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春を告げる静岡焼津の魚って?驚きのおいしさ グルメ

  • 2023年03月15日

駿河湾の西側にある静岡県焼津市沖の定置網。すぐそばには、深海へと続く傾斜が急な海底が広がっているそうです。ここで春を告げる魚たちが本格的に取れだしました。定置網の“金庫”では、ある魚が乱舞していました。味も最高でしたよ!

午前3時半 まだ真っ暗です

金庫に向かうぞ!

午前3時半。焼津市の小川港から2隻の船が出航。向かうのは、岸から約500メールしか離れていない定置網です。

小魚を求めて海鳥たちもスタンバイ

この場所は、北から回遊する魚を誘導し、網の中に入った魚を捕まえます。魚は網にぶつかると沖に向かって泳ぐため、その習性を利用して上手に網を設置しているといいます。

網は機能ごとに5つに区切られ、それぞれつながっています。“垣網”→“運動場”→“箱網”→“落とし網”→“金庫”の順に設置されています(深さは30~50メートル)。

“運動場”はカーテンをぶら下げているようなもので、“箱網”の入り口は幅約350メートル、次の網に誘導するのが多きな役割です。奥に行くに従って網は小さくなっています。最後の“金庫”の入り口は、幅約1メートル50センチ、深さは6メートルです。

漁では、網を機械と手作業でたぐり寄せ、魚を追い込んでいきます。

魚が泳いでいます

作業開始からおよそ40分。魚が見えてきました。最初に引き上げたのは「落とし網」、マダイを中心にアジやサバ、イカなどが入っていました。

魚種ごとに分けていけすに入れます

いよいよ金庫の番です!

次にたぐり上げたのは、その奥にある「金庫」と呼ばれる網です。

機械で網を巻いて落としての繰り返しです

たくさんの魚で網があふれそうです。

バチバチと魚の跳ねる音が響きます

ここでは、ブリがいっぱい!まるまるとしたブリが次々に船にあがってきます。船上はまさに戦場、8~10キロクラスのブリがあちこちで跳ねています。この日は約450本が水揚げされました。

海も春の訪れ

このブリが焼津の定置網漁の本格的なスタートの合図だそうです。3月から6月が漁の最盛期、それを知らせてくれるのが、春のブリだというんです。

定置網の会社 酒井久則副社長

「水温が温かくなり、エサとなるサクラエビが来る。これを食べにブリが来るんです。このあと産卵が始まるので、おいしいのは彼岸のころまでかなぁ」

なぜ最後の網は金庫?

「まさに金庫なんです。定置網漁は自然のいけすでもあります。他の漁法だと取った魚はなかなか生かすことができないので、ほとんど水揚げします。でも定置網は網の中で自然のまま生かすことができるんです。だから魚の出荷も、市況を見て調整することができるので、魚を貯めておける金庫なんですよ」

なるほど、出荷量を調整すれば魚がたくさん網に入っても、値段を安定させることができます。

さらに酒井さんは、定置網は魚のオアシスでもあるといいます。

「定置網は、魚礁にもなっています。魚が集まり、イカは網に卵を産みます。網の目も大きいので、逃げようと思えば逃げられる。入った魚の3割程度しか取っていないと言われています」

魚を美味しく保つ

魚もおいしく食べてもらいたいと、高級魚は船上で血抜きや神経締めをしています。

血抜きをしています

この日もサワラを処理していました。

池田敏恒さん

(池田敏恒さん)「魚の扱いも変わってきています。よい魚を評価してもらえるようになりましたから。魚をどこまでいい状態にできるか常に工夫しています。生きたまま持ち帰ることも増えました」

漁開始から、およそ2時間半。魚を積んだ漁船が小川港に戻ります。

静岡の魚を支える

市場では漁協の職員たちが競りの準備を始めました。魚種や大きさごとに仕分けていきます。

小川漁協の市場

神経締めなどの処理をすれば、1キロ500円ほど値があがるそうです。

小川漁協市場部 河野正幸さん

(河野正幸さん)「ブリが取れ出すと、シーズンの始まりです。焼津と言えば、マグロやカツオのイメージが強いかもしれませんが、この小川港は、サバ、アジ、イワシなど鮮魚ものを扱っています。いわば静岡の魚を支えているんですよ」

帰り際、酒井さんがブリの味も記事にしてほしいと、8キロのブリを土産にいただきました。酒井さんは富山県でも定置網の仕事をしていて、あの氷見のブリもよく知っているそうです。

定置網の会社 酒井久則副社長

「焼津のブリも氷見にも負けないくらい美味しいですよ。脂も氷見より、若々しいというかさわやか。でも焼津あたりから東の人たちはやはりマグロやカツオが好きなんですよね。本当はもっと食べてもらいたいですけど」

本当においしかったです

焼津の定置網も、明治時代に創業し、もともとはブリをメインにしていたそうです。そんなブリを大切にいただきました。

見るからにおいしそうです

ブリの甘みが広がり、脂も本当にさわやか。やはりおいしくて、うーんとうなってしまいました。おすそ分けした同僚も「刺身が最高でした。人生で食べたブリで1、2を争うくらいおいしかったです」と喜んでくれました。

焼津のブリ。みなさんも一度試してみたらいかがでしょう。間違いないおいしさだと思います。

定置網のみなさん、体に気をつけて! これからも静岡の食卓を笑顔にする、おいしい魚を頼みますね。

  • 長尾吉郎

    静岡局 ニュースデスク

    長尾吉郎

    1992年NHK入局
    初任地大分局で釣り覚える
    報道局社会部・広報局など
    ヤエンによるイカ釣り好き

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