少子化対策 3兆円台半ばへ上積みを指示 岸田首相

少子化対策をめぐり、岸田総理大臣は、今後3年間で集中的に取り組みを進めるため、年間3兆円台半ばの予算の確保を関係閣僚に指示しました。財源と合わせて、年末までの来年度予算案の編成過程で、具体的な検討を進める方針です。

少子化対策を今後3年間で集中的に強化するため、政府は、具体策を盛り込んだ「こども未来戦略方針」の素案を6月1日にも示す方針で、岸田総理大臣は、31日関係閣僚と詰めの調整を行いました。

後藤経済再生担当大臣によりますと、岸田総理大臣は、今後3年間で集中的に取り組みを進めるため、新たに年間3兆円台半ばの予算を確保するよう指示しました。

政府内では、これまで年間3兆円程度とする方向で協議されてきましたが、さらに上積みを図るよう求めた格好です。

また岸田総理大臣は、予算の確保にあたっては、高等教育費や、子どもの貧困・虐待防止、それに障害のある子どもの支援拡充などに力を入れる意向も示しました。

そして財源と合わせ、年末までの来年度予算案の編成過程で具体的な検討を進めることになりました。

会談のあと、後藤大臣は記者団に「きょうの方針に従って具体的に政府としての素案をまとめ、与党などと調整を進めていきたい」と述べました。

松野官房長官「予算の倍増に向けた大枠を示していきたい」

松野官房長官は31日午後の記者会見で「まずは『こども未来戦略会議』で、近く今後3年間で集中的に取り組む加速化プランの施策の内容や、財源の基本的な骨格を含む『こども未来戦略方針』を示すことにしており、骨太の方針に向けて、子ども・子育て予算の倍増に向けた大枠を示していきたい」と述べました。

岸田首相「少子化は待ったなしの課題」 自治体側の協力求める

岸田総理大臣は、全国知事会などとの会合で、「少子化は待ったなしの課題だ」として、少子化対策を実行に移すうえでの自治体側の協力を求めました。

少子化対策を今後3年間で集中的に強化するため、政府は、具体策を盛り込んだ「こども未来戦略方針」の素案を6月1日にも示す方針です。

これを前に、岸田総理大臣は、全国知事会など地方6団体との会合に出席し、「少子化はこれ以上放置できない待ったなしの課題であり、地方と協力して取り組む必要がある」と述べ、自治体側の協力を求めました。

これに対して、全国知事会の会長を務める鳥取県の平井知事は「われわれも不退転の決意で、子育て政策、少子化対策に向かっていきたい。そのために、人材や地方財源の確保なども配慮してほしい」と要望しました。

一方、岸田総理大臣は、マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることについて「重く受け止める必要がある。関係府省が連携し、信頼確保に向け、データやシステムの再点検など万全の対策を迅速かつ徹底して講じていく」と述べ、理解を求めました。

「こども未来戦略方針」案を提示へ

少子化対策の強化に向けて、政府は1日、具体策の案を有識者会議に示します。
今後3年をかけて、年間3兆円台半ばの予算を確保し、児童手当の拡充などに集中的に取り組むとする一方、財源を確保するための具体的な内容は年末までに結論を得る方針です。

政府は、少子化対策の強化策を盛り込んだ「こども未来戦略方針」を今月中に決定したいとしていて、1日の有識者会議で案を示すことにしています。

この中では、今後3年をかけて年間3兆円台半ばの予算を確保し、集中的に取り組みを進めるとしています。

具体的には児童手当について所得制限を撤廃した上で、対象を高校生まで拡大し0歳から3歳未満は1人あたり月額1万5000円、3歳から高校生までは1万円を支給するとしています。

また、第3子以降は、高校生まで年齢にかかわらず月額3万円に増額するとしていて、いずれも来年度中の実施に向けて検討する方針です。

また親が就労していなくても子どもを保育所などに預けられる制度を来年度以降に本格導入することを目指すとしています。

さらに2026年度をめどに、公的保険の適用を含めた出産支援の強化を検討することも明記しています。

このほか両親ともに育休を取得した場合、最長4週間手取りの収入が変わらないよう、2025年度から育児休業給付の給付率を引き上げることを目指すなどとしています。

そして必要となる財源は、▽社会保障の歳出改革に加え、社会全体で負担する新たな支援金制度の創設などで2028年度までに確保するとし、▽制度が整うまでに不足する分は一時的に「こども特例公債」を発行して賄う方針です。

また徹底した歳出改革などを通じ、国民に実質的に追加負担が生じないよう取り組むと強調しています。

一方で、歳出改革や新たな支援金制度の具体的な内容は、社会保険との関係も含め来年度予算案の編成過程で検討し年末までに結論を得ると明記しています。