北朝鮮ミサイルでJアラート誤発信 原因はシステム上の不具合

北朝鮮が10月4日に弾道ミサイルを発射した際、Jアラート=全国瞬時警報システムによる情報が、東京の島しょ部に誤って発信されていたことについて、松野官房長官は、政府のシステム上の不具合が原因だったと明らかにし、速やかに改善する考えを示しました。

北朝鮮が4日に弾道ミサイルを発射した際、Jアラートによる避難呼びかけなどの情報が、警戒の必要がない東京の島しょ部の9町村に誤って発信され、政府が原因を調べていました。

松野官房長官は記者会見で「岸田総理大臣の指示を受け、原因調査を速やかに行った結果、システム上の不具合が見つかった」と明らかにしました。

そして「ご心配をおかけした9町村の住民の方々には、おわびを申し上げる。政府としては、今後システム上の不具合を速やかに改善し再発防止を図るべく、しっかり取り組んでいきたい」と述べました。

自民合同会議「ミサイルが通過してからJアラートが鳴っても遅い」

これに先立ち、5日の自民党の合同会議で、内閣官房の担当者は原因の究明を進めていることを説明したほか、青森県にJアラートが発信されたのは午前7時29分で、ミサイルが県の上空を通過したと推定される時刻と、ほぼ同じだったことを明らかにしました。

安全保障調査会の会長を務める小野寺元防衛大臣は「Jアラートやエムネットを含めた国民に対する通報について、しっかり検証する必要がある。国民を惑わすことがないよう次回に生かしてほしい」と政府に求めました。

また、出席した議員からは「ミサイルが通過してからJアラートが鳴っても遅い」とか「通勤や通学の時間帯であり、屋外にいる人にいかに避難を呼びかけるかが課題だ」などと、国民への情報発信の在り方について検証を求める意見が相次ぎました。

Jアラート情報 “6市町で住民への伝達に支障“ 消防庁

北朝鮮による弾道ミサイル発射に関して、総務省消防庁は、Jアラートの情報を送信する対象となった自治体を調査した結果、北海道と青森県のあわせて6つの市と町で防災行政無線などによる住民への情報伝達に支障があったと発表しました。

支障があったのは北海道の新ひだか町と恵庭市、天塩町、利尻町、青森県の青森市と平川市です。

Jアラートの情報は受信したものの防災行政無線などで発信されないなどの支障があったということで、総務省消防庁は詳しい内容や原因を聞き取っています。

このうち青森市はミサイル発射から11分後に情報発信したため市民への伝達に問題はなかったとしています。

ただ総務省消防庁によりますと、青森市が情報を受信したとき、自動で行われるはずのメール配信が行われず、手動で防災行政無線による伝達を行ったということで、結果的に情報の伝達が遅れる支障が出たとしています。

北海道 新ひだか町 Jアラート受信の装置故障で呼びかけできず

北朝鮮が4日朝、ミサイルを発射した際、北海道新ひだか町では、Jアラートを受信して自動で情報を伝えるための装置が故障していたため、防災行政無線を通じて、住民への注意の呼びかけを行うことができませんでした。
町内32か所に設置されたすべてのスピーカーで音声が流れなかったということです。

これについて、町はJアラートを受信して自動で情報を伝えるための装置が故障していて、先週から修理に出していたためだと説明しています。

緊急時には職員が手動で放送を行うことにしていましたが、その準備をしている間に「ミサイルが太平洋へ通過したとみられる」という情報が入ったため、放送を見合わせたということです。

住民の60代の男性は「北朝鮮のミサイルが日本上空を飛んだのをニュースで見たが、町にはもうちょっと機敏な対応をしてほしい」と話していました。

新ひだか町は、故障した装置の修理が終わるのは11月上旬と見込んでいて、それまでに早朝や夜間、それに休日にJアラートで情報が発信された場合は、地元の消防が防災行政無線を遠隔で操作し、情報提供を行うということです。

新ひだか町は「命に関わる問題なので、対応を見直すことで迅速な情報提供につなげたい」としています。

寺田総務相「再発防止を図っていく」

Jアラートの情報が防災行政無線で流れないなどの支障が生じたことについて、寺田総務大臣は4日午後、記者団に対し「どれだけの範囲で、具体的にどういう支障が出たのか、また、その原因などの詳細については調査中だ。自治体側の問題かもしれないが再発防止を図っていく」と述べました。

楽天モバイル Jアラートの速報 利用者にメール送信できず

北朝鮮が4日朝、ミサイルを発射した際にJアラート=全国瞬時警報システムの情報が緊急速報メールで楽天モバイルの利用者に送信できていませんでした。総務省消防庁が調べたところ、システムの保守管理を委託している事業者が設定を誤っていたことが原因だったということです。

楽天モバイルによりますと、北朝鮮が4日朝、ミサイルを発射した際に北海道や青森県の利用者に緊急速報メールで送るはずだったJアラートの情報が送信できていなかったということです。

これについて総務省消防庁が調べたところ、Jアラートの保守管理を委託しているNTTコミュニケーションズが配信の設定を誤っていたことが原因だったということで、設定の内容を修正し、正常に配信できるように改めたとしています。