「風疹」から家族を守る大人のワクチン・予防接種、抗体検査

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風疹熱がある発疹が出た全身皮膚関節

風疹で最も注意したいのが、妊娠中の女性が感染することで、おなかの赤ちゃんに起こる悪影響です。これを防ぐには、男性を含めて風疹予防することが大切です。

『風疹の症状、妊娠中の感染について』はこちら

感染力の強い風疹ウイルス

風疹は、感染力が強い病気で、風疹ウイルスの感染で起こります。風疹の感染経路は飛まつ感染と接触感染で、感染者のせきやくしゃみ、会話などで風疹ウイルスを含んだ飛まつが飛び散り、その飛まつを鼻や口から吸い込むことによって感染します。会話をしているだけでも風疹ウイルスを含んだ飛まつが1~2メートルくらいは飛び散ります。

風疹

風疹ウイルスに感染すると、平均16~18日間ほどの潜伏期間を経て発症します。ただし、風疹ウイルスに感染しても15~30%程度の人は、抗体はできるが症状は現れない不顕性感染(ふけんせいかんせん)となるとされています。不顕性感染の場合でも、気づかないうちに周囲に感染を広げてしまうことがあるため、注意が必要です。

大流行した2013年の調査では、風疹の患者数は女性よりも男性のほうが約3倍多くみられました。感染場所として最も多いのは、職場だといわれています。また、妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに先天性風疹症候群という病気が起こる可能性がありますが、妊婦への感染経路として最も多いのは、夫から妻への感染です。先天性風疹症候群を防ぐためには、男性を含めて風疹を予防することが重要です。

ワクチン接種で、風疹を予防できる

風疹は、風疹含有ワクチンを接種することで予防できます。風疹の予防接種は、主に内科や小児科などで受けられます。風疹ワクチンは、1回の接種だけでは、20人に1人は抗体ができないと考えられているため、2回の接種が勧められます。2回接種する場合は、1回目から最低でも1か月以上の間隔をあけてください。風しんの予防接種には、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の使用が推奨されています。

妊娠中は、風疹の予防接種を受けることができません。女性は、子どものころの接種を含めて妊娠する前に合計2回の接種を受け、接種後、2か月間は避妊するようにしましょう。

風疹の予防接種を受けるには

風疹の予防接種は、内科や小児科などの医療機関で受けることができます。常にワクチンが用意されているとは限らないので、事前に、ワクチンがあるかどうか、問い合わせるとよいでしょう。
また、接種の費用については、定期接種の年齢(1歳児、小学校入学前の1年間の幼児)の場合は、自治体が全額負担しています。それ以外の年齢では、自費になり、費用は医療機関によって異なります。自治体によっては、接種費用の助成を行っているところもあります。

気になる方は抗体検査を受けることもできる

風疹ウイルスに対する抗体があるかどうかわからない場合は、医療機関で血液を採って行う抗体検査によって、抗体があるかどうかを調べることができます。抗体の有無を調べることが目的で行う検査は健康保険が適用されません。自治体によっては、抗体検査の費用の助成を行っているところもあるので、確認してみるとよいでしょう。

風疹ワクチンの接種制度は、年代によって異なる

男性では、風疹の予防接種を受けていない人が多くみられます。これは風疹を含むワクチンの定期予防接種制度の移り変わりが関係しています。生年月日によって、定期接種で風疹の予防接種を受ける機会があったかどうかが異なるのです。具体的な生年月日による違いは、次のようになっています。

風疹予防

  • 1962年4月1日以前生まれ...接種なし
  • 1962年4月2日~1979年4月1日生まれ...男性は接種なし、女性は中学生のときに集団接種(1回)
  • 1979年4月2日~1987年10月1日生まれ...男女共に中学生のときに個別接種(1回)
  • 1987年10月2日~1990年4月1日生まれ...男女共に幼児期に個別接種(1回)
  • 1990年4月2日以降生まれ...男女共に個別接種(2回)(時期は生年月日によって異なる)

接種を受ける機会がなかった人や、接種したかどうかわからない人、風疹にかかったことがあるかどうかわからない人は、自分や家族を風疹から守るために、予防接種を受けることをお勧めします。

現在、子どものころにワクチンの定期接種の機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)生まれの男性について、2022年3月31日までの間に限り、全国で原則無料で抗体検査と予防接種が受けられるようになっています。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。

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