安倍晋三元首相銃撃事件から1か月 旧統一教会との関係相次ぐ

安倍晋三元総理大臣が亡くなってから8月8日で1か月です。政府が来月行う「国葬」に対する世論の賛否が分かれているほか、旧統一教会と政治家との関係が相次いで明らかになるなど、事件の余波が続いています。

安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃撃され、亡くなってから8日で1か月です。

安倍元総理大臣の「国葬」は9月27日に東京の日本武道館で行われる予定で、政府は先月末に関係省庁による幹事会を立ち上げ、外国の要人も含めた参列者の調整や警備態勢の構築など、準備を本格化させています。

各種の世論調査では「国葬」を実施することへの賛否が分かれていて、野党側からは実施の意義や法的根拠などについて、政府が説明責任を果たしていないという批判が出ています。

岸田総理大臣は先の記者会見で「世界各国が安倍元総理に敬意と弔意を示している状況を踏まえ、国の公式行事として葬儀を行うことは適切だ」と強調しました。

政府としては「国葬」をめぐる衆参両院の閉会中審査の場などを通じて、実施の理由を丁寧に説明し理解を広げていきたい考えです。

一方、自民党安倍派は、安倍氏が亡くなったあとも当面、後任の会長を置かず幹部が協議しながら運営していく方針ですが、派内では主導権争いを懸念する声も出ています。

また、銃撃事件をきっかけに、政治家が旧統一教会から選挙支援を受けたり関連団体のイベントに出席したりするなど教会との関係が相次いで明らかになっていて、事件の余波が続いています。

事件受け 要人警護にドローン活用を検討 警察庁

安倍元総理大臣が演説中に銃撃されて死亡した事件で、警備の見直しを進めている警察庁が、多くの聴衆が集まる屋外の警護にドローンを活用した上空からの警戒を新たに導入する方向で検討していることが分かりました。演説する要人の周囲に防弾ガラスを設置することも検討していて、実効性ある警護体制を確立できるか問われることになります。

警察庁は襲撃を未然に防げなかった当時の警備の検証を進めていて、これまでに奈良県警が作成した「警護・警備計画」について、前例を安易に踏襲し十分な検討が行われなかったことや、演説の直前に警察官の配置が変更されたにもかかわらず現場で共有されないまま後方の警戒に隙が生まれたことなどを問題点として挙げています。

こうした点を踏まえ、警察庁が選挙の遊説など多くの聴衆が集まる屋外での要人の警護に、ドローンを活用した上空からの警戒を新たに導入する方向で検討していることが警察当局への取材で分かりました。

高い位置から会場全体をふかんして不審な動きを把握することや抑止効果が期待でき、今後、落下の危険性など運用に向けた検証を進めていくということです。

また、今回の事件で至近距離から銃撃されたことなどを踏まえ、警護対象の要人の周囲に防弾ガラスを設置することも検討しているということです。

防弾ガラスの設置は、アメリカなど海外の警護体制を参考にしていますが、重さがあり、選挙の遊説などの場で機動性をどう確保するかなどについて検証する必要があるということです。

警察庁は事件当日の警備の検証結果を8月にもまとめる方針で、新たな資機材も活用しながら実効性ある警護体制を確立できるか問われることになります。