オーディオドラマ(ラジオドラマ)の表紙へNHKオーディオドラマ〜NHKのFM放送にて好評オンエア中!テレビドラマのポータルへ
 
 
放送済みの作品(2002年)
『明日、四万十のほとりで』
【放送日】
2002年12月21日(土曜日)22:00-22:50

作:丸尾聡
演出:末吉史樹
技術:井沢隆
音響効果:山田正幸

出演:吹越満 渡辺梓 絵沢萌子 田村元治 渡部猛

あらすじ:中平明夫はマーケティング会社に勤める中年サラリーマン。上司から肩たたきにあい、腐っていた。ある日、故郷で民宿を営む父・喜一が倒れたと知らされた明夫は、辞表を出し、妻・佳美とともに実家に帰ることにする。
 そこは清流・四万十川のほとり。かつて田舎暮らしを嫌って都会に飛び出した明夫だが、久しぶりに会った同級生に観光開発の話をもちかけられてその気になり、川のほとりにリゾート地を作ろうと計画。だが、そんな明夫を見て両親や佳美は複雑な思いを抱くようになる。四万十川の豊かな自然と風土を交えて、詩情豊かにドラマ化する。
 
『ロボキッド』
【放送日】
2002年12月14日(土曜日)22:00-22:50

作:ひさうちみちお
音楽:BANANA
演出:今井洋一
技術:川田修
音響効果:大西斎

出演:斉藤由貴 横山揮英 上田定行 川本貴浩
日比野正裕 大山由美 チャーリー
木村庄之助 山田麻琴


あらすじ:ロボットと人間が共存する未来社会。ロボットと人間の夫婦から生まれた子供(ロボット)達も何世代にもわたり数多く誕生した。父がロボット、母親が人間の間に生まれた六郎少年は、学校に行けず、自宅に引きこもっていた。その原因は父と母の意識のズレからくるものであった。六郎の引きこもりは治るのか・・SFのスタイルをとりつつ、現代の親子問題にきりこむ意欲作。
 
第15回銀の雫文芸賞最優秀作
『桃の花あかり』
【放送日】
2002年12月7日(土曜日)22:00-22:50

原作:矢野一
脚色:綾瀬麦彦
音楽:伊藤守恵
演出:小林武
技術:長谷川忠昭
音響効果:加藤直正

出演:井川比佐志 長谷川待子 大橋吾郎
大竹周作 斉川一夫


あらすじ:「桃源郷」…平穏で穏やかな日々が続く理想の老後。定年を過ぎた夫はこの言葉のイメージから、田舎で桃の果樹栽培を始めた。妻との二人三脚、見よう見まねの初めての農作業。日一日と桃源郷に近づいているという夢見る日々。ところが容赦ない病が夢を打ち砕く。脳の運動神経を侵すパーキンソン氏病が妻にとりつく。妻の死を目前にして夫婦、家族の絆と再生への道を模索する。
 
『夫婦うどん』(NHK大阪)
【放送日】
2002年11月30日(土曜日)22:00-22:50

原作:難波利三
脚色:池田政之
演出:宮崎純
技術:中川栄
音響効果:巽浩悦・岡田多行

出演:花紀京 三林京子 曽我廼家文童
宮川大助 宮川花子 岡八郎 原哲男
笑福亭仁鶴 藤田まこと


あらすじ:大阪ミナミの老舗うどん屋の主人・三蔵はうどんの味は抜群だがなにしろ頑固者。娘の友代はいつも手を焼いているが、最近ライバル店が近所にできたのも悩みのタネだ。しかも夫・裕司が脱サラして店を継ぎたいと言い出す。大騒動のうえ、三蔵は渋々ながら裕司に味を仕込み始める。なんとか店を盛り返したい友代は、グルメ評論家に記事を書いてもらおうと一計を案じるが、三蔵と裕司の一代目・二代目対決が行われる羽目になる。
 
11月23日は特番のため放送を休止しました。
 
『座る男』(NHK名古屋)
平成13年度創作ラジオドラマ脚本募集入選作
【放送日】
2002年11月16日(土曜日)22:00-22:50

作:寺嶋奈美子
演出:濱田裕之
技術:川田修
音響効果:沢田智哉

出演:小林正和 片桐はいり 鈴木惠理 木村庄之介
藤元英樹 岡田智恵子 浅野尚伍

あらすじ:ある日、中年男が家の中で捜しモノを始める。探しているのは自分の居場所。というのも、同僚の「父親としての居場所を確保しておけよ」という忠告から、自宅を家捜しするようになった。探せば探すほど自分の存在感の薄さに愕然とする。理解していたと思っていた妻は、家の壁の前に座る男を観察し続け、娘は2週間もの無断外泊。中年男は思う、「自分の居場所は、この家の一体どこにあるのか?」と。現代家族の日常の不安、不条理さをユーモラスに描く。
 
『戦争童話集(二)』(再)
【放送日】
2002年11月9日(土曜日)22:00-22:50

原作:野坂昭如
脚色:佐藤ひろみ
音楽:北爪道夫
演出:保科義久
技術:山中義弘
音響効果:石川恭男

出演:山口崇 藤田弓子 伊崎充則 佐々木すみ江

あらすじ:
「赤とんぼと、あぶら虫」

 南の島で特攻を命じられた少年航空兵は、不時着したサンゴ礁に友達の油虫と赤とんぼ(練習機)を残し、日本に向かって泳ぎだしました。
「年老いた雌狼と女の子の話」
 満州。置き去りにされた幼い女の子を助けた年老いた狼が人間に射殺されますが、骨になっても女の子の墓のそばから離れませんでした。
 
『戦争童話集(一)』(再)
【放送日】
2002年11月2日(土曜日)22:00-22:50

原作:野坂昭如
脚色:佐藤ひろみ
音楽:北爪道夫
演出:保科義久
技術:山中義弘
音響効果:石川恭男

出演:山口崇 藤田弓子 笹野高史 二木てるみ

あらすじ:戦災で孤児となり、栄養失調で幼い妹を死なせた作家・野坂昭如氏がその残酷な戦災体験をファンタジーに昇華させた名作短編集「戦争童話集」のドラマ化。童話だから子供や動物が多く登場するが、弱くて寂しい、声高に物言わぬ彼らの姿から伝わってくるものは戦争の悲惨さと、人の心の美しさである。21世紀に入ってもなお、戦火が地上を覆っている。こんな時だからこそ、この美しくも悲しい童話を多くの人に聞いてほしいと願う。
「干からびた象と象使いの話」                  動物を処分するよう命令が下ったが、小父さんは象と山に逃走。季節が巡り、小父さんと象はどこかへ消えていきます。
「凧になったお母さん」
 猛火が迫る空襲の中、子供を守るためお母さんは、自分の汗を涙をお乳を血を子供に塗りたくります。そして炎を含んだ突風が押し寄せます。
 
