腎臓に良い食べ物、悪い食べ物とは?慢性腎臓病の自己対策 食事療法

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食で健康づくり慢性腎臓病(CKD)体がだるいむくんでいる食欲がない腎臓循環器・血管

食事療法の基本

食事療法の基本

慢性腎臓病の食事療法は、腎臓の働きが健康なときの60%未満になるステージG3aから始めます。腎臓は飲食の影響を受けやすいため、食事に気をつけることで腎臓の負担を軽減し、病気の進行を遅らせることが可能です。
食事療法の基本は、「減塩」「たんぱく質制限」「適正エネルギー量摂取」の3つです。また、必要に応じて「カリウムやリンの制限」を行います。

食塩

食塩のとり過ぎは高血圧につながるため、1日3g以上6g未満にします。ちなみに、日本人の一日の平均摂取量は男性で11.0g、女性で9.2gですから(平成27年国民健康・栄養調査)、この目標はなかなか厳しい数値です。薄味に慣れることから始めましょう。

たんぱく質

たんぱく質は体内で分解されて老廃物となり、ろ過する腎臓の負担を増やすため、摂取を制限します。たんぱく質の1日の摂取目標は、ステージG3aの場合、標準体重(身長m×身長m×22)1kg当たり、0.8~1.0g、ステージG3b以上の場合は、標準体重1kg当たり0.6~0.8gです。肉や魚だけでなく、主食であるご飯やパンにも含まれているので、これらも合計する必要があります。

適正エネルギー量の摂取

1日に摂取する適正エネルギー量は、標準体重と、その人の身体活動量などから算出します。肥満は慢性腎臓病を悪化させる要因の一つなのでエネルギーのとりすぎは控えます。

カリウム

慢性腎臓病が進行すると尿からカリウムが排出されにくくなるため、ステージG3bの場合で1日2000mg未満、ステージG4では1日1500mg未満に制限します。

リン

リンはとりすぎると血管が障害されます。たんぱく質を制限すれば自然と制限されるミネラルの1種ですが、最近はリンが含まれている食品添加物が増えているので、加工食品にも注意が必要です。
なお、食事療法の実践の際は、病気の進行度や持病によって異なるので、担当医や管理栄養士の指導を受けてください。

食事療法の注意点

食事療法の注意点

ステージG3以上の慢性腎臓病では、たんぱく質の制限が必要ですが、たんぱく質は、肉や魚だけでなく、主食であるごはんやパンにも含まれています。例えば、ごはん1杯(180g)には4.5g、食パン6枚切り1枚には5.6g、そば1玉(200g)には9.6gのたんぱく質が含まれていることがあるので、摂取する際には注意が必要です。
また、リンの制限がある場合、加工食品には食品添加物のリンが含まれているので特に注意が必要です。肉や魚などに含まれている有機リンは摂取しても半分ほどしか吸収されませんが、食品添加物の無機リンは摂取するとほとんどが吸収されてしまいます。加工食品を利用する場合は、成分表示をよく見てリンを避けるようにしてください。

便利な治療用特殊食品

腎臓病の患者さん用に市販されている「治療用特殊食品」には、たんぱく質やカリウムがほとんど含まれておらず、効率よくエネルギーをとれるように作られています。
特に小柄な患者さんの場合、摂取できるたんぱく質の量が少ないので、このような高エネルギー、低たんぱく、低カリウムの治療用特殊食品を利用し、低栄養に陥るのを防ぎましょう。インターネットや医療機関の売店などで入手することができるので、担当医や管理栄養士に尋ねてみるとよいでしょう。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    新たな国民病 慢性腎臓病「腎臓病によい食事は?」