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防災士に聞く「地震から身を守る~家の中を安全に!~」

能登半島地震 阪神・淡路大震災
  • 2024年02月22日

地震から身を守るには “家の中安全!”

先月1日、能登半島を震源とする地震により県内では多くの地域で震度5強を観測。住宅への被害や断水など、県民の暮らしに大きな影響を与えました。

能登半島での地震活動は、日が経つにつれ落ち着いてきましたが、引き続き警戒は必要です。また県内には呉羽山断層を始め、危険な活断層も確認されています。

今後起こりうる急な地震に備えて、今できることは何でしょうか?

前回は“いざ”というときすぐ逃げられるよう非常用持ち出し袋を準備すること、そして家が倒れないよう昭和56年5月以前に建てられた住宅、およそ築40年以上の住宅にお住まいの方は、ぜひ耐震診断を受けて欲しいとお伝えしました。

ただ、建物自体が地震の揺れに耐えられたとしても、家の中にはさまざまな危険あります。過去の地震では、落ちてきたり飛んできたりした物によって、家の中で被害にあった方が大勢います。

そこで今回は、家の中の地震対策について見ていきたいと思います。富山県防災士会事務局長で地震対策にも詳しい上田司穂(うえだ・しほ)さんに教えていただきました。

NPO法人 富山県防災士会 上田司穂 理事・事務局長

 

家の中にはどんな危険が?

まずは、家の中にどんな危険があるか調べます。

上田
事務局長

生活している部屋で座ってみて、頭の上よりも高いところにある物は、地震の時には自分の頭に降りかかってくるおそれがあると意識して欲しい。タンスなどが高いところにあれば、それは倒れてくる可能性がある、そうするとタンスの固定などをしていただきたい。

自分の頭より高いところにある物は、落ちてきたり倒れてきたりする危険が高いので、その対策を取るということです。

つり下げられている照明器具にも注意が必要です。また寝室の場合は、実際にベッドに寝てみて、どんな危険があるか確かめてください。

 

さらにタンスなど大型の家具については、固定に加えてその配置を考えることも大切です。

例えば、ベッドの横にタンスがあるとして、もしタンスが下の図のような向きで置かれていたら、地震の際にベッドの上に倒れてくるかもしれません。

そこで、タンスの向きを右の図のように変えると、ベッドの上に倒れる可能性は極めて低くなります。

 

また、大型家具だけではなく、見落としがちな物もあります。

上田
事務局長

多くの家庭にあるのは、賞状額がかかっていたり、子どもの作品が額に入れてかかっていたり、そういったは、大きな地震の時には落ちてくる可能性があります。あとは壁掛け時計などつけている家庭は、その壁掛け時計が自分のところにふりかかってくる可能性は、ゼロではありません。

もし額にガラスがはまっているなら、そのガラスをアクリル板に替えるだけでも危険は減ります。また上田さんは、壁に取り付けてあるエアコンなどにも注意して欲しいと話していました。

 

対策をとる順番は?

倒れてこない、落ちてこないように対策を取るということは分かったとしても、どこから手をつけていいのか迷われる方も多いと思います。優先順位についても教えていただきました。

上田さんによると、始めに手をつけるのは寝室がいいと言います。6434人が犠牲になった阪神・淡路大震災も、早朝の5時46分とまだ多くの人が寝ている時間に起こりました。寝ているときは無防備なので、まずは寝室の対策が大切です。

そして、次に滞在時間が長いのは台所や居間などになるかと思いますが、台所は特に注意が必要といいます。

上田
事務局長

実は台所っていうのは、地震の時は凶器の塊になる、食器棚なんか倒れてしまうと、ガラスが散乱してしまいます。食器棚が倒れない工夫がいりますし、それから倒れなくても、扉が開いて中の食器が飛び出してくる可能性があります。冷蔵庫だって倒れてくるかもしれない、大きな地震の揺れになると、電子レンジなんかも飛び出してくる可能性があります。

台所はガラスや陶器など割れる物が多い上に包丁もあるし、調理のために火も使いますから、大変危険な場所です。また包丁やフライパンなどを壁につり下げて保管しているなら、大きな地震の時には飛んでくるかも知れません。ふだんから棚や引き出しにしまうなどすると、危険を減らすことができます。

 

対策はコツコツと…

ただ寝室の対策をして、さらに台所もして、居間などほかの部屋の対策も必要ですし、そんなに一度にはとても出来ないと思われる方も多いと思います。

上田さんに聞きました。

上田
事務局長

手がけとっつきやすいところから手を出して、一気にやろうと思わないでコツコツコツコツと、これ終わったらこれやってとしたほうが、最終的にはいい対策ができると思います。

上田さんに話を聞いた私自身も、家の中の対策に取り組み始めたのは、防災士の資格を取得してからです。気付いたことから少しずつ行っていて、まだまだ途中の段階です。

例えば、こちらはわが家の台所の食器棚ですが、まずは2年前に転倒防止対策をしました。そして半年ほど前に、全面のガラスに飛散防止フィルムを貼りました。そして年末には大掃除がてら、食器の下に滑り止めのシートを敷きました。

そのかいあってか、今回の地震による食器の被害はなかったのですが、まだ対策していなかった本棚の本が落ちてしまったので、次は本の落下防止対策に取り組むつもりです。

 

地震を防ぐことはできませんが、地震の被害は事前の対策しだいで防ぐことができます
ぜひ万が一を考えて、できることから少しずつ備えを進めてください。

 

参考になる情報は、「NHK防災」のホームページにも記載されておりますので、ぜひご覧になってください。

  • 牧野雅光

    NHK富山局(防災士資格所持)

    牧野雅光

    報道の仕事に携わる中で、防災・減災報道の大切さを痛感し、 防災士の資格を取得。 今回の地震を受けて改めて、日頃の備えがいかに重要か、いっそう強く感じております。

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