『ポンソンファ』(再)
【放送日】
2002年10月26日(土曜日)22:00-22:50

作:長川千佳子
演出:安梨香
技術:伊藤文王
音響効果:最上淳

出演:北村一輝 ユンソナ 中江有里 佐川満男

あらすじ:明(23)は在日3世の次男坊。パチンコ店を経営する両親。店を切り盛りする兄。普段は韓国籍であることさえ意識していなかった。平成不況の下、就職先が決まらない。初めて国籍の壁が立ちはだかる。挫折感ともどかしさの中、日本人の恋人から妊娠を告げられる。どうするとも言えず迷う明。そんな時に、頼りの兄が急死する。兄宛にハングルで書かれた手紙が済州島から届く。兄が結婚したいと思った女性からだった。明は済州島に飛び、兄が彼女に残していた言葉を聞く。「祖国は韓国だけど、母国は日本だ」と。その言葉を噛み締め、明は未来への一歩を踏みだす。国籍を越えて新しい生き方を探す在日青年の物語である。
 
『赤いバス』(再)
【放送日】
2002年10月19日(土曜日)22:00-22:50

原作:志水辰夫
脚色:藤森いずみ
音楽:中村由利子
演出:菓子浩
技術:西田俊和
音響効果:岩崎進

出演:蟹江敬三 小野賢章 石田太郎 松村彦次郎
九太郎 小林愛 小林良也 小野泰隆

あらすじ:還暦を迎えたわたしは、会社の経営を長男に引継ぎ、念願だった山荘での一人暮しを始めた。ある日、散歩の途中スガイミツオという少年に出会う。中学生に見えるが、話しぶりからは知恵の遅い印象を受ける。少年は高速道路のバス停で、バスが通るたびに「バスー」と叫び、赤い定期バスが通ると「あのバスでお姉ちゃんが帰ってくる。」と私に言う。しかし、バス停には時刻表がない。そしてバスは一本も止まらなかった。実はミツオの5つ年上の姉は川で溺れたミツオを助けようとして亡くなっていた。自分の死を意識した主人公が、一人の少年との出会いを通して再生していくドラマ。
 
『神様』(再)
【放送日】
2002年10月12日(土曜日)22:00-22:50

原作:川上弘美
脚色:原田裕文
音楽:谷山浩子・石井明
演出:松本順
技術:星野勇一
音響効果:三谷直樹

出演:谷山浩子 千葉哲也 坂口芳貞 大西多摩恵
倉野章子 林次樹 佐藤英

あらすじ:芥川賞作家・川上弘美の短編集「神様」より5編を再構成した感性にあふれたオムニバス。都会での人間の生活と熊としての本性とのギャップに悩む「くま」。5年前に交通事故で死んだが現世への未練を断ち切れず時々幽霊になって現れる「叔父」。失恋の挙句自殺したが男への想いのあまり壷の中に住んでいる「若い女」。異界の人に恋をし、好きと言えば拒まれる男女の心のねじれに悩みながら歳をとり、ついには男との暮らしを全うしようと帰郷する「老婆」。主人公である私は、「私以外」のものが教えてくれた生きる事の幸せをほの暖かく味わう。
 
『アンチノイズ』(再)
【放送日】
2002年10月5日(土曜日)22:00-22:50

原作:辻仁成
脚色:長川千佳子
演出:保科義久
技術:西田俊和
音響効果:加藤直正

出演:遠藤雅 広瀬彩 谷川清美 横堀悦夫
椿真由美 常盤祐貴 田代隆秀

あらすじ:青年・荒田は市役所の環境保全課の職員。日頃はヘッドホンステレオを常用しロック音楽の世界に逃げ込んでいる。騒音規制条例に基づく騒音の苦情調査をしているうちに、何処でどんな「音」がしており、例えば都会のお寺の梵鐘は何処まで聞こえるのか、といった「音の環境地図」作りを始めてしまう。「盗聴マニア」のテレクラ嬢・マリコ、「絶対音感」の持つ調律師・柏木。それぞれの「音」を抱えた三人の孤独な世界が、荒田を中心に「音」の波紋のように絡み合い重なりながら広がっていく。音ロケーションを駆使した「ライブ感」溢れる会話や効果音を巧みに融合した、新感覚のオーディオドラマ。
 
シリーズ・中東の現代文学
『首飾りと腕輪』
【放送日】
2002年9月28日(土曜日)22:00-22:50

作:ヤハヤー・ターヒル・アブドッラー
訳:高野晶弘
脚色:仲倉重郎
音楽:丸山和範
演出:保科義久
技術:長谷川忠昭
音響効果:小野寺茂樹

出演:李麗仙 平栗あつみ 太刀川亞希
岩下寛 石田圭祐 有川博 うえだ峻 塩野谷正幸
香原俊彦 尾崎光洋 山田孝子

あらすじ:エジプト・ナイル川の上流にある貧しい村を舞台に、伝統的な価値観や風俗習慣の中で生きたハズィーナと、その娘ファヒーマと、さらにその娘ナバウィーヤの女三代の悲劇を描く。ハズィーナの息子ムスタファが出稼ぎのためパレスチナに出かける。娘ファヒーマは村の若者と結婚するが、彼は性的不能者であった。子宝を授かるために、ハズィーナと娘は古代神殿に出向き、“神事”のおかげで娘が生まれ、ナバウィーヤと名づけられた。戦争が始まり、終わる。イスラエルが建国され、パレスチナを追われた息子ムスタファが20年ぶりに帰郷する。大きくなったナバウィーヤが妊娠した。未婚の女性の妊娠は、一族の恥である。ナバウィーヤは、不義の相手を告白しないので、一族の男によって殺される。
 
シリーズ・中東の現代文学
『ティブル』
【放送日】
2002年9月21日(土曜日)22:00-22:50

作:イブラヒーム・アル・クーニー
訳:奴田原睦明
脚色:ミラーカク子
音楽:野田雅巳
演出:真銅健嗣
技術:
音響効果:
出演:

