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放送済みの作品(2007年)

第28回BKラジオドラマ脚本賞最優秀作

『時のない暗闇』

(大阪局制作)

【放送日】
2007年12月22日(土曜日)22:00-22:50

作:福井ちひろ
演出:大久保篤
技術:福井清春
音響効果:水谷明男


出演:関秀人 ひろみどり 押谷かおり 八田麻住 
牛丸裕司 福寿淳 門田裕 端田宏三
佐藤圭子 平中功治 小阪風真 土井洋輝

あらすじ:第28回BKラジオドラマ脚本賞で、応募160編から最優秀賞に選ばれた作品をドラマ化。
明(35)は母が倒れたと聞いて一年ぶりに帰郷する。命に別状は無かったが、母は奇妙なことを口にする。兄の昇が帰宅したというのだ。25年前、明といっしょに近所の洞窟へ冒険に行った時から2歳年上の昇は行方不明になっていた。洞窟の中で些細なことから昇と喧嘩になった明は、暗闇の中で昇を突き飛ばし、そこで別れ別れになってしまったのだ。兄は死んだはずだ。だが母の言葉通り実家ではときどき兄の気配が感じられる。兄は俺を怨んでいるのだろうか。過去を振り切るために、明は再びあの洞窟へと入っていくが……。
兄を見殺しにした罪の意識に苦しむ男が、過去と対決し、新たな一歩を踏み出す物語。

 

第20回銀の雫文芸賞最優秀作

『晩年の弟子』

【放送日】
2007年12月15日(土曜日)22:00-22:50

原作:小川栄
脚色:塚本隆文
音楽:水津雅幸
演出:真銅健嗣
技術:糸林薫
音響効果:浜口淳二



出演:小野武彦 星野聖良 建蔵 二宮弘子 
田内裕子 諸星すみれ 松本公成

あらすじ:3年前に妻に先立たれた文雄(72歳)は何事にも気力を失っていた。つれあいを亡くしたその喪失感をどうやってのりこえるか……。淡々とした日常の積み重ねに、リアリティ溢れる高齢者の問題を感動的に描く。

 

『明治おばけ暦』

【放送日】
2007年12月8日(土曜日)22:00-22:50

作:山本むつみ
音楽:大河内元規
演出:保科義久
技術:糸林薫
音響効果:井上直美



出演:嵐広也 嵐圭史 藤川矢之輔 小佐川源次郎 
中嶋宏幸 浜名実貴 鈴木大 亀井栄克
田中世津子 又野佐紋 松永啓 河原崎國太郎


あらすじ:1872(明治5)年11月9日、明治政府が、それまでの太陰暦(旧暦)をやめて太陽暦(新暦)を採用するという詔書を布告し、明治5年12月3日を明治6年1月1日とすることになった。
「明治改暦」に関わる明治初期の有名無名の人々の行動を通して、お上に都合が良い改革が断行され、そのしわ寄せを食いながらも憤りの矛先が見えない弱者の怒りと抵抗を、下座音楽に乗せた歌舞伎の趣向たっぷりに描く。
理不尽な改暦で大損害をこうむった暦問屋一家や御一新の際に新政府に裏切られた赤報隊の生き残りらが、狂言作家・河竹新七(後の河竹黙阿弥)に率いられ、改暦を断行した太政官参議・大隈重信に一泡吹かせようと一夜だけの歌舞伎を上演するが・・・。

 

『父の帰宅』

(名古屋局制作)

【放送日】
2007年12月1日(土曜日)22:00-22:50

原作:藤野千夜
脚色:小松與志子
音楽:BANANA
演出:川野秀昭
技術:大塚茂夫
音響効果:上温湯大史


出演:西尾まり 天野鎮雄 梅沢昌代 咲野俊介
古川聖二 寺門由香里 鈴木惠理 百瀬優子
堀田和則


あらすじ:30歳のともえは、突然、母親から死んだ父さんが帰ってきたと知らされ、実家に行く。そこには8年前、59歳で死んだはずの父がいた。ありえない、これは現実?家族で見る幻…?人生の儚さと変わりなく過ぎ行く現実の無常さの中で、つかの間の喜びと「生」への愛おしい思いを描く感動ヒューマンドラマ。


現場からひとこと〜演出:川野秀昭
“こういうことって、もしあったとしても家族だけの秘密にしそうだし・・・”
芥川賞作家・藤野千夜さんが描く独特の世界をオーディオドラマ化しました。ちょっと奇妙なありえない出来事がきっかけで、日常生活に潜んでいた夫の浮気への疑いや実家の母や兄夫婦に対する感情があらわになっていき、主人公の心が揺さぶられていく物語です。
小松與志子さんの絶妙な台詞、主人公の西尾まりさんはじめ、出演者の皆さんの熱演、名古屋のオーディオドラマでおなじみBANANAさんの音楽が一体となって産み出された『父の帰宅』、是非お楽しみ下さい!

 

文化庁芸術祭参加作品

『豆腐と花束』

(大阪局制作)

【放送日】
2007年11月10日(土曜日)22:00-22:50

作:吉村ゆう
音楽:小林洋平
演出:佃尚能
技術:藤井良清
音響効果:嶋野聡



出演:和泉敬子 久野麻子 蟷螂襲 国木田かっぱ
小山典子 田村ツトム 藤田功次郎 もとむらみちこ
夏 裄V美由紀 置田浩紳 平野道彦


あらすじ:大阪の地方デパート「なにわデパート」食品催事課では、定年を迎えた物産展のカリスマ、船場和子の送り出しパーティーが開かれようとしていた。しかし、予定の時間を遙かに過ぎても船場は姿を現さない。代わりに会場に届けられたのは船場からの不可解なメッセージだった…。
定年を迎えても、なお会社に執着し采配を振るい続ける船場と、後任となった中堅女子社員・清水由紀。2つの世代、2人の女性による物産展を巡る熱い戦いが始まる。


現場からひとこと〜演出:佃 尚能
この物語、「豆腐と花束」の舞台は大阪です。そこで、関西地区以外の方のために少しだけ説明を…。
☆梅田…大阪駅界隈を広く指す地名であり、「なにわデパート」本店があるのもこの梅田という設定です。実際に大手デパートのひしめくデパート激戦区でもあります。
☆那智勝浦…和歌山県、紀伊半島の南にある漁港の町。とりわけ、近海(紀州勝浦)でとれた生マグロが有名で、なんと水揚げ高は日本一です。
そして、物語の後半に出てくる、ある事件の発端となる和歌山のトンネルも、実在する全長4km近くもある長ーいトンネルがモデルであったり、登場する地下鉄も本当の大阪の地下鉄の音を使っていたり。そして、もちろん個々の登場人物を演じてくれるのも全員、在阪の俳優陣です。ストーリーと共に是非、大阪の空気を感じていただけましたら幸いです。

 

『生き直す〜理学療法士・砂川晴美〜』

【放送日】
2007年11月3日(土曜日)22:00-22:50

作:香取俊介
音楽:三柴恵
演出:小林武
技術:加村武
音響効果:菅野秀典



出演:山本陽子 魏涼子 冷泉公裕 地曵豪
松熊つる松 渋谷哲平 正木佐和 緒方淑子
小島典子 松井範雄 赤崎ひかる 関えつ子
北村岳子 加藤清史郎


あらすじ:理学療法士は、病気や怪我を抱えた人達が元の生活が出来るように患者の身体の機能を回復させるリハビリを行なう人である。
砂川晴美はリハビリ病棟で働き始めて3ヶ月。最初に受け持った患者の百合は下半身麻痺で両足が動かない。駆け付けた息子の光男を見て晴美は驚く。4年前付き合っていた恋人だ。晴美が療法士に成ったのは、光男に振られて鬱状態になり車に撥ねられ足を骨折したが、リハビリを受けて体ばかりか心も回復した。それがキッカケで自分と同じように苦しむ人を救いたいと思い療法士に成った。晴美は光男との仲を裂いたのは母・百合だと知る。
患者の家族との関係の中で様々な苦難に逢いながらも、本当に人のためになる療法士を目指す一人の女性療法士を描く。


