アトピー性皮膚炎の三大要因
アトピー性皮膚炎は、皮膚に強いかゆみを伴う発疹が顔や体にでき、「良くなったり、悪くなったり」を繰り返す慢性疾患です。
根本的な原因はまだわかっていませんが、「皮膚のバリア機能低下」と「免疫の異常」が生じています。

アトピー性皮膚炎の免疫異常は、「2型免疫反応」という免疫反応が過剰になっている状態と考えられています。
「2型免疫反応」というのは、主に寄生虫などの異物が体内に侵入してきたときに、攻撃するための免疫反応のことです。この反応が異物の侵入に関係なく、皮膚で過剰に起こることで、アトピー性皮膚炎のバリア機能の低下や、かゆみが生じていると考えられています。

さらに、最近の研究により、かきむしることが、これらの異常を促進するということもわかってきました。
かきむしる刺激によって、かゆみを引き起こす物質のインターロイキンIL-4、IL-13が発生し、知覚神経を刺激して、かゆみが起こります。かくことでこの「2型免疫反応」が増強されるという悪循環が生じます。すなわち、かけばかくほど、かゆみが強まる原因になるということです。
新薬登場!最新治療
アトピー性皮膚炎の新薬は開発がなかなか実現しなかったのですが、新薬が2種類登場したことにより、今まで、治療を諦めていた方にも光が差すようになってきました。
まず、1つ目は、生物学的製剤です。通常の薬は、化学的に合成して作られますが、生物学的製剤は、生物が生み出すたんぱく質などの物質を応用してつくられた医薬品です。アトピー性皮膚炎の治療薬としては初めて登場しました。
特に、中等症~重症患者さんの治療に期待ができるものです。

この薬(生物学的製剤)は、かゆみを引き起こすIL4やIL13の受容体にフタをします。ピンポイントにブロックができるので、刺激を発生させない、つまり、炎症を発生させないという薬になります。
従来の薬であるステロイドは、なんでもかんでも抑え込むというもので、抑えて欲しくないものまで抑えてしまい色々な副作用がでるなど、よくない面もありました。
生物学的製剤は、2型免疫反応のみを抑えることができるため、治療効果はしっかりとあり、副作用は少ないという、従来の治療と大きく異なる特徴があります。
もう1つの新しい薬は、JAK(ジャック)阻害薬という種類の塗り薬です。非ステロイドの薬で、症状にかかわらず、成人の患者さんが使えます。用量は、1回5gで1日2回です。

JAKというのは、IL4やIL13などの受容体からかゆみのシグナルを出すのを仲介する物質です。
このJAK阻害薬を使うことで、仲介物質を阻害、つまり、ブロックし、2型免疫反応を抑えることができるのです。
アトピー性皮膚炎のメカニズムの研究や治療法は、急激に進歩しています。
決して自己流で治療することなく、主治医の先生としっかり話し合って治療を進めていくことが、適切なコントロールにとても大切です。
治療を諦めている方もいるかもしれませんが、新しい治療法も出てきたので、ぜひ、皮膚科医に相談してください。