あらすじ:世界最大の砂漠、サハラで、ラクダに騎乗し、遊牧生活を送るベドウィン(遊牧民)達がいる。過酷な砂漠の自然環境に自らを晒し続けている。彼らの生きざまは、物質、情報の蓄積を全てにまさる価値とする都市生活の対局に位置する。遊牧民の青年を主人公に、定住者と結婚してしまった故に背負う自身の生きざまとのギャップを詩情豊かに描き出す。ベドウィン出身の作家クーニーの描く世界を通して、物質的価値の象徴である「ティブル(砂金・金塊)」ではない、人間が生きることの価値を見出そうとする。
 
シリーズ・中東の現代文学
『夢について』
【放送日】
2002年9月14日(土曜日)22:00-22:50

作:ダヴィット・シャハル
訳:母袋夏生
脚色:佐藤久美子
音楽:菅谷昌弘
演出:吉田努
技術:小林清
音響効果:岩崎進

出演:金子貴俊 小木茂光 奥貫薫 銀粉蝶 藤村ちか

あらすじ:イスラエルを代表する作家、ダヴィット・シャハルの同名小説のオーディオドラマ化。舞台は英国統治下のエルサレム。画家になる夢を捨て、法律家として立身出世を目指したツェマフ叔父が留学先の英国から、学位と英国人の妻ステラを得て帰国する。順調に事業を拡大するツェマフだが、病弱なステラが心臓発作で急死する。死後、ツェマフは、かつて自分が描きためていたデッサンをステラが大切に保存していたのを発見する。生前知ろうともしなかった妻の胸のうちを知り錯乱するツェマフだが、やがて事業も縮小し、穏やかな境地にたどりつく。そんな叔父の姿から、甥の「ぼく」は、人生や愛、そして夢について学ぶのだった・・・。
 
シリーズ・中東の現代文学
『ハイファに戻って』
【放送日】
2002年9月7日(土曜日)22:00-22:50

作:ガッサーン・カナファーニー
訳:奴田原睦明
脚色:小野田俊樹
音楽:菅野由弘
演出:保科義久
技術:山中義弘
音響効果:若林宏

出演:磯部勉 倉野章子 南風洋子 小杉勇二
城全能成 三浦威 山本龍二

あらすじ:1967年。パレスチナ人の夫婦が20年ぶりに、今はイスラエルとなっている故郷の地を踏んだ。戦火の中、幼い息子を置き去りにしてきたが、果たして息子が生きているのか?行ってみると、息子は違う名前で呼ばれ、ユダヤの思想を身につけた青年となり、イスラエル守備軍の兵士となっていた…。30年以上も前に書かれたこの小説の環境、パレスチナを巡る悲劇は今なお変わることなく続いている。ニュースで報じられる過激なテロや軍事行動の背景にある深刻な溝の一端を鋭く注視する世界的注目作のドラマ化。
 
放送文化基金賞・ラジオ番組本賞
『ツユクサ』(再)
【放送日】
2002年8月31日(土曜日)22:00-22:50

作:高田慧
脚色:西山務
音楽:宮城孝佳
演出:真銅健嗣
技術:高橋英明
音響効果:原大輔

出演:滝田裕介 吉村実子 小川亜美 長沢大
長棟嘉道 入野自由 速水今日子

あらすじ:平成13年度銀の雫文芸賞受賞作品。植物の細密水彩画の大家であった川合國夫(68才)は脳梗塞の後遺症で一線を退く。ある日、夏休みの課題で「私の植物図鑑」を作りたいという女子中学生が川合の庭を除き込んでいた。庭木や草花の写生をしているひたむきな少女の姿に、川合は知らず知らず自分の技術を伝えていくようになる。互いに接点が少ない、非社交的な二人が「絵を描く」という一点で心を通わせ、それぞれの人生に前向きに生きていく交流のドラマ。
 
『ポンソンファ』(大阪局制作)
【放送日】
2002年8月24日(土曜日)22:00-22:50

作:長川千佳子
演出:安梨香
技術:伊藤文王
音響効果:最上淳

出演:北村一輝 ユンソナ 中江有里 佐川満男

あらすじ:明(23)は在日3世の次男坊。パチンコ店を経営する両親。店を切り盛りする兄。普段は韓国籍であることさえ意識していなかった。平成不況の下、就職先が決まらない。初めて国籍の壁が立ちはだかる。挫折感ともどかしさの中、日本人の恋人から妊娠を告げられる。どうするとも言えず迷う明。そんな時に、頼りの兄が仕事のトラブルからヤクザに刺され急死する。葬儀の後兄宛にハングルで書かれた手紙が済州島から届く。兄が結婚したいと思った女性からだった。明は済州島に飛び、兄が彼女に残していた言葉を聞く。「祖国は韓国だけど、母国は日本だ」と。その言葉を噛み締め、明は未来への一歩を踏みだす。国籍を越えて新しい生き方を探す在日青年の物語である。
 
『消えない蜃気楼』(富山局制作)
【放送日】
2002年8月3日(土曜日)22:00-22:50

作:はせべたかひろ
選曲:伊藤守恵
演出:工藤裕一郎
技術:奥村玲子
音響効果:

出演:緑川光 半場友恵 渡邉由紀 鈴村健一

あらすじ:天才プログラマーの純は、その優秀すぎる頭脳故、親から疎んじられ、愛を知らずに育った。その純の開発するプログラムは疑似人格を持つ画期的な物であった。その頃日本海沖に「消えない蜃気楼」が発生する。純は自分のプログラムそっくりの女性夏生に出会い、一目で恋に落ちる。夏生と出会ってから、純に謎の男が付きまとう。男の正体を見破ることで、プログラムの秘密、そして「消えない蜃気楼」の意味が明らかとなっていく。
 
『インドへ行こう!』(福岡局制作)
【放送日】
2002年7月27日(土曜日)22:00-22:50

作 :井田敏
音楽:松浦義和
演出:平位敦
技術:
音響効果:

出演:

あらすじ:福岡でフリーターとして働く青年・ナオ(21)。行く先々でロクなことが起こらない、ツイてない男。ついに転がり込んだ所が、九州に一つしかない、映画の看板屋。そこでは、痴呆の妻の面倒を見ながら、老境の親方が頑なに仕事を続けていた。でもそんな所には、現代社会からややドロップアウトしている大人達がウロウロしている。中年の手相見、コンパニオンの女等々。世界一映画の盛んなインドに行けば、親方も俺たちもハッピーになれる!いつしか看板屋の親方と、仲間達の夢が広がる。
これからの生き方がまだわからない青年ナオの目を通して、ロマンチックな夢を諦めない大人達の姿をコミカルに、ちょっぴりペーソスを添えて描く。
 