現場からひとこと〜演出:小林武
理学療法士とは、病気や怪我を負った患者の衰えた筋力を回復し、立つ、座るなどの日常生活が出来るようにリハビリを専門にする人のことです。
今回はそのリハビリ病院を舞台に繰り広げられる人間模様を描いたドラマです。リアリティーを持たせるためにあるリハビリ病院に取材に行きました。主人公の魏涼子さんを初め、言語障害を持つ役をされる俳優さんには、理学療法士さんや言語聴覚士さんに、どう演じれば良いかを教えて頂きました。結果、療法士さんや聴覚士さんにも充分納得の頂けるお芝居をして頂きました。
主人公は、ある患者さんの担当と成った新米理学療法士・晴美。患者の息子は晴美の昔の恋人という設定で、話は進行していきます。その渦中で晴美はリハビリを通して何を学んでいくのか?そして本当のリハビリとは何か?それがドラマの狙いです。リハビリ病院は決して私たちにとって遠い存在ではないと思います。でもその中にも将来に希望を持ってリハビリに励む一人の患者と、蟠(わだかま)りを持ちながらも接する理学療法士の心の触れ合いを描きました。是非お聴き下さい。また感想もお待ちしております。

 

文化庁芸術祭参加作品

『天使の赤紙』(再)

【放送日】
2007年10月27日(土曜日)22:00-22:50

作:東多江子
音楽:ニウナオミ
演出:保科義久
技術:加村武
音響効果:三谷直樹


出演:香川京子 堀内敬子 水野ゆふ 大西多摩恵
稲垣隆史 秋元紀子 山ア千惠子 鈴木亮介
尾身美詞 藏内秀樹 田中英樹


あらすじ:日本がアジア・太平洋で戦争を戦っていたとき、男性と同様に赤紙を受け取り戦場に赴いた女性がいた。従軍看護婦がそうである。日中戦争勃発(昭和12年1937年)から第二次世界大戦終了時まで延べ30,000人以上が従軍看護婦として派遣され、殉職者は1,000人を越えた。人命を助けるという使命に誇りを持って戦場に赴きながら、軍と国に裏切られて過酷な体験をし、今また高齢のため国家に切り捨てられようとしている彼女らの『終わらない戦争』を描く。看護師の美奈子(29)が担当しているリハビリ入院患者和歌子(82)は美奈子の祖母・多喜と一緒に戦場を生き抜いた従軍看護婦だった。昭和19年、看護婦学校を卒業した和歌子(19)に赤紙が来た。和歌子は召集先で同期の多喜と再会し、フィリピン・ルソン島の兵站病院に赴任、懸命な日々が始まる。やがて過酷な運命が二人を待ち受けていた・・・。

 

文化庁芸術祭参加作品

シリーズ・カリブの現代文学

『ハバナへの旅』(再)

【放送日】
2007年10月20日(土曜日)22:00-22:50

原作:レイナルド・アレナス
訳:安藤哲行
脚色:ミラーカク子
音楽:丸山和範
演出:川野秀昭
技術:加村武
音響効果:三谷直樹


出演:山路和弘 磯西真喜 小林良也 岡部務
冠野智美 ミョンジュ 菊地真之 手塚秀彰
厚木拓郎


あらすじ:キューバのカストロ政権下、政治思想の統制の他、同性愛者であるというだけで投獄・迫害された作家が大勢いた。その一人がレイナルド・アレナス(1943−1990)。母国キューバでは処女作以降、全ての作品が発禁処分になるが、国外で発表された作品は高く評価され、第二作『めくるめく世界』はフランスの権威あるメディシス賞を受賞している。名実ともに現代ラテン文学の最高峰の一人。本作はキューバでの政治的迫害、同性愛者としての苦悩、憧れのアメリカへの亡命、そしてアメリカへの失望など自身の体験を色濃く織り込み、心身ともに自由を求めた人間のあくなき姿を描いたものだ。アレナスが生存中に出版された最後の物語作品、『ハバナへの旅』をオーディオドラマ化する。

 

文化庁芸術祭参加作品

『母の肉』(再)

【放送日】
2007年10月13日(土曜日)22:00-22:50

作:しおつか夢
音楽:山本裕之
演出:大久保篤
技術:大迫博文
音響効果:岩崎進


出演:奥貫薫 田島令子 菅原チネ子 谷川俊
佐竹明夫 貴紫いち子 小野花梨


あらすじ:盛岡郊外の旧家で、祖母の執拗な監視のもと来る日も来る日も家族の食事を作り続けた母。そんな母や家に反発し逃げるように東京へ出た結子は、一切料理をしないで生きてきた。母の死によって久しぶりに故郷を訪れた時、母が結子に遺していたのは、もう誰も住まない古い家屋と、冷蔵庫に作り置かれた1週間分の手料理だった。その料理を食べながら結子は、今まで否定し切り捨ててきた「母」、そして「家」と対峙する。産むこと、養うこと、長く続けること……人の営みを支えてきた生臭く重いものから逃げようともがく現代人の葛藤を描く。

 

『聖地へ行く船』

(名古屋局制作)

【放送日】
2007年10月6日(土曜日)22:00-22:50

作:月野あかり
音楽:BANANA
演出:藤井靖
技術:川田修
効果:太田岳二


出演:城全能成 尾ア愛 大嶽隆司 渡辺直樹
本城雄太郎 渡辺幸男 たかべしげこ 黒田啓之
寺門由香里 棚橋真典 湯浅浩史 南佑斉
伊藤圭基 倉地順平


あらすじ:息苦しい日常に耐えきれず、追いつめられた青年ナギは、幼い頃ひと夏を過ごした山あいの村をおとずれる。恋人のサヨには、職場を逃げ出すように辞めてきたことを隠し、遅い夏休みをもらった、と嘘をついていた。社会から忘れられたような佇まいの山村で、ナギはサヨに問われるまま、あの夏に出会った不思議な少年キクチの記憶をたどりはじめる…。待ち続けていた誰か、守れなかった約束、彼方へのあこがれ。少年時代の自己と向き合い、もう一度「大人になること」を問い直す青年の心の軌跡を描く。

 

シリーズ・カリブの現代文学

『カリブの女・ユーマ』

【放送日】
2007年9月29日(土曜日)22:00-22:50

原作:ラフカディオ・ハーン
訳:平川祐弘
脚色:谷登志雄
音楽:田頭勉
演出:保科義久
技術:西田俊和
音響効果:片平洋資



出演:松尾あぐり 関貴昭 新橋耐子 井上倫宏
広瀬彩 小野花梨 山口愛 内田尋子
内山森彦 小杉幸彦 村澤寿彦 
横堀悦夫 石田太郎


あらすじ:ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は反西洋・反文明的な観点から数多くの作品を記したが、小説はカリブの女性を主人公にした二編しか書かなかった。
本編「ユーマ」は、カリブのクレオール(フランス語と土着語の混交語)文化を真正面から描いた初期のクレオール文学として、さらに、黒人女性をヒロインにした先駆的作品として世界文学史上特筆に価すると、世界的な再評価が進んでいる。
19世紀中頃のマルチニーク島。混血奴隷のユーマはペロンネット夫人の所有物。夫人の一人娘エメーは大農場経営者と結婚し、ユーマはその娘マイヨットの乳母となる。ユーマは青年奴隷ガブリエルと愛し合うようになるが、夫人は許可しない。マルティニーク島にフランス本国の革命の機運が押し寄せてくる・・・。


現場からひとこと〜演出:保科義久
ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲原作の小説が「カリブの現代文学」なの?と驚かれる方も多いでしょう。その謎は聞いてのお楽しみ。ハーンは、英国進駐軍の軍医だった父と、ギリシアの島の娘との間に生まれたのですが、祝福された誕生とは言いがたかったようです。ドラマで流れる音楽は「アフロ・カリビアン」の強烈なリズムでいっぱい。アフロとはアフリカという意味。アフリカを故郷とする文化と、家族的に恵まれなかったハーンが出会って生まれたドラマをお楽しみください。

 

シリーズ・カリブの現代文学

『ハバナへの旅』

【放送日】
2007年9月22日(土曜日)22:00-22:50

原作:レイナルド・アレナス
訳:安藤哲行
脚色:ミラーカク子
音楽:丸山和範
演出:川野秀昭
技術:加村武
音響効果:三谷直樹


出演:山路和弘 磯西真喜 小林良也 岡部務
冠野智美 ミョンジュ 菊地真之 手塚秀彰
厚木拓郎


あらすじ:キューバのカストロ政権下、政治思想の統制の他、同性愛者であるというだけで投獄・迫害された作家が大勢いた。その一人がレイナルド・アレナス(1943−1990)。母国キューバでは処女作以降、全ての作品が発禁処分になるが、国外で発表された作品は高く評価され、第二作『めくるめく世界』はフランスの権威あるメディシス賞を受賞している。名実ともに現代ラテン文学の最高峰の一人。本作はキューバでの政治的迫害、同性愛者としての苦悩、憧れのアメリカへの亡命、そしてアメリカへの失望など自身の体験を色濃く織り込み、心身ともに自由を求めた人間のあくなき姿を描いたものだ。アレナスが生存中に出版された最後の物語作品、『ハバナへの旅』をオーディオドラマ化する。

