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静岡 焼津 第五福竜丸 広島市の平和教材から記述消える

  • 2023年03月08日

静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」は昭和29年3月1日、南太平洋で行われたアメリカの水爆実験で被ばくしました。この史実は、長らく平和教育のため教材に取り上げられてきましたが、広島市の教育委員会が掲載をとりやめる方針であることがわかりました。元乗組員の遺族からは記憶の風化を懸念する声が上がっています。

「はだしのゲン」に続き…

現在の教材

広島市教育委員会は、69年前にアメリカによる水爆実験で被ばくした静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の記述について、小中学校と高校で行われている「平和教育プログラム」の中学3年生向けの教材から、掲載をとりやめる方針を決めたことがわかりました。

教育委員会は「平和教育プログラム」の見直しを進めていて、小学3年生向けの教材に掲載されている漫画「はだしのゲン」についても掲載をとりやめ、新年度の教材では別の内容に変更する方針を決めています。

掲載とりやめ なぜ?

現在の教材には、乗組員らが水爆実験で発生した大量の灰を浴びたことや、被ばくから半年後に無線長の久保山愛吉さんが「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」という言葉を残して亡くなったことなどが掲載されています。また、この言葉に込められた久保山さんの思いを考える課題も記されています。

「平和教育プログラム」改訂案

これについて有識者や教員などで作る会議で教材の内容を再検討した結果、有識者から、「第五福竜丸が被ばくしたという記述のみにとどまり、被ばくの実相を確実に継承する学習内容になっていない」という指摘が出たことから変更を決めたと、教育委員会は説明しています。

「平和教育プログラム」改訂案

新年度の教材では、核軍縮の動きについて地図や表などから具体的に捉えられる内容に変更する方針だということです。

また、広島市教育委員会は「第五福竜丸については教員用の指導資料には記述を残し、授業で扱うことになっている。生徒には概要や参考文献を紹介する」と説明しています。

「あってはならない」 遺族 強い懸念

河村惠子さん

「第五福竜丸」の元乗組員でおととし亡くなった大石又七さんの義理の妹の河村惠子さんは、記述の削除に対して強い懸念を示しています。

教材から削除されると社会の中で風化が進んでいくと思うので、残念でなりません。教材に掲載されていれば、子どもたちがパラパラとめくるだけでも記憶に残ります。核の脅威についてしっかりと教えるべき広島で、掲載のとりやめがあってはならないと思います。

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