平成13年札幌局・オーディオドラマ脚本募集入選作品
『父さんの羽根』(札幌局制作)
【放送日】
2002年7月20日(土曜日)22:00-22:50

作 :武市亜由美
演出:鹿島由晴
技術:渡部義孝
音響効果:河津孝広

出演:菊池奈々葉 斎藤歩 宮田圭子 阿久津恵
山野久治 松橋勝巳 大月あい佳 泉静那


あらすじ:大学受験を控えた女子高校生・飛鳥(18)の父親は、スキージャンプの元選手だった。飛鳥が子供の時、競技場で見る父は、まるで羽根が生えているかのように颯爽と飛んでいた。
しかし、現在の父親には疎外感を抱いている。ジャンプを引退し、真面目に会社勤めを続ける父なのだが、それがみすぼらしく感じられたからだ。
そんななか、父親が失踪する。父はジャンプ競技場に隠れていた。その間にトレーニングを積み、大会にエントリーしていたのだ。
年をとった父親のジャンプ。成績は振るわないが、飛鳥には往年と同じように父の羽根が見えた。
満足げな父親。だが、その場で倒れてしまう。白血病に冒されていたのだ。
父親への期待と疎外の思いが複雑に絡み合う女子高校生の純真な心情を丹念に描く、父と娘・心の絆物語。
 
『笑い祭』(仙台局制作)
【放送日】
2002年7月13日(土曜日)22:00-22:50

作 :石川裕人
演出:宮城美歌
技術:
音響効果:

出演:

あらすじ:東北地方の小さな村。人口1000人の大洗(おおあらい)村。この村には江戸時代から続く奇祭「大笑い祭」があり、村の名前の由来ともなっていた。祭りの日、村人は全員笑って過ごさなければならず、違反者には厳しい罰もある。
しかし、現在村は村長派と反村長派に分裂中。村長選を控え、反村長派は「大笑い祭」をテレビ局に売り込み、大イベントに仕立てようとしていた。
祭りの準備が着々と進む中で、一組の若いカップルが駆け落ちの計画を巡らせる。村長の孫娘と、反村長派リーダーの息子である。
村人に知られてはならぬ、大洗村のロミオとジュリエットの恋。祭りのどさくさに紛れて、二人は村を出奔しようとしていた…。
小さな村ならではの人間関係のおかしさを、東北小劇団の雄によるラジオ初の書き下ろしとして、コミカルに描く。
 
第30回創作ラジオドラマ脚本募集・最優秀作
『ヒィ、ラブズ、ミイ』
【放送日】
2002年7月6日(土曜日)22:00-22:50

作 :横山玲子
演出:松本順
技術:山中義弘 岡本幹彦
音響効果:管野秀典

出演:北浦実千枝 安間里恵 宮野真守 関剛

あらすじ:創作ラジオドラマ脚本募集・最優秀作。等身大の女子高校生の恋、友情、成長を瑞々しいタッチで描く学園青春ドラマ。
…チビの私とノッポの弥生とは大の仲良し。なんてったって、好きになった人だって同じ。でも、彼は超ハンサムでおまけに秀才。サッカー部のキャプテン。競争相手もいっぱい。なかなか気持ちを伝えられない。それにひきかえ、弥生は挫けても挫けても、果敢に彼にアタックしていく。
「自分の人生を100%頑張っていきたいの」。そんな友達の生き方に励まされ、主人公も人生の目標を持ち始める。
 
『少尉のオルゴール』(松山局制作)
【放送日】
2002年6月29日(土曜日)22:00-22:50

作 :西山務
演出:熊田健
技術:小田健市 加村武 西田俊和 奥村玲子
音響効果:米本満 管野秀典 千本木真純
佐渡ことば指導:田内和代

出演:小田茜 越智静香 佐戸井けん太 夏川加奈子
イリヤ・マーニン 今福将雄


あらすじ:ごく平凡な日常を送る女子大生・ユカは、家庭教師のアルバイトで古いオルゴールに出会う。どこかで聴いたことがあるような懐かしいメロディーが流れる。
その音色の向こうからユカだけに呼びかける 若い男性の声。
同時に幻のようなものを体験するようになるユカ。いつしかそれが幻ではなく「昔本当にあった出来事」であることを確信する。オルゴールの向こうから呼ぶ男性の足跡を追い求めるのだった。人間関係の希薄性が言われる現代社会に、人と人とのつながりを問い直すファンタジードラマ。
 
『夜想曲(ヤソウキョク)』
【放送日】
2002年6月22日(土曜日)22:00-22:50

作 :竹内日出男
演出:保科義久
音楽:菱沼尚子
技術:斎藤隆・山中義弘
音響効果:山田正幸・米田達也

出演:岩下浩 久米明 磯村千花子 弥生みつき
チェン・フォア・ナム 鈴木一功 伊藤初雄 リン・キィ
本田愛子

あらすじ:都会の、フクロウが住むという小さな公園を夜毎訪れる人々。老夫婦が来る。車椅子が来る。車椅子の妻はすでに記憶が混乱し夫をかつての許婚の名前で呼ぶ。
若い女性が来る。「フクロウの鳴き声を聴きながら私の姉は自殺した。どうして姉はそんな事をしなければならなかったの?」ベトナムからの留学生が姉の事を語る。「彼女はマリア様だった。」
彼らはいずれも、自分の罪を深く自覚し、誰に言い訳するでもなく罰を受ける事を甘んじようとする人々であった。そこで語られる罪と罰は、現代日本の歪んだ姿を浮き彫りにし、虚空に向けて語られる言葉はやがて孤独な魂を浄化していく。現代人の孤独を寓話という形で描く。
 
『さまよえる二人』(広島放送局制作)
【放送日】
2002年6月15日(土曜日)22:00-22:50

作 :横山一真
演出:山本敏彦

出演:酒井敏也 河原さぶ 阪本浩之 岡田直子 相沢裕子
深田ちひろ 広田稔

あらすじ:ビルの屋上。今から飛び降りようかとためらっているサラリーマン・可部誠(40)。後ろから引き留める男が現れた。
しかし、その初老の男、どうも体の輪郭が頼りない。
「自分は半年前ここで飛び降りた松崎一郎(享年55)だ。」松崎は自動車部品工場の経営に失敗し、借金がたくさん残っていたが、死ねば保険金も入り、息子と妻だけは何とか暮らしていけるだろう…ビルの上で自殺を躊躇している時に地震に遭い飛び降りてしまう。可部は幽霊の息子である大吾(28)に
会いに行き父の言葉を伝えるうちに、大吾は父の死を受け入れられるようになる。可部は見失っていた「生きる喜び」を実感し始めるのだった。
 