 

シリーズ・カリブの現代文学

『息吹、まなざし、記憶』

【放送日】
2007年9月15日(土曜日)22:00-22:50

原作:エドウィッジ・ダンティカット
訳:玉木幸子
脚色:横山玲子
音楽:白日歩
演出:大久保篤
技術:糸林薫
音響効果:千本木真純



出演:大門真紀 中條佐栄子 青木和代 宮内順子
長棟嘉道 長沢大 菊地真之 安田裕
榊英訓 黒葛原未有


あらすじ:ハイチの少女ソフィーは、12歳のある日、ニューヨークで初めて母と会った。一緒に住むことになったが、互いにどう接していいか分からない。ソフィーは母がレイプされて生まれた子だったのだ。季節は流れ、18歳になったソフィーは、年上のサックス奏者ジョゼフと恋に落ちる。だが母は二人の交際に強硬に反対、たまりかねたソフィーは母を捨てて家を出る。母とはそれきりだった。それから2年後、乳飲み子を抱いたソフィーは故郷ハイチに帰る。そこでソフィーは、かつてレイプされた母が自殺未遂を繰り返したことを聞かされる。数日後、故郷でソフィは母と再会し、素直な気持ちで和解する。それは初めて母娘がふれあった瞬間だった。だが母の心の傷は深かった……


現場からひとこと〜演出:大久保篤
太陽照りつける陽気な楽園……なんとなくカリブ海周辺に抱いていたイメージはこの原作に出会って吹き飛びました。アフリカから連れてこられた奴隷の子孫たちが、苦闘の末フランスの支配を脱して作ったハイチ共和国は、今でも世界でもっとも貧しい国の一つです。そこに暮らす女性たちの暗く辛い歴史を描いたこの作品には、主人公のソフィと同じように幼年期をハイチで過ごした、原作者ダンティカットの実体験が色濃く反映されているようです。このドラマに登場するソフィや母マーティン、アティおばさんやイフェおばあちゃんたち、女たちみんなの叫びに耳を傾けていただき、はるか遠くにある小さな島国の悲劇と、それを乗り越えていく人間の力強さに思いを馳せていただけたらと思います。

 

シリーズ・カリブの現代文学

『朝まだきの谷間』

【放送日】
2007年9月8日(土曜日)22:00-22:50

原作:ラファエル・コンフィアン
訳:恒川邦夫
脚色:岩崎良子
音楽:菅谷昌弘
演出:真銅健嗣
技術:西田俊和
音響効果:最上淳


出演:大久保祥太郎 山野史人 中村たつ 岩崎ひろし
増子倭文江 火野カチコ 近衛はな 宮里駿
若林久弥 松本元 内田千晶 海鋒拓也
若山栄子 宮本侑芽 酒向芳


あらすじ:カリブ諸島の西側、沖縄本島とほぼ同じ面積の島、フランス領マルチニック。白人、黒人、インド人、シリア人……まさに人種のるつぼと言えるこの島で、1950年代、少年時代を過ごしたクレオール文学の旗手コンフィアンの自伝的小説のドラマ化。「混血!」ということで、多少のいじめを受けていた少年だが、子供同志の友情に恋、ユニークな大人達に囲まれ、伸び伸びと暮らしていた。ところが、1959年、キューバ革命の余波がついにこの島にも訪れ少年も巻き込まれる。


現場からひとこと〜演出:真銅健嗣
誰しも少年時代を過ごした地には、甘酸っぱい思い出や苦い記憶等々……、が詰まっています。クレオール文学の代表的作家の一人ラファエル・コンフィアンが、いかにしてクレオール語(フランス語と土着語の混交語)の作家として成長するか。複雑な人種の間で過ごした少年時代のエピソードを生き生きとドラマ化できれば、と思い演出しました。
アフリカから連れてこられた黒人とその混血達、人によって肌の色が黒かったり白かったり、毛が縮れていたりいなかったり……でもその目はみんな生き生きとしている。青い空と海のカンバスにサトウキビ畑やバナナ園が広がる、カリブの小さな島マルチニックの風景を想像しながら、お聴きいただけると幸いです。

 

第33回放送文化基金賞優秀賞受賞

『髪にふれる』(再)

【放送日】
2007年9月1日(土曜日)22:00-22:50

原作:今村惠子
脚色:小松與志子
音楽:荻野清子
演出:真銅健嗣
技術:西田俊和
音響効果:嶋野聡


出演:白川和子 山本學 山口果林 花原照子
絆てつや 大竹周作 鈴木ゆうじ 野村昇史
関えつ子 池田道枝


あらすじ:40年間夫婦で営んできた理髪店。妻の朋子は高校の同窓会の幹事役をいつもやってきた。ある時、思いがけない女友達から返信葉書をもらう。美佐子……男性達の憧れの君。高校時代の無二の親友だったが、卒業後名家に嫁ぎ、それ以来音信不通だった。そんな時夫の康之が倒れる。欠席するつもりでいた朋子だったが、出席して美佐子に会うようにと夫に言われる。同窓会で美佐子から意外な相談を持ちかけられる。シルバーエイジのヒューマンドラマ。

 

シリーズ・ドイツの現代文学

『遺失物管理所』(再)

【放送日】
2007年8月25日(土曜日)22:00-22:50

原作:ジークフリート・レンツ
訳:松永美穂
脚色:津川泉
音楽:白日歩
演出:大久保篤
技術:西田俊和
音響効果:片平洋資


出演:河相我聞 森本浩 長沢大 佐藤友紀
瀬川亮 林真里花 田村錦人 大田沙也加
堀岡真 相場貴晴 まつだ壱岱 成願トオル 岡珠希


あらすじ:北ドイツの駅の遺失物管理所。毎日毎日、入れ歯が、僧服が、そして現金を縫い込まれた不審な人形が届くようなところだ。そこへ就職したのが24歳のヘンリー・ネフ。野心があるでもなく、どこか飄々とした感じで日々を過ごしていたヘンリーは、鞄を無くしたロシア系外国人のラグーティンと知り合い、たちまち親友になる。しかしラグーティンは、異邦人に対して不寛容なドイツ社会の壁に度々衝突し、とうとうパーティーでの差別的な発言に傷ついて祖国へ去ってしまう。このことがヘンリーの正義感をかき立て、周囲の矛盾に立ち向かわせることとなるのだった・・・。現代ドイツ社会の様相とそこに生きる若者の成長ドラマ。

 

平成18年度文化庁芸術祭優秀賞受賞

シリーズ・ドイツの現代文学

『黙って行かせて』(再)

【放送日】
2007年8月18日(土曜日)22:00-22:50

原作:ヘルガ・シュナイダー
訳:高島市子 足立ラーベ加代
脚色:横山玲子
音楽:菱沼尚子
演出:保科義久
技術:西田俊和
音響効果:西ノ宮金之助


出演:樫山文枝 南風洋子 山口果林 入江杏子
岸昌代 島美弥子 多田野曜平 落合弘治
黒葛原未有


あらすじ:「あなたを憎むことはできないわ。ただ愛せないだけ…。」娘が4歳の時、母は家を出た。アウシュヴィッツで看守になるために。それから57年後、娘ヘルガは母と再会する。90歳を超えた母は、ヒトラーへの敬愛もユダヤ人への憎しみもそのまま持ち続けていた・・・。「ナチ女」の娘であることを克服するためだけではなく、歴史の真実に向き合おうために、徹底的に母の過去を追究する娘の勇気と切なさが熱く胸を打つ。

 

『天使の赤紙』

【放送日】
2007年8月11日(土曜日)22:00-22:50

作:東多江子
音楽:ニウナオミ
演出:保科義久
技術:加村武
音響効果:三谷直樹



出演:香川京子 堀内敬子 水野ゆふ 大西多摩恵
稲垣隆史 秋元紀子 山ア千惠子 鈴木亮介
尾身美詞 藏内秀樹 田中英樹


あらすじ:日本がアジア・太平洋で戦争を戦っていたとき、男性と同様に赤紙を受け取り戦場に赴いた女性がいた。従軍看護婦がそうである。日中戦争勃発(昭和12年1937年)から第二次世界大戦終了時まで延べ30,000人以上が従軍看護婦として派遣され、殉職者は1,000人を越えた。人命を助けるという使命に誇りを持って戦場に赴きながら、軍と国に裏切られて過酷な体験をし、今また高齢のため国家に切り捨てられようとしている彼女らの『終わらない戦争』を描く。看護師の美奈子(29)が担当しているリハビリ入院患者和歌子(82)は美奈子の祖母・多喜と一緒に戦場を生き抜いた従軍看護婦だった。昭和19年、看護婦学校を卒業した和歌子(19)に赤紙が来た。和歌子は召集先で同期の多喜と再会し、フィリピン・ルソン島の兵站病院に赴任、懸命な日々が始まる。やがて過酷な運命が二人を待ち受けていた・・・。


