危険な血管の老化 血管が硬いことで起こる影響と硬くなる原因・対処法
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血管は身体を支える生命線

上に示したのは、全身の動脈を映し出したMRI画像です。頭には脳の血管、胸には心臓が見えます。真ん中にある太い血管が大動脈です。
血管は頭から足の先まで延びており、体全体に張り巡らされています。その長さは、動脈と静脈など全身のあらゆる血管をつなぐとおよそ10万kmと言われており、地球2周半もの距離になります。
体に張り巡らされている血管の中を流れる血液は、全身に栄養や酸素を届けたり、老廃物や二酸化炭素を回収したりしています。血管は私たちの身体を支える生命線なのです。
動脈の構造

動脈は外側から、外膜、中膜、内膜の三層構造になっています。
外膜は外側から血管を保護する層です。中膜は平滑筋という筋肉と2種類の線維からなり、主に血管の収縮と拡張を担当する層です。内膜は血管の内側を覆う内皮細胞と内皮下組織からなる薄い層です。
血管の老化の1つは、「血管が硬くなってしまうこと」
血管は、体全体の健康に大きく関係しますが、年をとるにつれて弾力を失って厚くなったり、硬くなったりして老化していきます。
血管が硬いと臓器に大きな影響を及ぼす可能性がある
心臓は1分間に70回拍動して、毎分5リットルの血液を動脈に押し出しています。そのため、動脈には常に拍動の衝撃が加わっています。血管が軟らかい場合には、この衝撃を吸収することができます。しかし、血管が硬いと、大きな衝撃が伝わっていき、血圧が上昇してしまいます。血圧が高くなると、血管がさらに硬くなるだけでなく、心臓や腎臓など全身の臓器に悪い影響が及んでしまいます。
血管の老化では、「動脈硬化」に最も注意が必要
静脈には、動脈のように高い血圧が加わっていないので、動脈のように硬くなりません。
静脈の血圧はほとんどゼロですが、静脈の血管内には弁がついているので、この働きによって血流が一方通行に流れ、血液は少しずつ心臓に戻っていきます。こういった背景から、血管の老化で最も注意しなければならないのは、動脈が硬くなる動脈硬化なのです。
動脈硬化の2つのタイプと原因
動脈硬化には、血管が狭くなるタイプと血管が硬くなるタイプの2種類があります。
血管が狭くなるタイプは、主にLDLコレステロールが溜まることが原因で起こります。血管が硬くなるタイプは、血管内にカルシウムが沈着して、石灰化と呼ばれる状態になることで起こります。