『小さな雨』(大阪放送局制作)
【放送日】
2002年6月8日(土曜日)22:00-22:50

作・演出:須崎岳

出演:カネダ淳 広田ゆうみ 太田宏 占部房子 三上市朗

あらすじ:終戦直後の混乱期、和平の為、極秘文書を英米側スパイに渡そうと工作する若者グループがあった。
リーダー的存在である澤嶋は、工藤と貴子の男女を最後の仲間に選んだ。空襲の騒ぎに乗じてスパイと接触するのだ。ところが決行の夜、空襲の後、澤嶋の刺殺体が発見される。
傍らに座り込んでいた貴子は逮捕。工藤は戦地に送り出された。終戦後、帰ってきた工藤は、その時の真実究明に奔走する。東京拘置所にいる貴子から聞き出した手掛かりは女物のカーディガン。30半ばの普通の主婦が驚きの真相を語り始める。愛と裏切りが交錯する動乱期の青春群像ドラマ。
 
シリーズ・ラテンアメリカの文学5【メキシコ】
『アウラ』(再)
【放送日】
2002年6月1日(土曜日)22:00-22:50
【初回放送】
2001年9月29日

原作 :カルロス・フェンテス
訳:木村榮一
脚色:原田裕文
音楽:菅野由弘
歌・ギター:木下尊惇
演出:松本順
技術:糸林薫
音響効果:吉田直矢

出演:今井朋彦 神保共子 山本郁子 石田圭祐

あらすじ:若い歴史家求む。フランス語が堪能な方。月4000ペソ。食事付。住込み可。
月900ペソで市立学校の助手をしている青年フェリーペ・モンテーロは、ふと目にした新聞の求人広告にひきつけられる。広告主を訪ねていくと、老婦人コンスエロが出迎えた。
60年前に亡くなった彼女の夫のリョレンテ将軍の回想録が未完のままなので、それを完成してほしいのだという。モンテーロは引き受けるが、そこには老婦人の姪のアウラという名の
若い娘も同居しており…。永遠に現在に生きる老婦人の迷宮に迷い込む青年の彷徨を幻想的に描く。
 
シリーズ・ラテンアメリカの文学4【ブラジル】
『アルケミスト』(再)
【放送日】 2002年5月25日
【初回放送】2001年9月22日

作:パウロ・コエーリョ
訳:山川紘夫 山川亜希子
音楽:野田雅巳
脚色:谷登志雄
演出:真銅健嗣
技術:西田俊和
音響効果:久保光男

出演:林泰文 三谷昇 石橋蓮司 下條アトム 此島愛子
豊川潤 林真里花 斉藤志郎 水澤心吾

あらすじ:ブラジルの人気作家、パウロ・コエーリョの代表作をサラウンドでオーディオドラマ化。
スペインの羊飼いの少年サンチャゴは、ある日ピラミッドのそばで宝物を見つける夢を見た。父を説得してサンチャゴは夢の実現のためにエジプトへ向かう旅に出る。
さまざまな困難に遭遇するが、出会う人々に励まされながらも旅を続け、砂漠で錬金術師(アルケミスト)の弟子となる。宝探しの旅はいつしか自己探求の旅に変わっていく。
 
シリーズ・ラテンアメリカの文学3【グアテマラ】
『その時は殺され……』(再)
【放送日】 2002年5月18日
【初回放送】2001年9月15日

作:ロドリゴ・レイローサ
訳:杉山晃
音楽:田頭勉
脚色:高木達
演出:保科義久
技術:高橋英明
音響効果:菅野秀典

出演:吉見一豊 下岸昌代 横堀悦夫 佐藤祐四 西本裕行
新村礼子 小沢寿美恵 秋間登 池田道枝 松井範雄

あらすじ:グアテマラ生まれの作家による小説をドラマ化。
内戦終結後、陸軍を除隊し大学に入学したエルネストは同級生エミリアと恋に落ちる。そして、軍による先住民虐殺の実態をエミリアに教わる。
一方、反体制の秘密組織の構成員だというエミリアの正体を知ったエルネストの親友・ペドロ陸軍中尉は、これ以上彼女と付き合うとお前を殺すとエルネストに警告する。ところが、エミリアの仲間にエルネストはあっけなく殺されてしまう。
1996年、36年間にわたる政府とゲリラとの内戦が終結したが、今も傷痕が癒えないグアテマラを舞台に、“戦後”の生き方を模索する三人の若者の悲劇を描く。
 
シリーズ・ラテンアメリカの文学2【チリ】
『ラブ・ストーリーを読む老人』(再)
【放送日】 2002年5月11日
【初回放送】2001年9月8日

作:ルイス・セプルベダ
訳:旦敬介
音楽:岡本昭
脚色:仲倉重郎
演出:川口泰典
技術:糸林薫
音響効果:藤野登

出演:鈴木瑞穂 松重豊 大谷亮介 あづみれいか
菊池いづみ 福本伸一 大内厚雄 首藤健祐

あらすじ:アマゾン川の上流のジャングル地帯の村に住むボリーバル老人は字を読む歓びを知って以来、公立学校の図書館で借りた恋愛小説を読むのを無上の楽しみにしている。
そんな折、雨季入って間もなく、巨大な山猫に殺された人の死体が発見される。村人は総出で猟銃を持ち、山猫狩りに出発。ボリーバル老人も同行し、ついにジャングルの奥地で巨大なメスの山猫と対峙する。
野蛮な文明人に対する密林の逆襲と、老人の孤高の精神を濃密で緊張感あふれるドラマとして描く。
 
シリーズ・ラテンアメリカの文学1【ペルー】
『誰がパロミノ・モレーロを殺したか』(再)
【放送日】 2002年5月4日
【初回放送】2001年9月1日

作:バルガス=リョサ
訳:鼓直
音楽:川崎真弘
脚色:長川千佳子
演出:吉田努
技術:鷲津寛厚
音響効果:藤野登
歌・ギター:木下尊惇

出演:草野康太 山崎一 石田太郎 増田未亜 広岡由里子
此島愛子 根本博成 川俣しのぶ グラシアス小林 長棟嘉道

あらすじ:ラテン・アメリカ文学を代表する作家、ペルーのバルガス=リョサが1986年に発表したミステリー仕立てのエンターテインメント小説のオーディオドラマ化。
ペルーの海沿いの砂漠にある田舎町ピウラで若い兵隊の虐殺死体が発見された。捜査にあたるのは青年警官リトゥーマと先輩警部補シルバの2人組。2人は殺された青年パロミノが、ピウラの空軍基地で、毎晩セレナーデを歌っていたという噂から、基地に住む士官の家族に恋をしたために殺されたと推理する。そして、マンドゥロー大佐とその娘アリシアに目をつけるが…。
 
