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【新春企画】 川勝知事に『〇×』で聞く 前半・リニア新幹線の今後

  • 2024年01月26日

新春インタビュー企画。「激動」とも言えた去年の県政ニュースを、後藤アナウンサーが川勝知事と振り返り、新年の抱負を単独インタビューしました。テーマごとに前半・後半に分けてお届けします。まずは前半、「リニア問題」について、一問一答で聞きました。
(インタビュアー:静岡局アナウンサー後藤康之/取材・構成:県政キャップ・仲田萌重子)

【2023年振り返りは“土石流警戒区域解除”と“コロナ5類”】

(後藤アナウンサー)
「あけましておめでとうございます」

(川勝知事)
「あけましておめでとうございます」

(後藤アナウンサー)
「去年2023年は、知事にとってどんな1年でしたか」

(川勝知事)
「まず9月の初めに熱海市の土石流の警戒区域が解除されたと。待ちに待っていた事でしたので、大変うれしかったですね。それからもう1つはやはり新型コロナウイルスが感染症法上5類になったということですね」

【○×で一問一答! 県政課題を質問】

「嬉しいニュース」の一方、去年は、さまざまな課題が浮き彫りとなった1年でした。知事はその課題をどう捉えていたのか。○×の札をあげてもらい一問一答で聞きました。

【まずはリニア問題を質問!どう振り返る?】

まず質問したのは、静岡県が着工を認めず、議論が平行線のままのリニア中央新幹線について。去年は大井川の流量を減らさないために上流部の田代ダムの取水量を抑える案を県と流域自治体が了承し、環境保全の国の有識者会議もJRの対策が「適切だ」とする報告書をまとめました。客観的には大きな前進ですが、川勝知事の評価は。

〈○×質問〉
「大井川を巡る水資源の問題は解決した」

(川勝知事)

“×”

〈○×質問〉
「JR東海の田代ダム案を了解したのは流域自治体を尊重したからだ」

(川勝知事)

“○”

〈○×質問〉
「不測の事態の対応などを県の専門部会で了解しないと田代ダム案は認めない」

(川勝知事)

“○”
 

〈○×質問〉
「南アルプスの環境保全について国の有識者会議がまとめた最終報告に納得していない」

(川勝知事)

“△”

「最終報告自体は立派ですよ。しかし最終報告で解決はしていないということですね。問題点を明らかにしただけの最終報告でしたから」

〈○×質問〉
「水資源にせよ環境保全にせよリスクゼロでないと県内での着工は認めない」

(川勝知事)

“△”

「これも難しいですね。リスクは必ずありますから。リスク管理ができていれば着工はできると思います」

〈○×質問〉
「水資源や環境の問題が解決したら次の問題を提示するつもりだ」

(川勝知事)
“△”

「もう既に問題を提示してあります」

〈○×質問〉
「2027年の開業が難しくなった原因はJR東海にある」

(川勝知事)
“○”

〈○×質問〉
「難波・静岡市長のリニアに対するスタンスは手のひら返しだ」

(川勝知事)
“×”

〈○×質問〉
「リニア問題の解決は、今年中に8合目までいくと思う」

(川勝知事)
“△”

「そういう言い方はちょっと難しいですね」

(後藤アナウンサー)
「先月、品川ー名古屋間の開業を)2027年以降にするという申請を、JR東海が国にしたわけですけれども。知事自身は10月に『大井川流量の問題が解決されれば、山で例えると1合目から2合目に進んだという状況だ』と定例会見でおっしゃっている。本日、この時点で山に例えると何合目だと思いますか」

(川勝知事)
「ゴールが変わったんですか」

(後藤アナウンサー)
「変わってませんか」

(川勝知事)
「いえいえ全然違いますよ。ゴールは(品川ー大阪間の開業時期の)2037年じゃないですか。2027年までに(品川から)名古屋までやるという方法を変えるということでしょう。ですから従来の方針が根本的に変わったというふうに私は見てます。もう一度、1合目に戻ったんじゃないですか」

(後藤アナウンサー)
「仮に知事がこれまでも述べている生態系の問題がクリアされたら何合目にたどりつきますか」

(川勝知事)
「これはもう10合目でしょう」

(後藤アナウンサー)
「それが達成できれば全線開業できる」

(川勝知事)
「そう思いますよ。リニアの促進と南アルプスの保全を両立させるということですからこれは非常に難しい問題です。2037年まで、ある意味で猶予を与えられたというふうにもとれますよね」

(後藤アナウンサー)
「でも積極的な推進はなさってないですよね」

(川勝知事)
「推進してますよ。だから部分開業をして、できるところからやったらどうですかと」

【知事のリニアのスタンス県民が望んでいる…?“△”】

〈○×質問〉
「静岡県を通らないルート変更を望んでいる」

(川勝知事)

“×”

〈○×質問〉
“静岡県がリニアの開業を止めているという自覚はある”


(川勝知事)
“×”

「とんでもない」

〈○×質問〉
“現在の知事のリニアのスタンスは県民が望んでいる”

(川勝知事)

“△”

「いろんな人がいますからね。そのとおりだと思っている人もいるし、そうでないという人もいる。ただ国立公園としての南アルプスを保全することは国策ですね」

(後藤アナウンサー)
「島田市の染谷市長が、会見で国の有識者会議の議論の終了に県が反発したことについて、『全国的な会議に行くと静岡県が肩身の狭い思いをしていると実感していることが多い』と述べています。つまり県のスタンスに反発する声があることの裏返しじゃないんですか」

(川勝知事)
「リニアは国家的事業ですから非常に関係者は多いですよ。ですからいろんな意見を言う人がいる。特にコロナ禍を経験してですね。いらないという人もいらっしゃるぐらいですよね。それから一日も早い開業を望んでいる方、こういう極端なところがあって。いろんな議論があるのは当たり前だと思います」

(後半『知事の発言問題・今後の県政への姿勢は?』に続く)

 

  • 後藤康之

    静岡放送局 アナウンサー

    後藤康之

    声優志望からアナウンサーに。「NHKニュース たっぷり静岡」キャスター2年目。伝える上でのモットーは「そのニュースに触れたときのファーストインプレッションを大切に」。最近は落語にもハマりはじめた。

  • 仲田萌重子

    静岡放送局 記者

    仲田萌重子

    全国紙記者として福島県浜通りで過ごし2022年NHK入局。「川勝番」は3年目に突入したが、リニアや政局取材など今も緊張の日々が続く。息抜きは祖父が生産する静岡茶を飲むこと。

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