総裁選 3人の争いの構図
岸田氏と石破氏と菅氏
安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙は、岸田政務調査会長と石破元幹事長が正式に立候補を表明しました。
一方、細田派、麻生派、二階派が支持する方針の菅官房長官は、2日立候補を表明する方針で、3人による争いとなる構図が固まりました。
総裁選挙の実施方法について、党の総務会は、党員投票は実施せず、両院議員総会で新しい総裁を選ぶことを決め、今月14日投開票の日程が2日に決まる見通しです。
岸田氏と石破氏 正式に立候補表明
岸田氏「すべてをかけ戦いに臨む」
岸田政務調査会長は、午後3時から記者会見し、「国民のため、国家のため、私のすべてをかけてこの戦いに臨んでいきたい。さまざまな課題に立ち向かうためにも、国民の協力がなければならず、国民の声を丁寧に聞く力も求められている。国民の協力を引き出すことができるリーダーを目指していきたい」と述べ、安倍総理大臣の後任を選ぶ総裁選挙に立候補することを正式に表明しました。
また、経済と外交が、みずからの得意分野だとしたうえで、安倍政権の政策について、「大きな成果があがったが、どんな政策も、10年、20年と通用するほど甘いものではない。時代は変化しており、その変化に対応していかなければならない。新たに浮かびあがった課題にしっかり取り組みたい」と強調しました。
一方、総裁選挙をめぐる今の党内情勢について、岸田氏は「大変厳しいという指摘は、そのとおりだ。私の思いを、一人一人の心に届くよう丁寧に訴え、活路を見いだすべく、努力を続けていくに尽きる」と述べました。
石破氏「真正面から逃げることなく訴える」
石破元幹事長は、午後4時半から記者会見し、「国民を信じない政治が、国民から信頼されるはずはなく、誠実に、謙虚に、真正面から逃げることなく訴え、国民の納得と共感のもとに政策を実行することが、次の時代に課せられた責任だ。総力を挙げて積極果敢に取り組みたい」と述べ、安倍総理大臣の後任を選ぶ総裁選挙に立候補することを表明しました。
また、安倍政権からの継続性について、「継承しなければならないのは政治の安定だ」とする一方、「株価や企業の利益は上がったが、低所得者の所得を上げることは、十分に実現できておらず、地方の雇用と所得の問題は道半ばだ」と指摘しました。
そして、外交については、「アメリカのトランプ大統領や、ロシアのプーチン大統領との関係など、安倍総理大臣の努力で外交関係が強化された。これを、政府と政府、国と国、国民と国民の関係に広げ、日米同盟や日ロ関係の強化や、拉致問題の解決などに取り組みたい」と述べました。
菅氏 あす立候補表明へ
一方、菅官房長官は、2日夕方、記者会見を開いて、立候補を表明する方針で、3人による争いとなる構図が固まりました。
菅氏は、1日は、党内第2派閥の麻生派の会長を務める麻生副総理兼財務大臣と会談しました。
この中で、菅氏は、麻生氏に立候補の意向を伝えたうえで、支持を要請したのに対し、麻生氏は、派閥として支援していく考えを伝えました。
また、東京 中央区にある東京オリンピック・パラリンピック組織委員会を訪れ、組織委員会の会長を務める森元総理大臣とおよそ10分間、会談しました。
自民党総裁選挙に立候補する意向を伝えるとともに、協力を要請したものとみられます。
これまでに、安倍総理大臣の出身派閥で党内最大の細田派、第2派閥の麻生派、第4派閥の二階派が菅氏を支持する方針を固めており、第2派閥の竹下派も幹部らが対応を協議し、菅官房長官を支持する方向で調整を進めることになりました。
そして、1日夜、石原派も会合を開き、菅氏を支持することを決めたほか、無派閥の複数の議員グループも菅氏を支持する見通しで、菅氏への支持の広がりが加速しています。
茂木外相 立候補見送る考え
河野防衛相 立候補しない考え
野田元総務相 立候補見送る考え
下村氏と稲田氏も立候補しない考え
党員投票実施せず 両院議員総会で決定へ
岸田氏と石破氏の立候補表明に先立ち、党の総務会は、総裁選挙の実施方法について、党員投票は実施せず、両院議員総会で新しい総裁を選ぶことを決めました。
総務会は、午前11時すぎに党本部9階の会議室で始まり、およそ2時間後の午後1時前に終わりました。
この中で、二階幹事長をはじめ党執行部は、「新型コロナウイルスへの対応もあり、早急に新たな体制を確立して政策を前に進める必要がある」として、党員投票は実施せず、両院議員総会を開いて、国会議員と都道府県連の代表による投票で新しい総裁を選ぶことを提案しました。
これに対し、出席者からは、「一刻も早く新しい総裁を選ぶべきで、党員投票を実施しないのもやむをえない」などと賛成する意見が出された一方、「開かれた方法で総裁選挙を行うため、広く党員の意見を反映させるべきだ」などと、党員投票を求める意見も出されました。
これを受けて、執行部側は、都道府県連の代表の投票先を決める際には、予備選挙などを行い、党員の意向を反映するよう、党として各都道府県連に促す案を示し、最終的には執行部の提案どおり決定しました。
これにより、自民党総裁選挙は、「国会議員票」394票と、47の都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票の合わせて535票で争われることになりました。
一方、総裁選挙の日程については、執行部が検討している、今月8日告示、14日投開票の案が、2日開かれる総裁選挙管理委員会などに諮られたうえで、決まる見通しです。
また、総理大臣の指名選挙を行う臨時国会について、自民党は、立憲民主党と国民民主党などの合流新党の結党大会が予定を前倒しして開催されることが決まったことを受けて、今月16日に召集し、その日のうちに選挙を行う方向で野党側と調整することになりました。