『夫婦ぎゃぐ裁判』
【放送日】 2002年4月27日

脚本:さわだみきお
演出:吉田努
技術:岡本幹彦
音響効果:太田岳二

出演:藤村俊二 高山広 岩橋道子 岡森諦 藤真秀
三島嘉崇 武藤陶子 遠藤優斗 上村祐翔

あらすじ:老弁護士・中島和久(70)のもとに、コント作家・浅倉洸介(30)が駆け込んできた。会話で出た妻の智美(33)のギャグを勝手に番組で放送したと訴えられたのだ。
智美は知的所有権を専門とする弁護士で、洸介は大ピンチ。珍妙な「ギャグの著作権裁判」が開始された。
智美の美貌と見事な論陣に中島はタジタジになる。第二回の口答弁論で中島と智美の弁論はディベート化し、やがて個人的なギャグ批判にまで発展。
しまいには裁判官までも洸介のギャグを批判する始末 。
「これは裁判じゃない…。ダメ出しだ…。」
ギャグを巡って法廷で争う若い夫婦と老弁護士の可笑しくも真剣な訴訟の日々を描き、夫婦のコミュニケーションのありようにも一石を投じるハートフルコメディ。
 
『赤いバス』
【放送日】 2002年4月20日

作:志水辰夫
音楽:中村由利子
脚色:藤森いずみ
演出:菓子浩
技術:西田俊和
音響効果:岩崎進

出演:蟹江敬三 小野賢章 石田太郎 松村彦次郎
九太郎 小林愛 小林良也 小野泰隆

あらすじ:還暦を迎えたわたしは、会社の経営を長男に引継ぎ、念願だった山荘での一人暮しを始めた。
ある日、散歩の途中スガイミツオという少年に出会う。中学生に見えるが、話しぶりからは知恵の遅い印象を受ける。
少年は高速道路のバス停で、バスが通るたびに「バスー」と叫び、赤い定期バスが通ると「あのバスでお姉ちゃんが帰ってくる。」と私に言う。しかし、バス停には時刻表がない。そしてバスは一本も止まらなかった。実はミツオの5つ年上の姉は川で溺れたミツオを助けようとして亡くなっていた。自分の死を意識した主人公が、一人の少年との出会いを通して再生していくドラマ。
 
『春の空へ』
【放送日】 2002年4月13日

作:森治美
音楽:吉川和夫
演出:保科義久
技術:奥村玲子
音響効果:三谷直樹

出演:宮崎美子 東恵美子 岡本冨士太 高畑淳子
立川三貴 山田昭一 菊地佐玖子 舟木幸 柘植英樹

あらすじ:津村美恵(38)は旅行代理店の海外ツアーコンダクター。しかし自信のある企画はあまりない。兄・俊一(42)は12年前編集プロダクションを立ち上げたが、バブル崩壊にぶつかり倒産。小出版社に職を得たが給料のほとんどは借金返済に消えていた。
美恵は夢と癒しを目的とした「イルカに会う旅」という企画を立てる。しかし、この不況下では需要が読みきれないとボツにされてしまう。そんな矢先、兄が失踪。この家が俊一の借金のため銀行の抵当に入っており、一千五百万円の借金があることを知る。美恵は家を手放し銀行への肩代わりを決心する。自分自身の再生を託し、再度「イルカに会う旅」の企画をつめていくのだった。
 
『神様』
【放送日】 2002年4月6日

作:川上弘美
脚色:原田裕文
音楽:谷山浩子・石井明
演出:松本順
技術:星野勇一
音響効果:三谷直樹

出演:谷山浩子 千葉哲也 坂口芳貞 大西多魔恵
倉野章子 林次樹 佐藤英

あらすじ:芥川賞作家・川上弘美の短編集「神様」より5編を再構成した感性にあふれたオムニバス。
都会での人間の生活と熊としての本性とのギャップに悩む「くま」。5年前に交通事故で死んだが現世への未練を断ち切れず時々幽霊になって現れる「叔父」。失恋の挙句自殺したが男への想いのあまり壷の中に住んでいる「若い女」。異界の人に恋をし、好きと言えば拒まれる男女の心のねじれに悩みながら歳をとり、ついには男との暮らしを全うしようと帰郷する「老婆」。主人公である私は、「私以外」のものが教えてくれた生きる事の幸せをほの暖かく味わう。
 
平成13年度文化庁芸術祭受賞作品
『幸福な部屋』 (再)
【放送日】 2002年3月30日
【初回放送日】 2001年6月30日

作:井出真理
音楽:川崎真弘
演出:江澤俊彦
技術:鷲津寛厚
音響効果:野村知成

出演:若村麻由美 吹越満 丹阿弥谷津子

あらすじ:聡(31)と杏子(36)は結婚を決め、東京郊外の中古マンション一階の東角部屋を買った。売主のシズ(72)は夫に先立たれたため、違う街の息子夫 婦と暮すのだという。
杏子は日当たり良好の角部屋で庭付きということに、シズ は新婚夫婦に自分の部屋を使ってもらえることに喜び合う。結婚後もアパレルメーカーの仕事を忙しく続け ている杏子が、ある日、妊娠検査薬を買ってくる…。
高齢出産をひかえた夫婦が、子どもの出産をあるがままに 受け入れようと決意していくまでの半年間を、毎年つばめが営巣するという「幸福な部屋」を舞台に、あたたかく見つめていく。
 
劇作家シリーズ4
『小指の思ひ出』
【放送日】 2002年3月23日

作:小里清
音楽:菅野由弘
演出:吉田努
技術:小林清
音響効果:加藤直正

出演:池内万作 椿直 森聖矢 清水理沙 浅野和之
今江冬子 渡辺陽介 大森美紀子 石本竜介

あらすじ:小学6年生のリンタロウ、トウジ、エリカから始まった「ガチャガチャ」の噂。ガチャガチャの中に幸福が訪れる指が入っているというのだ。小指はことのほか価値が高いらしい。
この噂は隣のクラス、名前も知らない学校や街まで広がり、テレビで取り上げられたりもした。
リンタロウの父・楠木の勤める小学校の職員室にもその噂は届いた。楠木は、ガチャガチャに感応する子は虐待を体験しているらしいと知り、妻・佐和子を疑う。
電脳社会の今、あえて「噂」というアナログなもので繋がろうとする子供達を描き、デジタルではない別の「豊かな回路」「繋がり方」を模索する、新鋭劇作家書下ろし。
 