現場からひとこと〜演出:保科義久
赤紙ってご存知ですか?日本がアジアや太平洋で戦争していた頃、男たちを戦場に駆り立てた召集令状は赤紙と呼ばれていました。ところが赤紙で戦場に送られたのは男たちだけではなかったんです。従軍看護婦。そうです、看護婦の皆さんは女性にもかかわらず前線に送られて大変な体験をなさいました。私たちはこのドラマを作るにあたって元・従軍看護婦の何人かにお話を伺いました。内容はフィクションですが、このドラマが戦争を考えるきっかけになればいいなぁと思います。

 

『兄と弟・広島に生まれて』

【放送日】
2007年8月4日(土曜日)22:00-22:50

作:毛利恒之
音楽:西村朗
演出:保科義久
技術:西田俊和
音響効果:片平洋資


出演:久米明 綱島郷太郎 左時枝 沖田弘二 
上村祐翔 岡珠希 佐藤敦士 石本竜介
渡辺直樹 小野敦子 田内裕子 河口舞華
渡邉洋介 片山f


あらすじ:実在の兄弟を描くドキュメンタリードラマ。兄・片山日出雄氏は1919年【大正8年】広島生まれで元日本海軍大尉。冤罪にもかかわらずBC級戦犯として処刑される。13歳違いの弟・片山昇氏は1932年【昭和7年】広島市で生まれ、昭和20年13歳で被爆する。今年75歳。戦争の加害者として処刑された兄、原爆の被害者として戦後を生きた弟、対照的な兄弟の悲劇を描き、戦争の愚かさを訴えると共に平和を希求するドラマとしたい。片山昇氏(75)が語りだす、『兄と最後に交わした言葉の謎が、今でも気にかかるんですよ』1945年【昭和20年】9月、終戦処理のため故郷・広島の家に立ち寄った日出雄(26)は昇(13)に、「昇、俺は死なないよ」と告げる。それが兄との今生の別れであった・・・。

 

『葉月の扉』

(盛岡局制作)

【放送日】
2007年7月28日(土曜日)22:00-22:50

作:石川裕人
演出:栗原佐代子
技術:小林健二
音響効果:遠藤正昭


出演:小田茜 斎木良太 小畑次郎 茅根利安 
片倉久美子 真田鰯 米澤牛


あらすじ:岩手県盛岡市の種苗メーカーに勤める薫(27)。ガーデニング部に配属され、仕事に燃えているものの、浮いた話など微塵もない。職場で何かと衝突する先輩の松本が開発した「ミニひまわり」の営業を命じられ、二人でヒット商品に育て上げる。この爆発的人気に、東京の大手メーカーが買収を企みはじめた・・・。郷土への思いと秘めた恋心の絡み合いをコミカルに描く。


現場からひとこと〜演出:栗原佐代子
大人になればなるほど、他人に思いを伝えることは難しいと感じています。
子どもだったら、泣いたり、拗ねたりすればどうにかなった、かもしれない。
けれども、大人になれば、物事の分別もつき、手に入らない物は、さっさとあきらめていくのではないでしょうか。
しかし、そんな大人もどうしようもなくコドモっぽいときがあります。それは誰かを好きになったとき。たらたらと進まなかったり、驚くほどスピーディーになることもある。なかなか思いを伝えられない大人だからこそ、わめいたり、とっぴょうしもなかったり、あやふやなこともあるのだなと。高校生からみたら「なんだ大人といっても、かわいいじゃん」と思われているかもしれません。
そんなぐらぐら揺れる27歳の薫を最大限キュートに演じていただいたのが、小田茜さんです。これから大人になる10代の方にも、もうとっくに大人になりきってしまった人にも、薫と一緒にどぎまぎしていただける50分になっていると思います。どうぞお楽しみに。

 

第35回創作ラジオドラマ大賞 大賞作

『答えは、昼間の月』

【放送日】
2007年7月21日(土曜日)22:00-22:50

作:金戸美苗
音楽:北爪道夫
演出:川野秀昭
技術:高橋英明
音響効果:片平洋資



出演:占部房子 鈴木浩介 銀粉蝶 もたい陽子
浜丘麻矢 松川真也 大竹周作


あらすじ:結婚を目前に控えた二人の男女が突然、電車の事故に遭う。5年後、二人は結婚式を迎えるが、新婦には式後、骨髄移植のドナーとなることが待っていた。実は電車の事故に遭った際、新郎が助かるように新婦が願掛けをし、その願掛けの内容が骨髄移植のドナーになることだったのだ。絶望の中、ふと見上げた空にあった「昼間の月」。今にも消えてしまいそうな希望にかけた願い。そんな儚い希望を、今度は骨髄移植を受ける人に託したい。悲惨な事故とそこから回復していく希望を「昼間の月」に託し、人と人とがつなげていく思いを描く。


現場からひとこと〜演出:川野秀昭
・・・あの事故の日も、昼間の月が見えた。
ごく普通に幸せな結婚生活を送るはずだった男女に突然降りかかった不幸。
それを乗り越え、命の尊さを知っていく夫婦。そして、青空には昼間の月が浮かんでいた・・・。
そんな二人を占部房子さんと鈴木浩介さんがフレッシュさ満載で演じています。
銀粉蝶さんのマイペースな母親ぶりにもご注目!
ぜひお聴きください。

 

平成18年度

中四国ラジオドラマ脚本コンクール 佳作

『僕の細道』

(松山局制作)

【放送日】
2007年7月14日(土曜日)22:00-22:50

作:常盤奈津子
演出:渋谷義人
技術:満尾智子
音響効果:最上淳


出演:柄本佑 福田賢二 松永裕子 奥野匡
石住昭彦 黒木優美 福井裕子 大塚洋
田内和代


あらすじ:高校を卒業し、4月からは実家の箪笥屋でなんとなく働くことになっている弘次(18)の日課は祖母を車椅子で散歩、とくにすぐ近くにあるお遍路の札所に連れていくことだった。ひょんなことから、八十八ケ所全部を歩いてまわることになる弘次。そこで、多くの人との出会いと別れを経験し、一番身近にあった大切なことに気づく。爽やかな青春ヒューマンドラマ。

 

『アキバの休日』

【放送日】
2007年7月7日(土曜日)22:00-22:50

作:藤井青銅
音楽:奥慶一
演出:末永創
技術:西田俊和
音響効果:岩崎進



出演:宮村優子 ウェイン・ドスター クリス・ペプラー 
柴田秀勝 野村信次 土師孝也 田中允貴
藤代三千代 松村明 平井啓二 さら


あらすじ:ヲタクの聖地・秋葉原に逃げてきたのは日本アニメ大好きの美形の王子さま。知らずに迎えたのは人気bP“秋葉原案内メイド”萌ちゃん。二人とも重度のアニメヲタク。純粋にアニメを信奉するがゆえ、日本に大いなる幻想を抱く王子と、アニメ好きだがしんらつな秋葉原ビジネスにどっぷりつかった萌ちゃんとの、正反対な二人の逃避行が始まる。「ただアニメが好きなだけなのに!」。国にアニメ好きを禁止されている王子とネクラな高校時代に挫折感を感じている萌ちゃんは、実は鏡のような存在でもあった。王子の国からの追手を、秋葉原メイド連合の協力でついには退散させてしまう二人。いつしか二人には、淡い恋心が・・。青春ラブコメディ。


現場からひとこと〜演出・末永創:
最近、アキバ〜東京・秋葉原には外国人観光客があふれています。そしてその中にはこのドラマに出てくるような、日本のアニメ文化の愛好家が沢山混じっています。彼らにとってアキバは大好きなジャパンの象徴、真剣なまなざしでショップめぐりをしています。自分の好きなこと、「夢」をさがす情熱は洋の東西を問わないということです。・・・ドラマでは、夢をなくしたヨーロッパの王子さまが、アキバで夢に囲まれるメイド・萌ちゃんに出会い恋に落ちます。萌と王子を演じるのは、あの“みやむー”こと宮村優子さんと、アメリカ出身のウェイン・ドスターさん。みやむーの演技に、たどたどしい日本語で絡んでいきます。しかも作は藤井青銅さん。聞き逃せません。七夕の夜に「夢」いっぱいのファンタジーを!!お楽しみください。

