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徳島・安田アナが堪能!山あいにある那賀町の郷土料理と人形浄瑠璃

  • 2024年05月24日

徳島県の山あいの町・那賀町。徳島市から車で1時間半程の場所にあります。初夏には、旬を迎える山の幸や地域が誇る伝統行事によって、町は一段と活気づきます。
今回はそんな豊かな山里で大切にされる、人と人をつなぐ“真心”に出会う旅。徳島局の安田アナウンサーが訪ねました。

動画はこちらから👇

豊かな自然が魅力の那賀町

徳島市から車で1時間半の場所にある那賀町。
標高1000メートル以上の山々に囲まれ、地域の9割以上が森林におおわれています。
また、 町内には「清流四国一」にも選ばれたことのある那賀川が流れています。

那賀川ではカヌーやサップなどのレジャーも楽しめます。
また隣町の阿南市とつながるロープウェイからは、町を一望できる絶景も。

このロープウェイ、実は西日本最長
四国八十八箇所第21番札所の太龍寺と麓とを結びます。

“郷土の味”を伝えるゲストハウス

自然の恵みあふれる初夏。
その魅力を伝える人気者がいると聞いて、町のゲストハウスを訪ねました。

こちらがその人、女将の岸田恵美子さんです。ずっと、この町で暮らしています。

見せてくれたのは、町のあちこちに自生する旬の山菜。

くさぎ菜・・・クサギの若い芽
この町では、じゃがいもと煮て食べることも

そんな地元の食材をふんだんに使った恵美子さんの手料理が、宿の名物です。

さんまの姿ずしは、特産のゆず果汁にたっぷり漬けられた風味豊かな味わいが自慢です。

昔ながらの囲炉裏でご飯をいただけます。

恵美子さんの味に、誰よりもぞっこんなのが、一緒に宿を営む、桑高仁志さんです。

恵美子さんのことを「えみちゃん」と呼んで慕っています。

桑高さん

本人は自覚がないけど、料理に魔法がかかっています。
魔法かけよるんだろ?

恵美子さん

うん、かけてます

2人の出会いは11年前。桑高さんは、自分のやりたいことを探して、群馬県からひとりこの町に移住。地域の交流行事で、恵美子さんと知り合いました。

恵美子さんは、40代で夫を亡くして以来、一人暮らし。楽しみは料理で客をもてなすことでした。その食卓に、桑高さんは連日招かれたのです。

優しい人柄もそうなんですけど、料理一つとっても真心がこもってて。
その魅力をいろんな人にも伝えていきたいと思って、じゃあぜひ一緒に宿を
やれたらなって。

“真心”に魅せられて ~郷土の味を未来へつなぐ~

“真心”という魔法がかかった恵美子さんの手料理。
8年前に宿を開いてからは、桑高さんも調理場に立ち、その味を受け継ごうとしています。

さんまの姿ずしの作り方を教える恵美子さん
恵美子さん

私が親から習ったようなんはな、魚が生きとるような感じに握るって

桑高さん

泳いでるようにっていうね

2人が作る料理が人気を呼び、山里の宿には客足が絶えません。
この日は、アメリカからのお客さんも。今では、国内外から大人気の宿なんです。

恵美子さんにとっても、ふるさとの味をつないでくれる桑高さんの存在は特別だと言います。

恵美子さん
私も桑高さんに会わんかったら、今あったかどうか、まだおったかどうかも分かりません。感謝してます。

山里の宿でゆったり過ごすのはいかかでしょうか?あたたかな2人組が出迎えてくれますよ。

自然のさえずりに包まれた夜
五右衛門風呂も楽しめます

江戸時代から町に伝わる “人形浄瑠璃”

山里の“真心”を伝える人は他にも。
こちらの方々は、丹生谷清流座(にゅうだにせいりゅうざ)です。
この地で江戸時代から続く庶民の娯楽、人形浄瑠璃を上演しています。

高齢化によって存続が危ぶまれる人形浄瑠璃を受け継ごうと、町の青年団によって結成されました。

そして去年、新たなメンバーが加わりました。中村実優さんです。

中村さんは愛知県出身。地域おこし協力隊の一員として、2年前、この地に移住しました。

中村さんが取り組むのは、いちごの栽培。先輩農家たちの手厚い支えのおかげで、暮らしは軌道に乗り始めたばかりです。

中村さんが栽培したいちご
買いに来る地元の人

昼はいちごの栽培、夜は人形浄瑠璃の練習にいそしむ中村さん。

先輩に教わりながら、人形の動かし方を学びます。

中村さん

振りを覚えるの難しいですし、頭の中であっても思った通りに動けなかったりするので・・・

舞台本番に向けて、日々練習に励みます。

恩返しの心をこめて~農村舞台公演~

中村さんを支えてくれる町の人たちの、なによりの楽しみが、人形浄瑠璃の公演でした。
町内に40棟も残る“農村舞台”で成果を披露します。

日頃の感謝の心を込めて、人形を操ります。

中村さんの頭に浮かんでくるのは、支えてくれた地元の人々の顔です。

中村さん
地元の方にすごいお世話になっているので、そのありがとうっていう気持ちを人形で恩返しできたらなと思います。

そして・・・
公演の最後は、観客みんなで大合唱が始まりました。
互いに手を取り合ってこの町で歩いていこう。その思いを、歌に込めます。

無事、公演を終えた中村さん。笑みがこぼれます。

中村さん

拍手が聞こえてきたのがわかったので、それがうれしかったりしました。
すごいいい場だったなって改めて思いました。

あたたかな心のつながりのあふれた山里の暮らしに出会う旅でした。

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