劇作家シリーズ3
『まあるい桜』
【放送日】 2002年3月16日

作:平田俊子
音楽:栗山和樹
演出:岡本幸江
技術:山中義弘
音響効果:菅野秀典

出演:中嶋朋子 村上里佳子 麿赤兒

あらすじ:ナオミ、35才、離婚直後。築30年のボロアパートに引っ越し途中、足をくじいて動けない。「なんで捻挫なんかするかね。よりによって引っ越しの最中に」30年来の友人カクコは遠慮がない。
アパートの外には立派な桜の木があった。「花が開いたらお花見しようね」そう言いながら引っ越し祝いをする二人の思いは、25才、15才、5才と遡る。その時々のナナミをはらはらと、そして優しく見守る。死んだはずの祖母のまなざし。
再び窓を開け、外をのぞいた二人の前に…。
摩訶不思議な大人のための子守歌。
 
劇作家シリーズ2 名古屋放送局制作
『気化しない蒸発』
【放送日】 2002年3月9日

作:坪田塁
音楽:BANANA
演出:今井洋一
技術:川田修・杉戸智己
音響効果:平木和人・沢田智哉

出演:つるの剛士 きたろう 石河美幸 大山由美 チャーリー

あらすじ:山田雅彦は、24歳で無職、両親と祖母の4人暮らし。「映画監督になりたい」という夢だけはあるものの、何をするでもなく、ビデオを借りては「研究」と称して観る毎日。雅彦にいわせれば、「自立って何のことよ?」
そんな雅彦の父がある日、突然、「家出」した。置き手紙には「探されても困ります」。パニックになる母。惚けた祖母は「息子の家出」という事態を理解しているのかどうかさえ、わからない状態だ。雅彦は、1人、冷静にならざるをえない立場に置かれてしまった。
まずは、「仕事探し」。皮肉なことに、ようやくみつけたアルバイトが「高校生の電話悩み相談」だった。自分のほうが相談したい立場なのに、悩み相談にのる日々。そんななかで、父への怒りもさめ、新たな日常が始まりつつあった。「親元を出るのが何が悪いの?」という時代から、「一緒に住むのが何が悪いの?」という時代になった今、否応なく自分を見つめ直す事になった主人公の姿を通して、現代社会における自立を描く。
 
劇作家シリーズ1 大阪放送局制作
『風呂屋の二階』
【放送日】 2002年3月2日

作:深津篤史
音楽:佐藤心
演出:松浦禎久
技術:藤井芳保
音響効果:村中向陽

出演:近藤正臣 江口恵美 三上市朗 上別府勲
サニー・フランシス 内田淳子 生田朗子 あだち理絵子
笑福亭松之助

あらすじ:中年男・本田は、ある日銭湯の2階に閉じ込められる。とはいえ、服を返してもらえないだけで、食事は毎日支給され暖房も完備で、監禁されていることを忘れるほど快適な生活だ。しかし何のための監禁なのか、一切誰からも説明はない。窓から見える動物園からは銃声らしき音が聞こえ、虎やライオンなど、日に日に猛獣が処分されているらしい。世界では何が起きているのか?途中から、若い男のタカシやケンジも監禁されるが、先に解放される。どうやら2人はどこかへ送り込まれるらしい。岸田國士戯曲賞受賞後も関西に拠点を置く劇団桃園会(とうえんかい)主宰・深津篤史が、9.11後のテロや戦争への漠然とした不安や空虚さをベースに書き下ろした不条理コメディー。
 
『アンチノイズ』
【放送日】 2002年2月23日

作:辻仁成
脚色:長川千佳子
演出:保科義久
技術:西田俊和
音響効果:加藤直正

出演:遠藤雅 広瀬彩 谷川清美 横堀悦夫 椿真由美
常盤祐貴 田代隆秀

あらすじ:青年・荒田は市役所の環境保全課の職員。
日頃はヘッドホンステレオを常用しロック音楽の世界に逃げ込んでいる。騒音規制条例に基づく騒音の苦情調査をしているうちに、何処でどんな「音」がしており、例えば都会のお寺の梵鐘は何処まで聞えるのか、といった「音の環境地図」作りを始めてしまう。
「盗聴マニア」のテレクラ嬢・マリコ、「絶対音感」の持つ調律師・柏木。それぞれの「音」を抱えた三人の孤独な世界が、荒田を中心に「音」の波紋のように絡み合い重なりながら広がっていく。音ロケーションを駆使した「ライブ感」溢れる会話や効果音を巧みに融合した、新感覚のオーディオドラマ。
 
山口放送局制作『月の島』
【放送日】 2002年2月16日

作:品川能正
演出:安達もじり
技術:浅越和男
音響効果:岩崎進

出演:利重剛 長谷川真弓 清水宏 浅井淑子 山口千春
右垣秀成 仲木隆司 弥永和子

あらすじ:福岡で人気を誇ったバーテンダー・木島(38)は、逃げられた妻・ゆみ子の故郷、山口県の島へ金を借りに行く。ところが、また喧嘩別れ。さまよい歩く所をある猟師(56)に拾われる。
大切な人に向き合って飲む心の酒「月の島」。
妻を亡くして初めて自分は「月の島」を飲めるようになったと猟師はしみじみと語る。木島はテクニックに走りつづけ「気持ち」を忘れていたことに気づく。
妻にも客にもちゃんと向き合うことがなかった。ゆみ子に会いに行き自分の気持ちを伝えようとする木島。もう1度店を立て直すべく都会へ戻る。
 
