全体で意思共有をはかる」 「集中力を最後まで切らさない」 の3点。私たちも気持ちを切らさず応援しましょう!   【J2第40節 大分トリニータ vs ブラウブリッツ秋田】 放送:10月29日(日)午後1時~ NHK総合(大分県域) 解説:片野坂知宏さん (実況・西岡遼)ぜひご覧ください!

執筆者 西岡遼
2023年10月27日 (金)

【元小結・松鳳山に挑む!女子中学生】

全国大会で優勝する選手もいるなど、女子の相撲も盛んな大分県。 今回、相撲に励む子どもたちにもっと強くなってもらおうと、別府市の道場に、特別講師として、宇佐産業科学高校出身で、大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也さんをお招きました。 今回は、松谷さんとの対戦を熱望していた女子中学生の夢が叶いました。   初の全国大会優勝を目指す 高いしこを踏む中学1年生 16人の小中学生が稽古に励む、別府実相寺相撲クラブです。 このうち、5人が女子選手です。 中学1年生の甲斐実里(かい・みのり)さんです。 甲斐さんは身体能力が高く、こんなに高いしこを踏むことができます。 しかし、誰もがここまで踏めるわけではありません。 優勝31回の横綱・千代の富士や、優勝22回の横綱・貴乃花も、高いしこを踏める力士でした。 高い柔軟性とバランス感覚がないと、高いしこは踏めません。 甲斐さんは、初めて出た相撲大会をきっかけに小学1年生から稽古を始め、去年、小学6年生の時には全国大会で準優勝しました。 相撲の魅力をこう感じています。 (甲斐実里さん) 「ものとか使わずに、自分の体で勝負するところが相撲のおもしろいところ。自分より体が大きい人に勝った時が楽しい」   基本的に体重別で争う女子の相撲ですが、線の細さが課題の甲斐さん。 まだ成し遂げたことのない全国大会での優勝に向けて、自分より大きな松谷さんと相撲を取ってみたいと考えています。 実は甲斐さん、こんなことがありました。 NHK大分が去年、宇佐市で開催した「教えて松鳳山」というイベント。子どもたちの質問に対して、松谷さんが実技を交えて答えるというものでした。 このイベントに参加した甲斐さんは、松谷さんに質問ではなく『私と相撲を取ってください』と申し出たのです。 (甲斐実里さん) 「元力士と相撲を取る機会はあまりないので、相撲を取って、思い出になったと思いました。自分より体が大きい人にどうしたら勝てるかを学びたいです」 そのとき対戦はできませんでしたが、今回、松谷さんへの挑戦が実現しました。   元小結・松鳳山に挑む中学1年生! きれいに掃き整えられた土俵に甲斐さんと松谷さんが入ります。 そして、立ち合い!踏み込んだ甲斐さんは左を深く差して、松谷さんの腰の右側に食いつきました。 左脚をうまく使いながら攻めますが、重い腰の松谷さんは動じません。 うまくまわしを切った松谷さんは、甲斐さんの背中に素早く回り込み、送りつり出しで土俵の外に甲斐さんを出しました。 めいっぱいの相撲を取った甲斐さんは、取組後、松谷さんから、大きな相手に勝つためのポイントを教わりました。 (松谷裕也さん) 「もっと密着して、相手に身動きをとらせないようにすること。こっちの脚で、相手の膝を刈りながら出ていく。そうすれば、もっと勝てると思う。当たりもよかったし、しこもきれいだし、このままがんばって!」 (甲斐実里さん) 「自分の良いところや改善点などを教えてもらったので、稽古して、全国で優勝できるようにしていきたいです」   今回、男子も含めて松谷さんから様々な指導を受けた子どもたち。いい表情をしていました。 (松谷裕也さん) 「相撲を取って、楽しいと思ってもらえれば、相撲は好きになると思うんで、それでなおかつ、試合で勝てるようになってくれば、もっと好きにもなると思う。稽古はきついですけど、その先に楽しいことが待っているので、そうやってもっと相撲を好きになってほしいですね」   子どもが稽古できる環境は、大分県内に6カ所(別府市、大分市、宇佐市、中津市、日田市、佐伯市)あります。 少子化の世の中ではありますが、男女問わず、相撲を楽しむ子どもたちが増えていくことを願っています!

