防災士に聞く 「防災士って?」
- 2023年11月08日
“防災士”って、どんな資格?
“防災士”って、どのような資格か知っていますか?
防災士というのは、地域防災の担い手を育成しようと設けられた民間の資格のことです。
平常時は防災に対しての啓発活動などを、実際に災害が起きたときには、避難誘導や救助活動、避難所の運営などにあたります。
そもそも、防災士という資格ができることになったきっかけは、1995(平成7)年に起きた阪神・淡路大震災です。
高速道路が横倒しになった映像に、衝撃を受けた方も多かったと思いますが、その際、倒れた家から
助け出された人のうち、およそ8割が、家族や近所の人などに助け出されたとされています。
大規模な災害が発生したときというのは、消防や警察をはじめ行政自身が被害を受けることもありますので、やはり身近な地域の人々の役割が重要になってきます。
そこで、阪神・淡路大震災の経験から、いざというときに地域住民自らが地域の防災力の担い手として
力を発揮できるよう、防災や減災のための知識や技能を身につけた人を、いまからちょうど20年前の2003年に、防災士として認定する制度ができました。
ところで、防災士にはどうしたらなれるのでしょうか。
一般的には、防災士になるための養成研修講座を受けること、そして試験に合格すること。さらに自治体などが主催する救急救命講習を受けること。その後、所定の手続きを経て申請すると、防災士に認定されます。
防災士になってまず最初にすることは、自宅の防災対策、家具の固定や備蓄品の準備などです。
自分や家族の身の安全が確保できていないと、いざというときに防災士として十分な役割を果たすことができません。
実際の災害現場、東日本大震災や熊本地震の際には、防災士の活動により命が助かった人がいたほか、
避難所の順調な開設にもつながったといいます。
氷見市の防災士 柳田ゆかりさんに聞きます
防災士はいざというときに活躍するためにも、新たな知識など学び続ける必要があります。
こちらは、10月28日に氷見市で行われた防災士に向けた研修会の様子です。
防災士に加えて、これから防災士になろうという人たちも参加して、自分たちの住む氷見市の災害リスクや、その備えなどについて学んでいました。
この研修会で司会を務めていた富山県防災士会の柳田ゆかり理事に話を聞きました。
柳田さんは全国各地で災害が相次ぐ状況を見て、防災士を目指したといいます。
災害のリスク、災害に対する心構えを持たなきゃいけない。自分の身は自分で守るという意味から、防災士の資格を取ることにしました。防災士になったことで、いろいろな知識が得られました。
そして2019年、防災士の資格を取得しました。
その年は台風19号による豪雨により、お隣、長野県の千曲川が氾濫して、北陸新幹線の車両基地が浸水するなど、比較的身近なところでも大きな被害が発生しました。
柳田さんは、災害が少ない富山県でもいつ大きな被害が起こるか分からないと、改めて感じたそうです。
防災士の資格を取った柳田さんは、避難所の設営や運営などを学ぶ講習会を開いたり、地域の防災研修会で講師を務めたりしています。
また大雨などにより避難所が開設される際には、そのサポートも行っていますが、その際に、ショックを受けたことがあったと言います。
今から2年前のお盆の時、大雨が降って避難所が開設されたのですが、たまたま私の住んでいる地区はどなたも来られなかった。それは周知されていないのか、それとも“なーん邪魔ないわー(大丈夫)”って、行かない人が多いのか、みなさんの防災に対する意識はまだまだ低いのかなって。
柳田さんはこのような経験を経て、地域の人々が防災を自分事として考えられるよう、活動にますます力を入れるようになったと言います。
ところで、柳田さんのような女性の防災士、実際にはどのくらいいるのでしょうか?
男性よりは少ないでしょうが、半分ぐらいはいるのかなと思ったら・・・。
こちらのグラフを見ると、男性の4分の1以下しかいません。
女性の割合は少しずつ増えてはいますが、男性に比べてまだまだ少ないことがわかります。
防災士は、避難所の運営や管理にも携わるのですが、避難所では特に女性に配慮した女性専用の物干し場や更衣室、授乳室の設置などが求められるので、避難所を運営する側に女性がいることは、とても大切になるそうです。
また、若い世代の防災士も必要だと言われています。
こちらは、石川県で活動する高校生の防災士です。
避難所には、お年寄りから赤ちゃんまでさまざまな年齢の人が集まります。
高校生や大学生の若い防災士は、不安な気持ちでいる小さな子どもたちにも、年齢が近い分、寄り添ってあげられるかも知れません。
男性、女性、若い方にも防災士になってもらえるといいと思います。その年齢に応じたニーズというのはそれぞれあると思うので、その人たちの意見を取り入れることで、1人でも多くの方の手助けになると思います。
性別、年齢問わず、いろいろな防災士がいることが大切なのですね。
ちなみに、富山県で防災士資格を取った人は、これまで2409人(令和5年9月末現在)。お隣の石川県は、9249人になります。
富山県は5年後の2028年度中に、現在の倍近くおよそ4700人にまで防災士の数を増やす目標を掲げました。
富山県の防災士養成研修は、11月と来年1月にも予定されています。興味のある方はぜひ県のホームページをご覧ください。
最後に柳田さんからのメッセージです。
全国各地で災害は起きています。ここ富山県でもいつ災害が起きるかわかりません。そのためにも、ふだんから地区のハザードマップを確認したり、水や食料の備蓄品を確認することが大切です。いざというときのために、ふだんから困らないように準備をしておいてください。
ことしの6月7月には、県内でも広い範囲で豪雨による被害が起こりました。いざという時のためにも、1人でも防災士が増えて欲しいと思います。