平成13年度第22回BKラジオドラマ脚本懸賞佳作
『翔べない豚さん』(大阪放送局制作)
【放送日】 2002年2月9日

作:山下君子
音楽:内山周作
演出:小島史敬
技術:三原睦徳
音響効果:岡田多行

出演:宮崎あおい 関秀人 楠見薫 りあるキッズ・長田融季
りあるキッズ・安田善紀 高松志穂 中村大輝 三上市朗

あらすじ:山瀬あずみ(14)は、7年のイギリス暮らしを終え、父の転勤で大阪にやってきた。愛人を作って別居した母が関西人であることから、大阪を毛嫌いしている。
帰国子女の転校生として一躍人気者になるが、家に帰れば仕事ばかりの父親には内緒で、一人、部屋で自傷することによって、心の平静を得ていた。クラスに、賢という聾唖ではないが一言も話せない少年がいた。
阪神大震災の時瓦礫の中に母の死体と一緒に閉じ込められたショックで言葉を発する事ができなくなったのだ。そんな理由も知らないあずみは「しゃべらない」彼に興味を抱く。
家族の愛情を感じられず「カミソリによる自傷行為」によってのみ、自分の存在を確かめる14歳の少女が、阪神大震災で言葉を話せなくなった少年と交流する事で「人は一人では生きていけない」と感じ、成長して行く姿を秀逸に描く。
 
『あくびと風の威力』
【放送日】 2002年2月2日

作:角ひろみ
音楽:村井秀清
演出:菓子浩
技術:山中義弘
音響効果:石川恭男

出演:佐伯日菜子  大島由香里 塩原啓太
澤田美保 藤原真季子 柴田光 東條織江 河野洋一郎

あらすじ:2002年1月16日の夜、水島直(20)の部屋には友人の涼が泊まりにきていた。そこへ小学校の同級生・カワベ、亜矢、時津が昔の姿そのままに現れる。
思い出話に花を咲かせる5人。気がつくと小学生の姿に戻っていた。5人は合唱コンクールの練習で盛り上がる。何事にも「明日になったらね」と執着しない直に対し、三人はあらゆる事を「今日」しようとする。
実は、三人には「明日」が来なかったのだ。7年前の1月17日の朝、大震災で命を落としたのだった。午前5時45分が近づく。また、あの時が来る…。大きな風が吹くなかで、直たちは果せなかった合唱コンクールの舞台に立っている。歌が終わって、三人は言う。「直、当たり前を楽しめ。」直は、震災後はじめて明日がきたと感じる事ができるのだった。
 
『質屋』(高松放送局制作)
【放送日】 2002年1月26日

作:じんのひろあき
演出:田平憲
技術:田中洋一
音響効果:西村康

出演:渡辺いっけい ふかわりょう 入野自由 田口宏子
増田晋

あらすじ:質屋「満喜屋」は明治23年創業、現在は三代目・幸彦(47)が営む老舗。この質屋はお金を貸す基準が少々違っている。若い人の夢の実現のためなら金目のものじゃなくてもお金を貸すというのだ。「若者はやりたい事は今すぐ試すべきだ。その思いに匹敵する大切なものを質草にすればお金を貸してやれる。」と幸彦は考えているからだ。質屋とは、お金を返しに来なくても、その持ってきた質草を流してお金に換える、そんな素人でもわかる事を実践しない父親に息子の孝一(18)と健治(14)は不満を持つ。特に、まもなく大学生の孝一は父・幸彦に「大学のお金は自分で質草を入れて作れ」と言われ憤慨する。一風変わった質屋で繰り広げられる主人と客、または二人の息子とのやりとりを通して、人間にとって本当に大事なものは何かを描く。質草の品々で御当地四国らしさも出していく。
 
『ホンジョンイル』 (福島放送局制作)
【放送日】 2002年1月19日

作:金沢祥宇
演出:福岡利武
技術:近藤敦子
音響効果:遠藤正明

出演:神奈延年 藤巻恵理子 江永けい 白鳥栄一
小畑次郎 宿利左紀子 南条和彦 原西忠裕 千葉勝則
藤原貢 石川裕人 大葉由佳

あらすじ:NHK仙台放送局主催の「第25回オーディオドラマ脚本募集」の入選作「ホンジョンイル」のドラマ化。
康本正一は在日韓国人3世のプロ野球選手。ようやくレギュラーの座を掴み張り切っていた。だがライバル球団に韓国野球界のスーパースターピッチャー・ホンジョンイルが入団、大活躍してコリアン旋風を巻き起こす。康本は複雑な思いにとらわれていく。母国の声援を一身に背負って活躍するホンに比べて、自分には帰属する国がない。韓国人でもなければ、日本人でもない。思い悩む康本。二人の直接対決の日が刻々と迫ってきた。在日韓国人のアイデンティティという、現代的だが、重苦しくなりがちなテーマを、爽やかなスポーツエンターテインメントドラマに仕上げる。
 
『煙突少女』(福岡放送局制作)
【放送日】 2002年1月12日

作:川南惠子
演出:西村亮平

出演:蒼井優 佐藤順一 りゅう雅登 飯島律子 宮本せいら
二橋康浩 坪内晋司 久保拓也 立石亜衣子 黒江昭治
坪内 陽子

あらすじ:15歳のヨウコは、自分の居場所に漠然とした違和感を感じ、町で唯一の銭湯「松の湯」の煙突によじ昇り、そこを居場所にしてしまう。ヨウコの行動に大人達は勝手に、いじめを苦にした自殺だの管理教育への抗議だのと意味付けようとする。「要求は何か?」と問う大人達に「要求はない」と答えるヨウコ。マスコミ各社のヘリコプターが飛び交う中、レスキュー隊が出動し、救出される。煙突の上に立った時ヨウコは気づいた。必要なのは、いつでもどこかへ行ける力と、出ていく意味のある心地よい「ここ」が存在することなのだと。15歳の少女が突飛な小旅行を通し、誰もが一度は心に浮かべる自分の居場所に対する疑問を見つめなおすヒューマンドラマ。
 
『赤い長靴』(札幌放送局制作)
【放送日】 2002年1月5日

作:渥美珠巳
演出:鹿島由晴
技術:近藤敦子
音響効果:長壁正文

出演:木藤玲子 山野久治 檜澤春菜 磯貝明穂
松橋 勝巳 くどうみき 永井くみ子 伊藤裕子

あらすじ:平成12年度札幌局オーディオドラマ脚本募集入選作品。開業医の後添えに入った雪世(30)は、夫の連れ子である小学1年生の娘がなつかず、悩んでいた。さらに、娘から「下校時にお化けのようなものを見た」と告げられ、いよいよ心配が深まる。実は、雪世自身も小さい頃、雪の中を赤い長靴だけが、歩き、一緒に雪だるまを作って遊んだ記憶があった。その長靴は亡くなった雪世の母親のものだったのだ。雪の中で見る幻と子供の不思議な行動をきっかけに、なさぬ仲の母と娘が、本当の家族になるために向かい合う、心温まる家族愛の物語。
 
 
 
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