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年09月06日 (水)

【大相撲実況アナが元小結・松鳳山に挑戦!】

相撲に励む子どもたちを指導するために、別府市を訪れた元小結・松鳳山の松谷裕也さん。 今回、大相撲実況アナウンサーの私も、今後の仕事に活かすために、松谷さんに挑みました。 果たして、その結果は・・・。   勝負は仕切りから始まる 勝負師の鋭い眼光 まわしを締めて、しこを踏み、戦いの時に備えます。 実はこの稽古まわし、佐伯市出身の元関脇・嘉風の中村親方が現役時代に使っていたものです。 その貴重なまわしを今回、お借りしました。   勝負は仕切りから始まっていることを、今回強く実感しました。 まず私の目線で見てください。 松谷さんの顔、めちゃくちゃ怖いです。小心者の私は、これでだいぶ萎縮してしまいました・・・。とはいえ、勝負です。さあ、立ち合い。   太い腕に重い腰 元三役力士のすごみ 立ち合いに精いっぱい、当たりに行きましたが、岩のように重い体。 左四つに組み合いましたが、ただ組んでいるだけでも、圧力が強く、腰が「く」の字に。 さらに松谷さんの腕が太くて右の上手が届かない・・・。 作戦変更!右を巻き替えてもろ差しに。よし懐に入れた!あれ?びくともしない・・・。 これではダメだ。頭をつけよう。よし潜り込めた!と思った瞬間。体が裏返し。 上手投げで転がされてしましました。 決まり手は、私がけがをしないようにそっと投げてくれた「とても優しい上手投げ」でした。 当たり前ですが、「強い」。 大相撲の実況をするとは言えども、これまで実際に関取と組み合うことはありませんでした。 松谷さんに稽古をつけてもらい、あの腕の太さや足腰の強さを体感できて、非常にいい経験となりました。 土俵で相撲を取ったのは小学生のとき以来でしたが、とても楽しかったです。 情けない負け方でしたが、体ひとつで全力を出し切る。何とも言えない清々しさがありました。 これを機に、よりよい実況ができるように精進していきます!

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年09月06日 (水)

【目指せ 女子相撲日本一】教えて松鳳山!

「相撲」というと男子のイメージが強いかもしれませんが、実は大分県は、女子の相撲が盛んです。 女子の大会は基本的に体重別で行われ、これまでに大分県から、全国大会で優勝する選手のほか、世界大会で表彰台に上がる選手も出ています。 夏休み、全国大会での優勝を目指す小中学生に、今回、強力な講師をお招きました。 宇佐産業科学高校出身で、大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也(まつたに・ゆうや)さんです。 松谷さんのアドバイスで、子どもたちがどう変わったのか、見ていきましょう。   男子と一緒に稽古する女子 小学1年生から中学3年生まで、男女16人が稽古する別府実相寺相撲クラブです。 このうち、女の子は5人で、稽古は男の子と一緒に行います。 女子選手たちは、自分の体だけで戦う相撲に魅力を感じています。 (左 中学2年生 黒岩由莉香さん) 「自分が勝っても負けても、そこで負けたとしたら、自分がどんなところが悪かったのか、そういうところを考えて、自分で改善していくところがおもしろいです」 (右 小学3年生 安本奈未さん) 「得意技は下手投げです。(下手投げが決まったときはどう?)監督に『それで行け』って言われる」   このクラブを立ち上げて30年になる末宗公明(すえむね・きみあき)監督(73)です。 これまで、全国大会で優勝を成し遂げた女子選手を4人育ててきました。 女子選手が活躍する理由についてこう考えています。 (末宗公明監督) 「女子だからって気を緩めることもありませんし、男子と同じメニューで、すべてやります。小学生の間は、むしろ女子の方が体幹が強い場合があるんですね。だから、男子に勝てるということが、一番相撲にはまっていく要素かもわからないですね」   特別講師・松鳳山、別府に現る! 夏休み、相撲に打ち込む子どもたちにもっと強くなってもらうため、今回、この方に来てもらいました。 大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也さんです。 松鳳山は、激しい突っ張りと、相手の懐に入る相撲で、金星5個、三賞4回を獲得。38歳まで関取として活躍した人気力士でした。 現役時代の黄金の締め込み姿で指導する松谷さん。 まずは相撲の基本「すり足」を、自ら見本を見せて教えました。 (松谷裕也さん) 「ただ足をすって前に出ればいいものではない。自分の目の前に対戦相手をイメージして、その相手をおっつけて押す、脇を締めて押す。こうやってイメージしながらすり足をやることが大事。バスケットボールを持つようなイメージで手を構えると、自然と下から手が出てくる」 さらに得意の突っ張りも伝授しました。 「後ろに回すイメージで。前に突くより、腕を引くことが大事。じゃないと、次の手が出てこない」 わかりやすいことばで指導し、子どもたちも熱心に取り組んでいました。   隙のない相撲を! 全国大会優勝を目指す小学5年生  ことし6月の全国大会で優勝した、小学5年生の黒岩香莉奈(くろいわ・かりな)さんです。 中学2年生の姉、由莉香(ゆりか)さんと、小学1年生の弟・香之介(こうのすけ)くんとともに相撲に励み、力をつけてきました。 まわしを引いてからのうまさが最大の持ち味です。 (黒岩香莉奈さん) 「自分の技が決まったら気持ちいいし、相手を押し出したらうれしい」 ことし10月に行われる全国大会でも優勝を目指す中で、松谷さんに自分の相撲を見てもらいました。 しかし、2学年上の中学生との稽古では、懐に入られて、寄り切られてしまいました。 松谷さんが気になったのは、香莉奈さんの右手の使い方でした。 まわしを引いて力を発揮する香莉奈さんですが、苦しくなると、深い位置のまわしを引いてしまいます。こうなると、相手に深く差されてしまうため、脇が空いて攻めにくくなります。 (松谷裕也さん) 「差されちゃダメ。深い上手では、絶対に相手に力も伝わらないし、どんどん苦しくなるでしょ。まわしを取ったら、そのまま懐に入るか、そこで我慢しないと。相手の腕をおっつければ、相手は苦しくなって腕を抜いてくれる。そうすれば、中に入れて次が攻めやすくなる。地道に、地道に、コツコツとやっていこう」 松谷さんのアドバイスを受けて、稽古を再開した香莉奈さん。 今度は右手をうまく使って、浅い位置のまわしを引きました。松谷さんのアドバイス通り、そこから相手の懐に入ることができました。 最後は得意の投げも駆使して勝ちました。 (黒岩香莉奈さん) 「教えてもらえて楽しかった。手の使い方が大事。全国大会に向けて、普段の練習でも使いたいです。全国大会で1位になりたいです」 (松谷裕也さん) 「中に入った後は、切り返しや技も上手だったので、もっと体の使い方がうまくなれば、もっと勝てるようになるんじゃないかと思います。女子も世界大会があるので、そういうところを目指して、がんばってほしいですね」   今回、男子選手も指導していただきましたが、これまで稽古場であまり勝てなかった小学4年生の選手が、松谷さんのアドバイスを受けて相撲が変わり、稽古場で連勝するシーンがありました。 松谷さんの指導力もさることながら、子どもたちの吸収力にも驚かされました。 これをきっかけに、大分の子どもたちに、もっともっと相撲が好きになってもらえたら、うれしいです。