 

平成18年度 NHK名古屋

創作ラジオドラマ脚本募集入選作

『届けてレッドマン』

(名古屋局制作)

【放送日】
2007年6月30日(土曜日)22:00-22:50

作:おおやまねこ
音楽:中村由利子
演出:出水有三
技術:浅井英人
音響効果:平木和人



出演:藤元英樹 鈴木惠理 内田藍子 柾木卓
木村庄之助


あらすじ:ひなびた田舎町の円形型ポスト。ここに毎週手紙を投函する少女はつめ(15)。実は彼女は病気で入院している母親へ手紙を書いていたのだ。このポスト、区画整理と破損のため、廃止することが決まり、張り紙がされていた。しかし、風のいたずらか、張り紙が取れてしまい、大切なはつめの手紙が誰も回収にこないポストに投函されてしまう。何とか手紙を届けたいと、ポストは一念発起してついに立ち上がるのだ!?心温まるファンタジードラマ。


現場からひとこと〜演出・出水有三:
ちょっと不思議で、心温まるお話です。ぜひ聴いてください。

 

『GOTAISETSU』

(山口局制作)

【放送日】
2007年6月23日(土曜日)22:00-22:50

作:水橋文美江
演出:西村武五郎
技術:竹下満
音響効果:高橋紀行



出演:柏原崇 松田美由紀 佐田真由美 児玉直也 
河口舞華 森本耕平 杉本圭将


あらすじ:かつてフランシスコ・ザビエルが大々的に布教にあたった山口市。当時日本には「愛」という言葉はなく、そこでは愛は「御大切」と伝えられていた。その街のシンボルとなっている教会に、崇(30)は神父として東京から帰ってきた。かつて母親に捨てられ社会に対する強い「諦観」が彼にはあった。だからこそ崇は神に自分を預けたくて神父になったが、それでは社会で悩める人たちに答える神父の仕事ができなかった。そんなある日告解室に母親が現れる。初めて聞く母の想い。解き明かされる「大切」にされていた過去。それを受け彼は初めて、母親に指南をするのだった。番組では現代的な「諦観」を持つ若き神父が、「人の愛=御大切」によって成長していく姿を描く。

 

『能古島デイズ』

(福岡局制作)

【放送日】
2007年6月16日(土曜日)22:00-22:50

作:三上幸四郎
演出:吉田浩樹
技術:中鉢由希
音響効果:武田公二



出演:板谷由夏 松尾政寿 綱本健男 橋口泰介
二橋康浩 七瀬ゆう はるか ななる 中野弘子 渡都美子


あらすじ:朝美(あさみ)(29)はコミュニティーFM「博多ウェーブ」でDJをしている。番組のないときは、DJ自ら、新規スポンサーの開拓に博多の町を歩き回る日々である。ある日も開拓のため、立ち寄ったメイドカフェで朝美は道雄(29)に出会う。道雄はそちらの経営者をしていた。ふたりは、博多湾に浮かぶ人口800人の能古島(のこのしま)の出身である。能古小中学校で、この2人に勇平(29)を加えた3人で天文クラブを作っていた。勇平は現在、能古島へのフェリーの乗組員として働いている。中学卒業以来の再会を果たした「天文クラブ」の3人が、それぞれの悩みをぶつけ合いながら、7月、山笠の季節を迎えた福岡で自らが生きる道を模索する。

 

『レインツリーの国』

(大阪局制作)

【放送日】
2007年6月9日(土曜日)22:00-22:50

原作:有川浩
脚色:山本雄史
演出:佃尚能
技術:佐藤善次郎
音響効果:山田正幸



出演:赤星マサノリ 前田亜季 押谷かおり 福寿淳
一木美喜子 藤沢としや 中庭浩史 小山典子
高島美希 丸岡真由子 西村亜矢子 高下真帆


あらすじ:就職のため、大阪から上京し東京で社会人生活を送る伸行。ある夜、片付けきれずに残っていた荷物を整理していた伸行は、その中に紛れ込んでいた一冊の懐かしいアドベンチャー小説を見つける。しかし、子供の頃に読んだその壮大な物語の結末は・・大人になっても不可解なものだった。そして、伸行と同様に物語の結末に疑問を抱いている少女、ひとみがいた。インターネットを通じて知り合う伸行とひとみ。互いに意気投合し心惹かれあう2人だが・・・・、彼らには出会えない訳があった。


現場からひとこと〜演出・佃尚能:
最近、現実でもドラマでも「恋愛」が、あまりに簡単に始まり過ぎてるなって感じることはありませんか?「好き」になるって、勢いとか衝動ももちろんあるとは思いますが、その確信に至るまでの悩めるもどかしいプロセスが意外と大事だったりするのではないでしょうか?このドラマは一見「恋愛モノ」ですが、実は、伸行とひとみ、そして2人の間に立ちふさがるある障害の物語です。果たして2人はラブストーリーにたどり着けるのか、はたまた日常の悲劇に飲み込まれるのか!?大阪を拠点に精力的に活動している生粋の舞台俳優・赤星マサノリさんと、ドラマや映画でお馴染みの前田亜季さん、主役2人の初共演も見どころです!

 

『眉山』(再)

【放送日】
2007年6月2日(土曜日)22:00-22:50

原作:さだまさし
脚色:柴田寿子
音楽:田頭勉
演出:保科義久
技術:高橋英明
音響効果:片平洋資


出演:草笛光子 純名りさ 黒田アーサー
徳井優 藤山律子


あらすじ:人の命がどれほど重く愛しいものか。人生とはいかに多くの人とつながっているのか。そして、人を愛するとはなんと切なく苦しいものか…。愛と命と人生の重さ大切さを、心に染み入るように描いた小説『眉山(びざん)』は読者に大きな感動を呼び起こす。この話題の感動作を、オーディオドラマ化する。母の病気で故郷の徳島に帰った娘・咲子(33歳)は、様々な人達に慕われていた母・龍子(70歳)の生き様を初めて知る。母の毅然として誇り高い人生、母と娘の温かな心の交流が、時にユーモアを交えながら描かれる。そして、死を目前にした母が切望した夏の阿波踊りの会場で、ドラマは最高潮に達する…。

 

『富士へ』

【放送日】
2007年5月26日(土曜日)22:00-22:50

作:小野田俊樹
音楽:栗山和樹
演出:真銅健嗣
技術:高橋英明
音響効果:三谷直樹



出演:渡辺いっけい 高橋理恵子 中島陽典 建蔵
藤井亜紀 五月晴子 野村昇史 大和田悠太
山口千晴 日向とめ吉


あらすじ:妻に逃げられた公平(45)はささくれだった生活をしていたが、駅で募金活動をしていた穂波(27)と知り合い、その魅力にひかれていく。その穂波と彼女が連れてくる自閉症を伴う重度の知的障害者川口(45)とともに、一泊二日の富士登山に行く。最初は違和感を感じながら、川口の姿に徐々に人間の大切なものを思い出しはじめる。ヒューマニティ再発見ドラマ。


現場からひとこと〜演出・真銅健嗣:
登山という、心身ともにくたびれ果てる過程で、初めて感じる人間性。45歳の男、同じ年の男性ながら、知的障害をもち、殆ど会話はできない人。そして、施設で彼の支援員をしている27歳の女性。この3人を中心に人間とはなんだろう、と少しでも思いを馳せることができたら、という点に絞って演出しました。この3人を演じていただいた、渡辺いっけいさん、中島陽典さん、高橋理恵子さん。皆さんの熱演が、必ずや富士の高嶺を感じさせてくれると確信しています。特に殆どのセリフが「ぱ」であった、中島さんの豊かな表現力が、改めて人間とは……ということに近づけたのではないかと思っています。

 

シリーズ・ドイツの現代文学

『太陽通り』(再)

