ノロウイルス徹底対策ガイド 症状や感染経路、予防、感染時の対処法

更新日

セルフケア・対処ノロウイルスおう吐がある下痢がある胃・腸・食道お腹(おなか)

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルス感染の流行期は11~3月です。その感染経路は主に2つです。1つは食べ物を介した感染で、ノロウイルスに汚染された食品を、生や不十分な加熱のまま食べることで感染します。特に、ノロウイルスをためやすいかきによる感染が多くなっています。

また、ノロウイルスを含むおう吐物や便で汚染された手による収穫や加工、調理の際に食品が汚染されることがあります。もう1つは人から人への感染です。感染者が吐いたものや便に触れた手を介して、ノロウイルスが口から体内に入ることで感染します。

ノロウイルスの感染経路

またノロウイルスに感染した人は、突然滝のように吐くため、近くにいる人がそのしぶきを吸い込んで感染してしまうことがあります。感染者が使ったトイレや洗面所、ドアノブ、食器などから感染することもあります。ノロウイルスは、わずかな量でも感染します。そのため、感染者が吐いたものや便を触ったあとよく手を洗い、感染者が使ったものをきれいに掃除したつもりでも、ノロウイルスが残っていて感染することがあります。

ノロウイルス感染症の症状と受診の目安

ノロウイルス感染症の症状と受診の目安

ノロウイルスに感染すると、増殖したノロウイルスを体外に排出しようとして強い吐き気やおう吐、下痢が起こります。多くの場合、1~2日で症状は治まり、自然に回復します。ただし、乳幼児や高齢者などの抵抗力が弱い人は、症状が長引くことがあります。

ノロウイルス感染症の症状と受診の目安

その結果、おう吐を繰り返して水分をとることができなくなったり、下痢が続くことで体内の水分が失われ、脱水を起こしやすくなります。おう吐が半日から1日以上続き、特に吐き続けている場合には一切水分をとることができないため、半日ほどで脱水に陥ることがあります。こうした状態になると、乳児はぐったりして元気がなくなります。

また、尿が半日以上出ない、尿の色が濃い、唇がカラカラに乾いている場合は、すでに脱水を起こしている疑いがあります。こうした場合には、すぐに救急外来を受診するか、救急車を呼んで下さい。また、高齢者の場合、おう吐物が誤って肺に通じる気道に入り、誤えん性肺炎を起こしたり、のどを詰まらせて窒息を起こして命に関わることがあります。おう吐物がのどに詰まった場合、すぐに救急車を呼んで下さい。

症状が軽度な場合など家庭で対処するときは、下痢止めの薬を使わないでください。下痢止めの薬を使うと腸の動きが抑えられて、ウイルスが排出されにくくなって治りが遅くなります。おう吐が治まり水分をとれるようになったら、脱水を防ぐために経口補水液やスポーツドリンクで水分や電解質を少量ずつこまめにとります。

感染予防の基本・手洗い

感染予防の基本・手洗い

ノロウイルスの感染を防ぐ基本は、せっけんと流水によるこまめな手洗いです。特に、調理や食事の前、トイレ、おむつ交換、汚物の処理のあとには、念入りに手洗いをしてください。手を洗うときには、洗い残しの原因になる時計や指輪を外します。また、しっかり手洗いしたつもりでも、洗えていないことが多いのが、特に指先と爪の間、指の間、親指、手首です。まず十分にせっけんを泡立てます。指先と爪の間は、指先を手のひらに押しつけて洗います。指の間は、両手を組んで洗います。親指や手首は、もう一方の手指で握り、回転させて洗います。最後に蛇口をせっけんで洗い、ペーパータオルなどで手をしっかり拭きます。ペーパータオルはそのつどゴミ箱に捨ててください。

ノロウイルスは、せっけんやアルコール消毒剤などで死滅させることはできません。とにかくせっけんで丹念に手洗いをして、流水でしっかり洗い流すことが重要です。

感染予防・調理の際は

感染予防・調理の際は

かきなどの二枚貝、サラダなどの加熱しない食品、調理済みの食品など、それぞれの食品を接触させないようにしながら調理してください。特に二枚貝の調理には注意が必要です。加熱するとしても、調理の際にまな板などがノロウイルスに汚染されるおそれがあるので、ほかの食材とは、まな板などの調理器具を別にして、最後に調理します。

調理後は、調理器具を熱湯などで消毒し、しっかり手洗いをしてください。十分に加熱すると、ノロウイルスの感染力がなくなると考えられています。食品の中心部までしっかり火が通るように加熱しましょう。サラダや刺身など生で食べるものも多くありますが、特に乳幼児や高齢者に対しては、冬の間は感染する危険性を考慮して加熱調理することがすすめられます。

身近な人が感染した場合の対処

身近な人がおう吐をした場合は、まず人を遠ざけ、部屋の換気をします。そして、掃除や消毒をするときには、吐いたものに直接触れたり、飛散したノロウイルスを吸うのを防ぐために、使い切りの手袋やマスクなどを着用してください。

床が汚れた場合、まずペーパータオルなどで汚れを覆い、塩素系漂白剤を水で薄めた高濃度希釈液を上から注いでしみこませ、汚れを静かに拭きとります。最後に、消毒のために低濃度希釈液とペーパータオルで汚れた部分を拭きます。衣服やタオルなどが汚れた場合、まず洗剤で静かに手洗いし、低濃度希釈液に数十分つけて消毒します。その後洗濯機で洗いますが、ほかのものと一緒に洗わないようにしてください。

トイレや蛇口、ドアノブ、食器など、感染した人が触ったものは、低濃度希釈液とペーパータオルで拭きます。色落ちや金属の腐食を防ぐために、消毒して10分ほどたったら水拭きします。掃除や消毒が終わったら、手袋やマスク、掃除に使ったペーパータオル、おむつなどはポリ袋に入れたうえで高濃度希釈液をゴミ全体にかかるように注ぎ、密封して燃えるゴミに出します。

身近な人が感染した場合の対処
身近な人が感染した場合の対処
身近な人が感染した場合の対処

塩素系漂白剤の希釈液の作り方

ノロウイルスの感染力を失わせる次亜塩素酸ナトリウムが含まれている市販の塩素系漂白剤を用意します。
汚れ(おう吐物や便)を拭くためには、高濃度希釈液を使います。
作り方は、塩素濃度が5%程度のものは水で50倍、1%程度のものは水で10倍に薄めます。
汚れを拭いたあとの消毒や、感染した人が触ったものの消毒には、低濃度希釈液を使います。作り方は、塩素濃度が5%程度のものは水で250倍、1%程度のものは水で50倍に薄めます。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    流行期!ノロウイルス対策