慢性腎臓病とは 3つの病気と主な症状(だるさ、頭痛、吐き気、むくみなど)

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慢性腎臓病(CKD)糖尿病腎症腎不全体がだるいむくんでいる食欲がない腎臓循環器・血管

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病は、腎臓の働きが低下した状態や、尿の中にたんぱくが漏れ出る状態(たんぱく尿)の総称で、日本には1000万人を超える慢性腎臓病の人がいると推計されています。
慢性腎臓病になっても、腎臓の働きがかなり低下するまで自覚症状がありません。そのため、慢性腎臓病と診断されても最初は自覚症状がまったくない人が大半なので、気づきにくく油断しがちな病気といえます。最後まで進行すると腎臓が機能しなくなり、透析治療など、自分の腎臓の働きの代わりをする治療を行わなければなりません。

慢性腎臓病を早期発見するために検査を受けよう

慢性腎臓病の主な病気

透析導入の原因

慢性腎臓病と総称される病気のうち、代表的なものに次のような3つがあります。

  • 糖尿病性腎症
    糖尿病の合併症のひとつで、腎臓の働きが低下する。
  • 腎硬化症
    高血圧と加齢が影響し、糸球体が障害される。
  • 慢性糸球体腎炎
    何らかの免疫異常や炎症が関わって発症する。IgA腎症や膜性腎症などを含む。

上に示したグラフは、その年に新たに透析を導入した人が何の病気だったかの割合を示しています。近年では糖尿病によって起こる糖尿病性腎症が圧倒的に多いことがわかります。慢性糸球体腎炎は、生活習慣はあまり関係せず免疫異常などによって若年でも発症しやすい病気ですが割合は低下してきました。腎硬化症は高血圧が影響する病気でやはり増加しています。

慢性腎臓病が引き起こす病気

慢性腎臓病が引き起こす病気

慢性腎臓病は、脳卒中心筋梗塞などの原因になることも明らかになっています。慢性腎臓病の原因である糖尿病や高血圧が動脈硬化を進行させ、また慢性腎臓病そのものが血管にさまざまな障害を引き起こすためと考えられています。慢性腎臓病が認知症のリスクを高めることもわかってきました。

だるさ、頭痛、吐き気など慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病は病気がかなり進行して初めて症状が現れます。主な症状はだるさ、食欲不振、頭痛、吐き気、むくみ・動悸・息切れ、高血圧、貧血、骨が弱くなるなどです。
いろいろな症状が現れるのは、腎臓の働きが低下することで体内にさまざまな有害物質がたまってしまうためです。体内に余分な水分もたまるので、むくみが生じ、血圧も高くなります。
この段階では心臓病や脳卒中が非常に起こりやすく、また透析治療を避けにくくなります。

慢性腎臓病のメカニズム

慢性腎臓病のメカニズム
慢性腎臓病のメカニズム

腎臓は尿を作る臓器です。腎臓に流れ込む全身の血液から老廃物を取り除き、余分な塩分・水分とともに、尿として体の外に排出します。老廃物を取り除くのは、腎臓の中にある「糸球体」という小さい無数の組織です。
図にあるように、腎臓は次のような働きをしています。

  • 老廃物を含んだ血液が腎臓に流れる
  • 腎臓(糸球体)が老廃物を取り除く
  • きれいになった血液を全身に流す
  • 取り除いた老廃物、塩分、水分を尿として体の外に出す

慢性腎臓病では糸球体が少しずつ壊れていきます。その結果、血液中の老廃物が十分に取り除けなくなったり、尿に漏れないはずのたんぱくが尿に交じったりします。一定程度以上に壊れてしまった糸球体は、正常に戻ることはありません。

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この記事は以下の番組から作成しています

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