【放送日】
2007年5月19日(土曜日)22:00-22:50

原作:トーマス・ブルスィヒ
訳:浅井晶子
脚色:香取俊介
音楽:海田庄吾
演出:小林武
技術:大塚豊
音響効果:米本満


出演:進藤一宏 左時枝 沼田爆 水町レイコ
冷泉公裕 柳沢なな 豊永利行 塚本啓介
田谷隼 春日清花 菊地真之 松本隆之
村上真介 長野克弘 一岡裕人 森田順平


あらすじ:「太陽通り」はベルリンの壁のために東西に分断された通りである。ミヒャ一家は東ベルリンの「太陽通り」に面したアパートに、両親と姉の4人で住んでいる。時々叔父のハインツが西ベルリンから西側のチョコレートを密輸して持ってくるのが楽しみである。或る日、ミヒャの高校に美人転校生が来た。ミヒャは彼女から“いつか西側の人のキスの仕方を教えてあげる”と言われ心ときめく。その彼女から手紙が届いた!読もうとした瞬間風に飛ばされ“死のゾーン”に落ちてしまう。“死のゾーン”とはベルリンの壁の壁との間にある10m程の隙間のことである。ミヒャは、手紙を取ろうとするが・・・。ドイツが東西に分裂していた時代の東ベルリンの高校生の青春をコメディー・タッチに描く。

 

シリーズ・ドイツの現代文学

『カレーソーセージ』(再)

【放送日】
2007年5月12日(土曜日)22:00-22:50

原作:ウーヴェ・ティム
「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」
訳:浅井晶子
脚色:原田裕文
音楽:菅野由弘
演出:真銅健嗣
技術:糸林薫
音響効果:井上直美


出演:根岸季衣 萩野崇 たかお鷹 山本竜二
鈴木一功 山内慶太郎 山口千晴 鯨井優穂


あらすじ:ドイツ庶民の味カレーソーセージ。「僕」がその発見者だと信じている女性を訪ねて老人ホームへ。彼女は長い間最高のカレーソーセージを屋台で出していたからだ。もう惚けてしまったかと思ったが、急に、一見何の関係もなさそうな彼女の戦争末期の話が始まった……。物資のない時代。そして若い敗残兵との出会い。「味覚が人生を変える」というドイツ庶民の戦争秘話のドラマ化。

 

シリーズ・ドイツの現代文学

『友情』(再)

【放送日】
2007年4月28日(土曜日)22:00-22:50

原作:フレッド・ウルマン
訳:清水徹 清水美智子
脚色:佐藤久美子
音楽:松ヶ下宏之
演出:川野秀昭
技術:西田俊和
音響効果:西ノ宮金之助


出演:石田法嗣 成瀬誠 山路和弘 ほか


あらすじ:1932年、 戦前のドイツ南部のシュツットガルトにあるギムナジウム(小学校卒業後に入る中等教育機関)で、16歳のユダヤ人の少年ハンスは貴族の美少年コンラディンに出会う。それまで無気力だったハンスは、勉強スポーツと頑張り、ついにはコンラディンとの友情を勝ち得た。甘酸っぱい青年らしい二人の交流。だが二人の友情にナチスが亀裂を生み出し始めた…。青年期に差し掛かる少年たちを瑞々しくも悲しく描く友情物語。

 

『母の肉』

【放送日】
2007年4月21日(土曜日)22:00-22:50

作:しおつか夢
音楽:山本裕之
演出:大久保篤
技術:大迫博文
音響効果:岩崎進



出演:奥貫薫 田島令子 菅原チネ子 谷川俊
佐竹明夫 貴紫いち子 小野花梨


あらすじ:盛岡郊外の旧家で、祖母の執拗な監視のもと来る日も来る日も家族の食事を作り続けた母。そんな母や家に反発し逃げるように東京へ出た結子は、一切料理をしないで生きてきた。母の死によって久しぶりに故郷を訪れた時、母が結子に遺していたのは、もう誰も住まない古い家屋と、冷蔵庫に作り置かれた1週間分の手料理だった。その料理を食べながら結子は、今まで否定し切り捨ててきた「母」、そして「家」と対峙する。
産むこと、養うこと、長く続けること……人の営みを支えてきた生臭く重いものから逃げようともがく現代人の葛藤を描く。


現場からひとこと〜演出・大久保篤:
日頃あまり触れない劇伴音楽について一言。オーディオドラマにおける音楽は、単なる心理描写や場面転換だけでなく、時として舞台セットや風景、カメラワーク(ズームインしたり焦点をぼかしたり)をも表現することがあります。今回のドラマは盛岡郊外の旧家が舞台でしたが、そうした古い家が持つ、人を捕らえて逃がさない磁場のようなものを音楽で表現したいと思いました。そこで作曲家の山本裕之さんと相談して採用したのが、思いっきり調律を狂わせたピアノです。皆さんの家にも何年も弾かないまま眠っているピアノはありませんか。年月とともに調律が乱れた不思議な音……そういう響きによって、旧家の経てきた長い年月と、ある種の空間の歪みのようなものを表現してもらいました。また、劇中で一斉に蛍が飛び立つシーンも、チェロのハーモニクス奏法のアルペジオによって恐ろしくも美しいシーンとなりました。ラストで歌い上げる美しい女声ヴォカリーズも聞き物です。
もちろん一方で俳優の皆様の演技もすばらしかったのです。リハーサルの日から盛り上がった、祖母役の菅原チネ子さん、母親役の田島令子さん、そして娘役の奥貫薫さんが演じる親子三代のすさまじい愛憎劇と、その演技に負けずとぶつかっていく音楽との緊迫した物語世界をぜひお楽しみください。

 

『それぞれの木目』

【放送日】
2007年4月14日(土曜日)22:00-22:50

作:山下哲
音楽:ニウナオミ
演出:上杉忠嗣
技術:西田俊和
音響効果:岩崎進



出演:綱島郷太郎 高橋由美子 ミッキー・カーチス
大柴隼人 三谷侑未 小杉幸彦 須永慶
有賀ひろみ 宮内大 石井揮之 田中雄土
児玉直也


あらすじ:神川真太(30)は美術学芸員として生き残れるか否かの瀬戸際にいた。何か企画を成功させなければならない。木地師で祖父の巌(79)を担ぎ出すことで難局を乗り切ろうと図る。耳ざわりの良い言葉で巌を口説く真太。巌は何も言わず賛同してくれた。しかし、巌の弟子の久野香(30)は、真太に対し疑いの念をもった。かつて広告代理店に勤めていた香は、腹に一物抱える人間の胡散臭さを真太に対し感じ取っていた。
伝統工芸の世界で、技の伝承と祖父〜孫の絆を巡る激しい葛藤のドラマである。


現場からひとこと〜演出・上杉忠嗣:
鳥取県の山間の町に住む齢70を越えた一人の木地師(きじし)との出会いが、この番組を作るきっかけでした。それから歳を重ねること7年。ようやく、FMシアターという形でお伝えすることが出来て感無量です。
番組の中で聞こえてくる木を削る音は、鳥取県の職人さんに実際に棗(なつめ)を一つ作っていただく過程で録音させていただいたものです。彼らの工房には、材料となる木材が所せましと並べられ、削られるときを待っています。あるものは30年以上もそこで静かにそのときを待っています。あたかもそこだけ時間が止まっているかのように。
日本が持つ伝統工芸の素晴らしさ。緩やかな時の流れの中での生活。現代の日本人が見失いがちな昔ながらの生活の魅力を、出演者の皆さんは情感たっぷりに演じてくださいました。日本再発見という気持ちでお聴きいただけば幸いです。

 

『家』

【放送日】
2007年4月7日(土曜日)22:00-22:50

作:岡部耕大
音楽:菅野由弘
演出:保科義久
技術:和田厚
音響効果:千本木真純



出演:丹阿弥谷津子 平泉成 石見榮英 吉野佳子
入江杏子 溝口順子 渡辺徹


あらすじ:常に「日本と日本人」を、強靭なセリフと巧みな構成で重厚に描き続け、独自の世界を築き続ける演劇界の重鎮・岡部耕大氏の新作。
廃屋となりつつある民家が舞台。母の七回忌に各地から集まった5人兄弟の口から「家」の思い出が語られる。思い出に郷愁と愛憎が寄り添い、欲にかられて壮絶な兄弟の口喧嘩となる。
浮かび上がる「家」百年の歩みは二つの時間に断絶される。家父長制度の下<戦争漬け>だった戦前のシンボルとしての「家」の時代。大家族や村という<共同体>が崩壊する一方で、新たな姿が構築されないまま朽ち果てていく目の前の「家」。それはそのまま二十世紀の日本の歩みに重なってはいないか。やがて兄弟は舞台を去り、残された「家」に桜の花びらが舞い散る・・・。

 

