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ふるさと納税の変更点 返礼品どうなる 経費など基準の厳格化で

  • 2023年9月29日

ふるさと納税の制度では、寄付のうち半分以上を自治体が独自の財源として活用できるようにするため、返礼品の調達費用など寄付を募るのに使う経費は寄付額の5割以下に抑えるよう総務省が基準を設けています。しかし、過度な返礼品競争で5割を超える自治体が相次いだため、10月から基準が厳格化されます。厳格化される点やどんな影響がみられるのかなどまとめました。

厳格化で経費や原材料の基準はどうなる

ふるさと納税について、総務省は10月から基準を厳格化して運用を始めます。具体的には確定申告を行わなくても税の控除が受けられるワンストップ特例制度のために必要な書類などの発送費用や、仲介サイトに支払う手数料もすべて経費に計上し、5割以下にするよう求めています。

返礼品の「熟成肉」や「精米」に関する基準も厳格化し、原材料がその都道府県で生産されたものに限るとしています。

小牧市 量の変更や寄付額の値上げ

このため全国の自治体では、返礼品の見直しや寄付額の引き上げなど対応に追われています。このうち、愛知県小牧市では、量の変更や寄付額の値上げを決めました。特産品の名古屋コーチンの鍋セットや長期保存ができるパンなどの返礼品が人気で、昨年度の寄付金額は13億円を超えました。

今回の見直しで、長期保存ができるパンはこれまで1万2000円以上の寄付で、27個入りのものを提供していたのを、24個入りに減らすことに、また、内容を減らすことが難しい名古屋コーチンの鍋セットは、これまでの1万円から1万2000円に値上げせざるを得ないということです。

釧路市の返礼品送料抑制策とは

一方、釧路市では返礼品の送料を抑えようと取り組んでいます。進めているのが、「現地決済型」のふるさと納税です。

市内の施設などに設置されたQRコードを読み取れば寄付ができ、その場で返礼品の電子クーポンを受け取ることができます。「現地決済型」にすることで送料を削減できるということです。

「経費」の基準をめぐる解釈

総務省はこれまで自治体がふるさと納税の寄付を募るために使う経費の基準について「寄付金の募集に要する費用」と記載し、自治体に通知していました。

しかし、この表現をめぐって、自治体の間で「寄付金を集めた『あと』の費用は含まなくてもいい」といった解釈が広がり、確定申告を行わなくても税の控除を受けられるワンストップ特例制度のための書類や、寄付を受領したことを示す書類の発送にかかる費用を経費から除く自治体が相次ぎました。

さらに仲介サイトに支払う手数料の一部についても、サイト側が「経費に計上する必要はない」などとしていたケースもあり、経費に含めない自治体も出ました。

経費=募集に付随する事務費用含む

このため総務省は経費の基準について「ワンストップ特例制度の関連書類や受領証の発送費用など募集に付随する事務費用を含む」と明記したほか、仲介サイトへの手数料もすべて経費に含まれることも自治体に通知しました。

こうした基準が守られない場合は、参加を認めない可能性もあるとしています。

総務省は28日、全国1785の自治体から基準にのっとった計画が提出されたとして、引き続き参加を認めると発表しました。
ただ「計画どおり実施されない場合は参加を取り消す可能性もある」として、基準の順守を呼びかけています。

ふるさと納税の制度に詳しい専門家は

慶応大学総合政策学部 保田隆明教授
〇基準の厳格化について

「制度が始まって15年がたつが、そのつどより健全化するために改善している過程の1つだと思う。制度の健全化や発展のためには必要な対応策だ」

〇今後の制度のあり方は
「健全な競争環境が整備されることが重要だ。一部の自治体が寄付を過度に集めすぎ、一部の自治体から過度に税が流出しすぎている可能性があり、いま一度、議論を深める必要があると思う」

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