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年08月30日 (水)

【トリニータvsロアッソ 見どころざっくり解説】

今週13日(土)は九州ダービー。J2第15節 大分トリニータvsロアッソ熊本です。トリニータにとってロアッソ熊本は、去年のJ1参入プレーオフ1回戦でJ1復帰の道を断たれ、悔しい思いをした相手。そのときの雪辱を果たす戦いです。 NHKでは大分県と熊本県の皆さんに午後2時50分から中継でお伝えします。実況を担当する、私、西岡遼が試合の見どころを紹介します!これを見ると、試合観戦がさらに楽しめるかも。  【前線からのプレスで攻撃的に! 大分トリニータ】今シーズン、好調を維持する大分トリニータ。3連敗したこともありましたが、ここまで14試合を終えて9勝1分4敗とし2位につけています。チームを率いるのは2シーズン目の下平隆宏監督。昨シーズン同様、高いボール保持率で試合を優位に進める攻撃的なサッカーです。その中でも特徴的なのが以下の2点です。・前線から果敢にプレスをかけて、高い位置でボールを奪うこと。・攻守の素早い切り替え。ボールを奪われたらすぐ奪い返す、そして、奪ったらすぐに攻撃に切り替える。いずれも選手には豊富な運動量が求められますが、目まぐるしい試合展開は、見ていてとても面白いサッカーだと思います。  【スタイル不変のロアッソ熊本】一方のロアッソ熊本。昨シーズンは、あと一歩で、こちらも悲願の「J1昇格」というところまでいきました。今シーズンはここまで5勝5分4敗で11位ですが、このところ連勝中と調子は上向きです。昨シーズンの中心選手の多くが他のクラブへ移籍しましたが、チームを率いて4シーズン目の大木武監督のスタイルは今シーズンも変わりません。大木監督のサッカーは徹底的にボールをつなぎます。そして素早いパス回しで相手を崩すほか、ドリブルで中央突破を狙います。 【トリニータ、勝利のポイント】 ともに好調なチーム同士の対戦。トリニータが勝つためのポイントになりそうなのは、①    サイド攻撃とセットプレーでの得点②    前線からのプレスで相手に自由を与えないこと もちろん中央攻撃もありますが、得点としてはサイド攻撃と、DFの安藤智哉選手(1m90cm)や同じくDFのペレイラ選手(1m84cm)といった高さを生かしたセットプレーや、MFの高畑奎汰選手の精度の高いフリーキックからのゴールが多くなっています。サイドにボールが入ったときやセットプレーは、目を離せません!  また、多くの選手から聞かれるのが「相手にプレッシャーをかけて、ペースを乱す」ということです。そのためには、今シーズンのトリニータが掲げる「前線からのプレス」が重要になってくると言えます。特に1トップのFW、伊佐耕平選手は、最前線で相手選手を追いかけ、連動したトリニータのプレスのスイッチを入れる大事な役目を担います。ボールを持った相手を懸命に追う伊佐選手の動きにも注目です!   下平隆宏監督は試合2日前の取材で「去年のプレーオフの時に比べると、今季開幕から継続している“前線からのプレス”と“攻撃の組み立て“は質が上がっている」と手ごたえ十分でした。また、前節の金沢戦は勝ったものの、失点が3だったことを重く受け止めていて、守備の徹底をもう一度意識づけして熊本戦に臨むとのことです。   解説は、片野坂知宏さん(大分トリニータ前監督)と、巻誠一郎さん(元日本代表FW、ロアッソ熊本で5年間プレー)という豪華な2人です。キックオフは午後3時。両チームの意地がぶつかり合う”九州ダービー”、是非ご覧ください。