平成18年度文化庁芸術祭優秀賞受賞

『夕凪の街 桜の国』(再)

【放送日】
2007年3月31日(土曜日)22:00-22:50

原作:こうの史代
脚色:原田裕文
音楽:長生淳
演出:真銅健嗣
技術:糸林薫
音響効果:佐藤あい


出演:夏八木勲 鈴木佳由 斉藤とも子 阿南健治
小林トシ江 矢沢心 大和田悠太 茶花健太
三村ゆうな 伊藤ゆきえ 大林佳奈子 木崎優一


あらすじ:広島で被爆したある一家の60年、三世代に及ぶ物語。平成16年度の文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞作で、「マンガ史の宝石」とまでいわれる傑作のドラマ化。原爆がいかに人々に多くの悲しみと苦悩を長い年月をかけて与え続けてきたか、そして今も決して消えることがないことを、静かにジワッと伝えていく。

 

劇作家シリーズ

『エリーゼさんのために』

(大阪局制作)

【放送日】
2007年3月24日(土曜日)22:00-22:50

作:棚瀬美幸
音楽:野田雅巳
演出:江澤俊彦
技術:藤井良清
音響効果:吉田直矢



出演:坂口あずさ 岩崎良美 田中隆三 中村孔哉
桜井優衣 長江竜馬 多田昌代 中野麗来
芝本正 松のりひこ


あらすじ:あずさ(12)と健(9)の両親は4年前に離婚。半年前に父親が再婚してやってきた、新しい母恵(31)とあずさはなかなかうちとけることができないでいた。産みの母親のことが忘れられないからだ。あずさはピアノ曲「エリーゼのために」(ベートーベン)が大好きなのだが、ピアノ教師でもある恵の前では絶対に弾こうとしない。思春期にさしかかる少女のヒリヒリする感覚を日々のドラマから繊細に描きだす。

 

劇作家シリーズ

『死滅回遊』

(名古屋局制作)

【放送日】
2007年3月17日(土曜日)22:00-22:50

作:佃典彦
選曲:伊藤守恵
演出:土井祥平
技術:岡本幹彦
音響効果:大西斎



出演:松田まどか 深沢邦之 西山諒 藤元英樹
神谷尚吾 伊藤千由李 江副公二 藪下貴子


あらすじ:秋山未来(みく)(18)は、高校3年生になるが、学校にも友達にも自分の人生にさえ無関心だ。今は母と暮らしているが、居候する母の「男」の存在に戸惑っていた。彼女は最近、同じ夢を見る。「オオカミテング」という幻の熱帯魚の夢だ。未来が小学生の頃、お父さんがオオカミテングを「幻の魚だ」と自慢げに見せてくれた・・・それが「詐欺師」扱いされて去っていった父との唯一の思い出だからだ。だが、周りからも家族からもはそんな魚は存在しないと否定され、未来は心を閉ざしていた。ある日、オオカミテングを探して海の中で溺れかけた未来は、沖田隆一という、2年前に町にやってきたばかりの男に助けられる。ふたりは「はぐれ者」同士打ち解けあい、やがて自分たちの人生を幻の魚「オオカミテング」に重ね合わせはじめるのだが・・・。


現場からひとこと〜演出・土井祥平:
タイトルの「死滅回遊」とは南国の海で生まれた熱帯魚の幼魚が定期的に海流に流され日本に流れ着く現象を指します。こうした魚のことを「死滅回遊魚」と呼ぶのですが、初夏から晩秋にかけて流れ着いた末、結局彼らは寒さに耐えられず死んで行きます。主人公の未来が追い続けるオオカミテングはその「死滅回遊魚」の一種である、劇作家の佃典彦さんが架空の魚として「発見」しました。いわば未来の父との思い出の象徴として存在し、彼女の寂しさが増すほどに成長していくのです。それだけに、父に見捨てられ居場所のない女の子の心の中で肥大したオオカミテングという幻の魚の姿がいったいどんな「生き物」として皆さんの耳に聴こえてくるのか、それが今回の聴き所です。

 

劇作家シリーズ

『772条の家族』

【放送日】
2007年3月10日(土曜日)22:00-22:50

作:さいふうめい
音楽:国広和毅
演出:真銅健嗣
技術:高橋英明
音響効果:佐藤あい



出演:渋谷琴乃 細見大輔 浦和めぐみ 柴田義之
神保共子 山内慶太郎 此島愛子 石橋あゆみ
島川直 竹本りえ 武発史郎 岡本易代


あらすじ:IT企業で働くバリバリのキャリアウーマン美奈(28)は実家がお寺のグータラな夫光男(30)と別れ、ミュージシャンとして売り出しつつある一成(28)と再婚、直ぐにベビーに恵まれた。が、生まれた子が離婚後280日だったことから、前夫光男の子としか戸籍は受理されない。「離婚後300日以内に生まれた子供は離婚前の夫の子と推定する。」という明治時代にできた民法の条文とそれに則って手続きする戸籍事務のおかげで、新しい夫の子として届けが出せない。保育園は?育児は?……法律によって引き起こされる悲喜劇を、現代の家族のあり方とともに問いかけるヒューマンドラマ。


現場からひとこと〜演出・真銅健嗣:
民法772条には、離婚後300日以内に生まれた子は離婚前の夫の子と推定する、とあります。現代ではちょっと違和感があるこの法律、新聞などで今問題になっていますが、この条文に当てはまる家族を軸に、劇作家さいふうめいさんが、見事なオリジナルドラマに書き上げました。シャープな台詞運びは登場人物全てに行きわたり、主演の渋谷琴乃さん、夫役の細見大輔さんはじめ、全員が魅力あふれる人物!という楽しいドラマになっています。大人達の騒動をしり目に、全編を語る(?)赤ん坊陽太(ようた)も、どうぞお聴き逃しないように。

 

シリーズ・地域発ドラマ

『オン・ザ・ロード』

(福岡局制作)

【放送日】
2007年3月3日(土曜日)22:00-22:50

作:三上幸四郎
演出:吉田浩樹
技術:奥山操
音響効果:田村崇典


出演:綱本健男 瑞木りか 四宮なぎさ 中村良知
進藤隆司 山村泰代 小林英喜 二橋康浩
ポカ 橋口泰介 児玉育則 山下晶


あらすじ:一度しかない人生、どう走り抜くか
九州の冬はマラソンが熱い。12月の「福岡国際マラソン」や2月の「別府大分マラソン」など、毎月、多数のランナーが参加する大会が開催されている。実業団の多くも陸上部の本拠を九州におき、その互いが互いを高め合っている。日本のマラソンが強い理由のひとつに実業団が陸上選手たちを抱え、育てている独特の風土がある。主人公は29歳のマラソンランナー。北部九州にある自動車メーカーの陸上競技部に所属している。肉体のピークを過ぎつつあり、最近は思うように成績が伸びなくなって来ている。その彼が陸上部に入ってきた新人ランナーと走ることで新たな生き方を見つけ始める。

 

シリーズ・地域発ドラマ

平成18年度中四国ラジオドラマ脚本コンクール 佳作

『こぼれ塾』

(広島局制作)

【放送日】
2007年2月24日(土曜日)22:00-22:50

作:稲田篤子
演出:渡辺哲也
技術:実川素子
音響効果:水谷明男


出演:田畑智子 大後寿々花 末武太 吉本武史
秋風亭てい朝 永山安子 ほか


あらすじ:教員を目指しながら、塾の講師として働く篠田早紀(30)は採用試験に落ち続けている。講師の仕事にも熱が入らず、生徒の木下明里(15)にはそのやる気のなさを見抜かれてしまう有様だ。同僚の山田は早紀と同じく30歳。教師を目指す早紀とは逆に教師を辞めて塾の講師になった。「理科実験」の授業を盛り込むなど、意欲的に取り組み、「ゴッド先生」の愛称で慕われている。早紀は指導熱心なのに、かつて教師をやめている山田のことが気になっていた。そんな時実験授業中に、明里が山田先生に怪我をさせる事件が起きる。どうやら2人の間にはかつて何かがあったらしい。2人の事情に巻き込まれた早紀は山田の実家のある松江へと向かう。バブル崩壊後に社会に出た「ロスト・ジェネレーション」世代。とまどいの多いこの世代の大人たちの悩みと変化を描く。


