【特集】アレルギーに関する病気の種類まとめ それぞれの原因・症状・治療法

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【特集】アレルギーに関する病気の種類まとめ それぞれの原因・症状・治療法

2人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われる日本。アレルギーと一言でいっても、関連する病気はさまざまあります。食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、ぜんそくなどアレルギーに関する情報をまとめ、それぞれの病気の原因や症状、治療などについて解説します。

アトピー性皮膚炎

強いかゆみに悩まされると、もしかして「アトピー性皮膚炎」ではないか、と不安になる方もいらっしゃると思います。
アトピー性皮膚炎は、皮膚に強いかゆみを伴う発疹が顔や体にでき、「良くなったり、悪くなったり」を繰り返す慢性疾患です。根本的な原因がまだわかっていませんが、「皮膚のバリア機能低下」と「免疫の異常」が生じています。

健康な皮膚の構造
皮膚バリアは刺激から守ったり水分の蒸発を防ぐ

皮膚は細胞が何層も重なって形成されています。
皮膚の表面には、皮脂膜という脂の膜がワックスのように覆っています。その下に角層、顆粒層という組織が並び、この部分がバリアとして非常に重要だと言われています。このような肌の表面組織は皮膚バリアと呼ばれており、約0.02mmと非常に薄いのが特徴です。健康な状態であれば細菌やアレルゲンなどの刺激から肌を守る働きをします。それだけでなく、バリアが皮膚を覆うことで、水分が蒸発していくのを防ぎ、潤いを保つことができます。

アトピー性皮膚炎の方の肌は、角層がめくれ上がり皮脂も減っている
アトピー性皮膚炎の肌がが炎症と強いかゆみが現れる理由

アトピー性皮膚炎の方の肌では、角層が乱れてめくれ上がり皮脂も減ってしまっています。さらに、本来表皮の下層に位置する知覚神経が、細胞が壊れたと同時に発せられるシグナルによって、表面の方に伸びていくことがわかっています。このように、知覚神経に異常をきたすほか、皮膚バリアを通過した細菌やアレルゲンなどによる刺激によって、炎症と強いかゆみが発生します。

アトピー性皮膚炎の三大要因
「皮膚バリアを強くするスキンケア」について知りたい方はこちら

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療薬はステロイドが使われていますが、新しい機序の薬が2種類登場したことにより、今まで、治療を諦めていた方にも光が差すようになってきました。

新薬① 生物学的製剤

アトピー性皮膚炎の治療薬 生物学的製剤

通常の薬は、化学的に合成して作られますが、生物学的製剤は、生物が生み出すたんぱく質などの物質を応用してつくられた医薬品です。

新薬② JAK(ジャック)阻害薬

アトピー性皮膚炎の治療薬 JAK阻害薬

JAK阻害薬という種類の塗り薬です。非ステロイドの薬で、症状にかかわらず、成人の患者さんが使えます。

2つの新薬について詳しく知りたい方はこちら
「アトピー性皮膚炎や湿疹など肌トラブルの治療に使われる漢方」はこちら

アトピー性皮膚炎のメカニズムの研究や治療法は、急激に進歩しています。
決して自己流で治療することなく、主治医の先生としっかり話し合って治療を進めていくことが、適切なコントロールにとても大切です。



アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる物質によって鼻の粘膜が刺激され、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状が発作的に起こるアレルギー疾患で、大きく2つに分けられます。

通年性アレルギー性鼻炎

季節に関係なく症状が起こり、原因の多くは、室内のほこりであるハウスダストやダニだと考えられています。カビやペットの毛、ふけ、唾液なども原因になります。ダニのアレルギー鼻炎に対しては、舌下免疫療法という新しい治療が、2015年に保険適用になりました。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

特定の季節に症状が起こるもので「花粉症」とも呼ばれます。特にスギ花粉がよく知られていますが、季節や地域によってさまざまなものがあります。関東地方では、ほぼ1年を通して花粉症に関連するさまざまな種類の花粉が飛散していて、スギは2~4月ごろ、ヒノキは3~5月ごろ、カモガヤは5~7月ごろ、ブタクサとヨモギは8~10月ごろになります。