執筆者 西岡遼
2023年05月11日 (木)

センバツへ!一回り大きくなった大分商業

3年ぶり7回目のセンバツ出場となる大分商業。春夏通じて22回目の甲子園は、県内最多です。センバツに向けて、持ち味の守備力に加えて打撃力向上に努めるチームを取材しました。  堅い守備でつかみ取ったセンバツ出場 大分商業の伝統は堅い守備。WBC日本代表の源田壮亮選手もこのグラウンドで鍛えられました。その伝統はことしのチームも継承しています。秋の公式戦の失点は、1試合平均1.5点。しまった試合運びでセンバツ出場をつかみました。 守りの中心は2人の投手 先発をつとめるエースの児玉迅(こだま・じん)投手は、ストレート130キロ台中盤ですが、バッターの手元で伸び、切れ味で勝負します。この冬は、主に下半身を鍛え、終盤でも球威が落ちない体づくりに取り組みました。 児玉投手「まっすぐには自信があります。球速以上のものを出してバッターをつまらせて打ち取るのが強みだと思います。練習してきた分、 自信はありますし、甲子園という舞台に向けてしっかり仕上げていきたいと思います」 ピンチの時にチームを救うのが、飯田凜琥(いいだ・りく)投手。秋は出場6試合全てリリーフで登板。防御率は0.96でした。決め球は、バットの芯を外す鋭いスライダー。 さらにこの冬、スライダーとは反対方向に曲がる変化球など、新しい球種を習得し、バッターに狙い球を絞らせません。 飯田投手「甲子園でもピンチでマウンドに上がることがあると思います。抑えてしまえば流れを全部こっちに持ってくることが出来るので、負けん気で強気のピッチングをしていきたいです」  勝利のカギは打撃力向上 一方の攻撃。ランナーが出るとバントや進塁打でチャンスを広げて点を奪うのが大分商業の野球です。秋の公式戦はホームラン0と長打力こそありませんが、8試合で76本のヒットを打っています。 去年8月に就任した那賀誠監督は、打撃力のさらなる向上が甲子園で勝ち上がるポイントと考えています。 那賀監督「非力だったんです。九州大会の他の出場チームは力強くて、 打線全体としては格段に体格も太さという面で劣っていたんです。 九州大会を終えて、選手たちももっとしっかり体を作ろうという意識は高くなったと思います」  ウエイトトレーニング強化! そこで、この冬はウエイトトレーニングに力を入れてきました。器具も新調し、週2日程度、90分。打撃や守備の練習を削って筋力アップに時間を割きました。さらに、月1回は県外の専門トレーナーから指導を受け、トレーニングの質を高めました。   こうした成果を特に感じているのが、4番の羽田野颯未(はだの・かざみ)選手です。 羽田野選手「秋の時は160㎏ぐらいのバーベルを担いでスクワットをするのが限界だったんですけど、   今では200㎏担いだ状態でスクワット出来るようになりました。   以前はズボンがOサイズだったんですけど、太ももが大きくなって、XOサイズにあがりました」  トレーニングの結果、打球のスピードと飛距離が大きく伸びました。他の選手も体重が平均5~6キロ増え、強い打球が打てるように。攻撃のバリエーションを増やした大分商業。持ち前のつなぐ野球を進化させ、甲子園に臨みます。  いざセンバツへ 大道主将「要所で一発も出せる力もついてきました。   小技と一発のバッティングを絡めながら1点ずつ重ねていきたいと思います。   守備から流れを作って攻撃につなげていく自分たちの野球ができたらしっかり勝てると思います」