現場からひとこと〜演出・渡辺哲也:
毎年行っている中四国ラジオドラマ脚本コンクール佳作作品です。コンクールでも審査員の心掴んだのは、講師と中学生の生徒の会話でした。
将来に不安を抱える大人と、大人びた中学生。時に講師と生徒、時に友だち、時に姉妹のような2人の掛け合いがこの脚本の大きな魅力です。この掛け合いを主演のお2人の力で更に生きたものにしていただきました。
この2人をはじめ、大層な人間ではない、近くにいそうな人たちが織りなす物語です。
読みながら「あ、近くにいるこの人たち」と思った脚本でした。音になって更に「あ、いるいるいる、この人たち」を感じてもらえれば幸いです。

 

シリーズ・地域発ドラマ

『ガロの故郷』

(徳島局制作)

【放送日】
2007年2月17日(土曜日)22:00-22:50

作:高谷信之
演出:矢野豊
技術:井上俊勝
音響効果:岩崎進


出演:丸山智己 石倉三郎 矢沢心 藤山律子
本城雄太郎 田中允貴 神崎智孝


あらすじ:徳島県の山間部、今もダム建設と反対活動に揺れる村があった。その村出身の男が、久しぶりに故郷に帰る。すると、伝説の川の妖精「ガロ」が現れ、あたかも彼を誘導するかのようにふるまう。「ガロ」はカッパともカワウソとも呼ばれる伝説的存在で、村と川との関わりから生まれた。故郷の自然を愛し、守っていくことを伝える、メッセージドラマ。


現場からひとこと〜演出・矢野豊:
昔ながらの伝統や文化を大切にしながら、自然と共に暮らす。このような暮らしは今、都市型の生活に飲み込まれて全国各地の地方集落ごと日本から消えつつあります。このドラマでは、自然に身を任せて暮らすことの魅力を感じると同時に、その厳しさをも感じられる作品にできればと思いました。架空の世界と現実世界・過去と現在を行き来しながらテンポ良く展開する会話を包み込むように、さわやかな自然の音が心地よく流れています。雄大な徳島の自然に抱かれる50分間を楽しんでいただければと思います。

 

シリーズ・地域発ドラマ

第30回FMオーディオドラマ脚本募集 佳作

『餌の時間』

(山形局制作)

【放送日】
2007年2月10日(土曜日)22:00-22:50

作:市田峯子
演出:宮本えり子
技術:小林健二
音響効果:遠藤正昭




出演:毬谷友子 小畑次郎 百足瑞恵 絵永けい
館林敦士 石川裕人 片倉久美子 吉城柚葉


あらすじ:幼い頃父親を亡くした桜は、長い間母親と住んでおり、やがて結婚して娘を産み、平穏に暮らしていた。母親の突然の死から、不安な気持ちが高まる。そんな時、夫と自分との間の愛と深い絆に気づく。杜の都仙台は広瀬川沿いを舞台に、叙情豊かにヒューマニティ溢れる地域ドラマ。


現場からひとこと〜演出:宮本えり子:
「自分の大切な人にきちんと向き合う」その難しさと大切さを主人公・桜の目を通して描きます。悲しい事件が多い今だからこそ、身近な人との関係を見直せる作品にしたいと思い作りました。主演の毬谷友子さんが桜の感情を見事に表現。親子のシーン、愛犬とのシーン、夫婦のシーン。後半は心を打つ名シーンが連続します。きっと聞き終わったら優しい気持ちになれるはず。「餌の時間」是非お聞きください!

 

シリーズ・地域発ドラマ

『タケルさんの優雅な生活』

(札幌局制作)

【放送日】
2007年2月3日(土曜日)22:00-22:50

作:三浦まどか
演出:大海寛嗣
技術:山村秋則
音響効果:三村俊之



出演:木村淳 岩田雄二 谷崎尚之 曽川留三子
加藤はづき 小山めぐみ 斎藤和子 丸谷小一郎
三上勝由


あらすじ:函館に住む秀樹は、両親と中学生の妹という家族構成の平凡な高校2年生。他界した祖母が住んでいた離れに、東京からタケルという風変わりな青年(27歳)がやって来て、家ごと購入して住みたいという。彼の言によると、所謂IT長者で、セミリタイア(若隠居)してのんびり暮らしたいとのこと。離れに住み始めた途端、タケルさんは近所の人気者になり、家族も皆心酔していく。ところが、父親だけは彼のことが気に食わず、ついに衝突することになってしまう。ちょっとコミカルなハートフルドラマ。


現場からひとこと〜演出:大海寛嗣:
全国の放送局が制作する「シリーズ・地域発ドラマ」の第1弾。
本物の函館の音を聞いて欲しくて、函館まで音の収録に行きました。
路面電車の音に、教会の鐘の音。随所に聞こえる函館の音が旅情感を演出します。
脚本家に役者、スタッフまで全員が道産子。北海道色溢れる作品をお聞き下さい。

 

2006年ABU賞受賞

ギャラクシー賞受賞

『はるさんの日記』(再)

【放送日】
2007年1月27日(土曜日)22:00-22:50

原作:古厩志津子
脚色:東多江子
音楽:桑原研郎
演出:川野秀昭
技術:高橋英明
音響効果:浜口淳二


出演:伊藤蘭 佐々木すみ江 長谷川博己 小川隆市
石井揮之 堀岡真


あらすじ:自信家で気丈だった母、はるが認知症になった。急に別の世界に入って自分が活躍していた昔の様子を話したり、町に出たあとで自分がどこに行くつもりだったか分からなくなったり。50歳になろうという娘のしづこにとって、母はいまだに一人前と認めていてくれず、時にはきつい言葉を投げかけられ、傷つけられたりもする存在だった。そんな母が、認知症になって見せる少女のようにか弱い部分。母に認めてもらいたいと思っていた娘がいつのまにか「母」のような立場で母に接することになる。はるさんの「別の世界」と、現実世界でのしづことはるのやりとりを交錯させながら、その全てを受けとめて暮らしていく娘の姿を通じて認知症を生き抜く母娘の心のふれあいを描く。

 

『五十歳の旅立ち』

【放送日】
2007年1月20日(土曜日)22:00-22:50

原案:土屋寛文
脚本:伊沢勉
演出:藤井靖
技術:佐藤勝彦
音響効果:平木和人


出演:磯部勉 堀越陽子 藤元英樹 鈴木惠理
伊沢勉 纐纈麻子 鬼頭卓見 平山真美
伊藤隆洋 大津有加里 山田優学 石原英秀
二村麻美


あらすじ:失業生活を送っていた百地学は、妻・静子に尻を叩かれながらコンビニ経営に乗り出すものの、目が回るような忙しさを乗り切るだけで精いっぱいの日々。学の前歴は代議士秘書。世間の裏のウラまで見尽くさなければならない仕事に疲れ、人間不信に陥っていた。晴れて「一国一城の主」に収まったまではよかったが、想像以上のハードワークと、次々と訪れる一風変わった客たちに、「こんなはずじゃなかった…」とボヤくことしきり。次々訪れる難事を乗り切る夫婦の二人三脚の泣き笑い奮戦記を人情味たっぷりに描く人生の応援歌ドラマ。

 

第19回銀の雫文芸賞最優秀作

『髪にふれる』

【放送日】
2007年1月13日(土曜日)22:00-22:50

原作:今村惠子
脚色:小松與志子
音楽:荻野清子
演出:真銅健嗣
技術:西田俊和
音響効果:嶋野聡


出演:白川和子 山本學 山口果林 花原照子
絆てつや 大竹周作 鈴木ゆうじ 野村昇史
関えつ子 池田道枝


あらすじ:40年間夫婦で営んできた理髪店。妻の朋子は高校の同窓会の幹事役をいつもやってきた。ある時、思いがけない女友達から返信葉書をもらう。美佐子……男性達の憧れの君。高校時代の無二の親友だったが、卒業後名家に嫁ぎ、それ以来音信不通だった。そんな時夫の康之が倒れる。欠席するつもりでいた朋子だったが、出席して美佐子に会うようにと夫に言われる。同窓会で美佐子から意外な相談を持ちかけられる。シルバーエイジのヒューマンドラマ。


現場からひとこと〜演出:真銅健嗣:
誰でもいつかは年をとり、衰えていきます。それは確かに寂しいものではありますが、確実に仕事をし、家族と暮らしてきた人にとっては、実り多き人生の時期ともいえます。そんな夫婦のドラマになれば……。素晴らしい原作と脚本、白川さん、山本さんを始めとした出演の皆さんの熱演でいいドラマに仕上がりました。そして、今は亡くなられましたが、この銀の雫文芸賞創設に大きな力を尽くされた文学者雫石とみさんに深い敬意と感謝を捧げたいと思います。

 
 
 
 
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