「花粉症対策&最新治療」についてはこちら

身の回りからアレルギーの原因を排除することが重要です。

「アレルギー性鼻炎を予防するために日常でできる対策」はこちら



赤ちゃん・子どもの食物アレルギー

特定の食べ物に含まれるたんぱく質が原因となり、じんましん、せき、くしゃみ、腹痛などさまざまなアレルギー症状が起こる病気です。重症の場合は、呼吸困難・意識障害を起こすアナフィラキシーショックに陥ることもあるため、食事には注意が必要です。

乳児では約10%に食物アレルギーがあると言われます。自然に治ることも多いのですが、幼児や学童でも少なくありません。最近はアレルギーの研究が進み、これまで常識だと思われていた対策が変わりつつあります。

食物アレルギーの新しい対策

【新しい対策のポイント】

①「離乳食を遅らせない」
②「食物除去をしすぎない」
③「アトピー性皮膚炎との関係をよく知る」

「赤ちゃん・子どもの食物アレルギーを予防するための新しい3つの対策」を詳しく知りたい方はこちら
小児アレルギーと腸内フローラの研究についてはこちら



アレルギー性肺炎(過敏性肺炎)

アレルギー性肺炎とは?

正式病名は「過敏性肺炎」といいます。非常に小さい物質を吸い込むことで起こります。原因となることがある物質はさまざまです。
鳥のフンや羽毛についているブルームで起こるもの。浴室の木の部分など、室内の湿気多い場所に夏に生えやすい白カビ「トリコスポロン」で起こるもの。そのほかにも、白カビ以外の家のカビ、加湿器やエアコンに繁殖する細菌やカビ、牧草につく細菌、塗料に含まれる化学物質、きのこの胞子など、およそ100~200種類の原因物質が関係すると言われています。

ブルームやカビを吸い込むと、非常に小さいので、細気管支や肺胞まで入りこみます。それが繰り返されると、アレルギー反応が起こることがあります。つまり、ブルームやカビを異物とみなしたためにリンパ球が増加し、その結果、自分の細気管支や肺胞を攻撃してしまい、肺に炎症が起こるのです。これが過敏性肺炎です。

過敏性肺炎を発症すると考えられる条件

過敏性肺炎を発症すると考えられる条件

原因物質に接している人が、すべて過敏性肺炎になるわけではないため、過剰に心配する必要はありません。吸い込みやすい極めて小さな原因物質と接していて、その物質に対して過敏な体質があり、そしてその物質を吸い込む頻度が高い場合に、過敏性肺炎を発症すると考えられています。また、過敏性肺炎はアトピーやぜんそく、花粉症などの病気とはまったく別のアレルギーのため、アレルギー体質の人が起こしやすいわけではありません。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の症状

肺胞に炎症が起こるとガス交換が十分に行えないため、息切れが起こるようになります。また、全身のアレルギー反応として、せきや発熱といった症状も現れます。
過敏性肺炎には、痰(たん)がほとんど出ないという特徴もあります。

過敏性肺炎とぜんそくの症状はよく似ていまが、過敏性肺炎では熱が出ることがありますが、ぜんそくではまず熱は出ません。
ぜんそくでは、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜいめい)が聴かれますが、過敏性肺炎ではそれがありません。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の自分でできる対策

アレルギーの原因物質とそれぞれの対策
防じんマスク

過敏性肺炎の対策の基本は、アレルギーの原因物質を吸い込まないことです。
羽毛製品の使用や鳥の飼育をやめ、駅や公園などの野鳥や鳥のフンもできるだけ避けます。また、冬の満員電車などはダウンジャケットを着ている人が多いので、注意が必要です。

また、風呂場など湿気の多い場所の排水や換気を改善したり、カビが生えやすい腐った木材を除去したりします。自宅のリフォームがすすめられる場合や、それが無理な場合は引っ越しが必要になることケースもあります。加湿器やエアコンが原因であれば、清潔に保つようにします。加湿器は細菌やカビが繁殖しにくい加熱式を選び、まめに水の交換と掃除を行うようにします。

アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)の薬による治療



ぜんそく



子どもの食物アレルギーに関するよくあるご質問

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アトピー性皮膚炎に関するよくあるご質問

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