執筆者 西岡遼アナウンサー
2023年03月17日 (金)

新米師匠 雷親方の挑戦

  宇佐市出身、大相撲の元小結・垣添の雷(いかずち)親方が、ことし2月、定年を目前にした入間川親方から部屋を継承し、「雷部屋」の師匠となりました。初めて臨む春場所を前に相撲部屋の経営に奮闘する姿を取材しました。  県産材を使った新しい看板宇佐市出身の雷親方。引退から11年、44歳で幕下以下7人の弟子を預かる師匠になりました。 新たに掲げた部屋の看板には、大分県産のクスノキが使われています。県内で木材業を営む弟の雅俊さんから贈られました。 「僕の宝物ですね。本当に弟が僕にいいものをプレゼントしてくれました。この看板を光らせなきゃなと思っています。師匠としては1年生。自分の経験を教えられたらいいなと思っています」  大切にしている“けがをしない体作り” (現役当時の垣添)現役時代、スピードを生かした相撲で、小結まで番付を上げた雷親方は、同じ武蔵川部屋の横綱・武蔵丸などとの激しい稽古で力をつけました。その一方で、両ひざのけがに苦しめられた土俵人生でもありました。そんな雷親方が大切にしているのは、けがをしない体作りです。弟子たちには、稽古開始から1時間は相撲を取らせず、しこやすり足などで体を鍛えさせます。年齢も性格も違う7人の弟子たち。雷親方は、一人一人に声をかけ、その力士に合ったアドバイスを送るようにしています。 「自分も現役時代、両ひざを手術しました。けがをすると、気持ちは前向きでがんばりたいと思っても、体がついてこないんですよね。気合が抜けるとけがもしやすくなりますし、集中した稽古で、本場所でけがをしない体を作っていくことが大事です」 “世界一”のおかみさん 師匠ともなると、後援者との連絡や弟子のスカウトなど、相撲部屋の経営のすべてに責任を持つため毎日が大忙しです。そんな雷親方には、強力な味方がいます。妻の栄美(えみ)さんです。 実は栄美さん、相撲の経験者で、世界大会での優勝経験もあるトップクラスの選手でした。今は、たくさんの人に雷部屋について知ってもらうために、情報発信を担当しています。新たにSNSのアカウントを立ち上げ、稽古の様子やオフショットを公開しています。 雷部屋では、部屋のみんなでちゃんこを囲みます。栄美さんは力士たちとの距離を縮めようと、積極的に話しかけています。 「若い子からしたら、私はお母さんたちと年齢が変わらないと思うんですよね。少しでも支えにならなければと思っています。たぶん親方に言えないこともあると思うので、そういうことをこれからは聞いていけるようにしたいです」  稽古は厳しく 土俵を離れれば家族のように 土俵を離れれば家族のように接したいという雷親方ですが、「稽古は厳しく」というのがモットーです。 自らスカウトしてきた序二段の雷道(いかずちどう)です。 東京の強豪校で柔道をしてきましたが、相撲の経験はありませんでした。柔道の癖で投げを狙うことがある雷道。雷親方は、相撲の基本である「前に出る攻め」を徹底させます。こうした稽古の成果が出て、雷道は先場所、初めて6勝1敗の好成績を収めました。 「前は相撲にならなかったんですけど、先場所はまわしを取って前に出るという相撲が増えてきたので、基礎をやったから、相撲ができていると思います。親方は優しくて、ちゃんと自分たちを見てくれているいい親方だと思います。部屋で一番強くなりたいと思います」 師匠として第一歩を踏み出した雷親方には、夢があります。   「一生懸命稽古して勝った時の喜び、負けたときの悔しさ、自分が現役時代のことを思い浮かべながら指導していきたいです。稽古も私生活も大変つらいと思うんですけど、頑張れば、いいことが倍になって戻ってくると考えてやってもらいたいです。今、大分の力士が部屋にはいないんですけど、ぜひ僕ががんばって勧誘して、ひとつでも番付を上げられるような力士を、また、お客さんから応援していただけるような力士を育てたいです」  

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年03月10日 (金)