“安倍元首相にやじで排除は違法” 北海道に賠償命じる判決

3年前、札幌市で当時の安倍総理大臣の街頭演説にやじを飛ばし警察官によって離れた場所に移動させられた男女2人が、排除は違法だとして道に賠償を求めた裁判で、札幌地方裁判所は「警察官らの行為は違法で、原告らの表現の自由が侵害された」として原告側の訴えを認め、道にあわせて88万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

3年前、札幌市内で街頭演説をしていた当時の安倍総理大臣に向けて複数の人がやじを飛ばすなどし、警察官によって離れた場所に移動させられました。

このうち札幌市に住む大杉雅栄さん(34)と桃井希生さん(26)の2人は排除は違法で精神的苦痛を受けたとして、北海道にあわせて600万円余りの賠償を求めていました。

25日の判決で札幌地方裁判所の廣瀬孝裁判長は、「被告側は『当時、生命や身体に危険を及ぼすおそれのある危険な事態にあったとか、犯罪がまさに行われようとしていた』などと主張するが、それは認められない。警察官らの行為は違法で原告らの表現の自由が侵害された」と指摘し、原告側の訴えを認め、道にあわせて88万円の賠償を命じました。

原告「期待以上の判決だった」

判決後の会見で、原告の大杉雅栄さんは「筋の通らないことはおかしいと、まっとうなことを明記した期待以上の判決だった」と述べました。

一方、「問題となった排除行為をめぐり、北海道警の組織的な責任や関与が争点にならなかった」と指摘しました。

また、原告の桃井希生さんは、やじを飛ばして移動させられたあとも警察官につきまとわれたことに恐怖や混乱を覚えたなどと、当時を振り返り「世の中のおかしいことに対して『おかしい』と言うための力になる判決だったと思う」と述べました。

原告側の代理人を務めた小野寺信勝弁護士は「道警の排除行為が違法であることを認めた今回の判決を評価したい」と述べたうえで、被告の道に対し、控訴せず、今回の判決を踏まえて再発防止などの対策をとるよう求めました。

北海道警察本部監察官室「判決内容を精査し対応を検討」

判決を受けて北海道警察本部監察官室は「判決内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントしています。