業要請 実効性担保へ
「罰則・補償を」知事会

新型コロナウイルスの感染が広がる中、全国知事会は、知事が事業者に行う休業要請の実効性を担保するため、法改正を行って、罰則規定や補償制度などを設けるよう国に求めることを決めました。

全国知事会は19日、テレビ会議形式で会合を開き、40人余りの知事が参加して国に対する緊急提言について意見を交わしました。

この中で東京都の小池知事は、感染拡大を防ぐために知事が事業者に行う休業要請について、「協力要請に応じない施設管理者への罰則の規定などを設ける法改正をお願いしたい」と述べました。

また、石川県の谷本知事が「休業要請の実効性を上げるため補償の支給は不可欠だが、自治体の財政状況に余裕はない。国における補償的な給付金や協力金の制度化が必要だ」と述べるなど、会合では法改正を行って、罰則規定や補償制度などを設けるよう国に求める意見が相次ぎ、緊急提言に盛り込むことを確認しました。

このほか、観光需要を喚起するための「Go Toトラベル」について新潟県の花角知事から「地域の実情などを踏まえて、まずは県内から始め、近隣県へと段階的に広げることが望ましい」といった意見が出され、感染状況に応じて対象範囲を機動的に見直すよう国に求めることを決めました。

このほか、PCR検査などを自己負担なく受けられる対象について、医療従事者や介護施設の職員のほか、被災地への応援職員やボランティアなどの公益性の高い人にまで拡充するよう求めることなども確認しました。

小池都知事「感染再拡大で国の支援を」

東京都の小池知事は、19日開かれた全国知事会のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染の再拡大に向けた取り組みへの財政支援のほか、水際対策の強化を国に働きかけるよう呼びかけました。

この中で、小池知事は、「水際対策では、検査体制をしっかり強化し、入国、帰国する方々への接触確認アプリの利用促進などを徹底していただきたい」と述べ、水際対策の強化を国に強く働きかけるよう呼びかけました。

そのうえで、「新しい日常を実現するという共通の目標に向けて、全国知事会の連携で取り組みを強力に進めていきたい」と述べました。

神奈川 黒岩知事「国が補償の統一的基準を」

神奈川県の黒岩知事は、19日開かれた全国知事会のテレビ会議で、「特別措置法の改正に関しては、感染拡大に伴う事業者への休業要請と補償はセットにすべきと言ってきたが、この補償についてきちんと制度化することが重要だ。都道府県の財政力の違いで休業要請を行えたり、行えなかったりする事態が生じるのはおかしな話で、国に統一的な基準を作ってもらいたい」と主張しました。

一方、黒岩知事は会議のあと、神奈川県内で1日に40人以上の新たな感染者の確認が続いていることについて、「感染者を抑えられる傾向は全くなく、拡大の流れも変えられないので相当厳しい状況にあると認識している」と述べたうえで、「緊急事態宣言の時のような徹底した外出自粛や休業要請は今はできないので、県民一人ひとりが感染防止対策の意識を高くもって、新しい日常を作っていくことが大事だ」と呼びかけました。

埼玉 大野知事「情報共有の徹底を]

埼玉県の大野知事は、全国知事会のテレビ会議で、来月1日に予定されているイベントなどの開催制限の緩和に関連し、「首都圏の現在の感染状況で、野球やサッカーのプロスポーツの観客数を引き上げるのはなかなか難しいだろう。試合している最中はいいが、入退場ゲートやトイレ、それにグッズの販売所は人数に一定の限度が必要だ」と述べて、慎重な姿勢を示しました。

また大野知事は、「感染者の細かい情報について自治体間の共有が全くできていない。検疫法に従えば、感染者の居住地のある都道府県知事に対して国が情報を提供することになっているが、いまだに埼玉県は受け取ったことがない。法律に書かれていることすら情報共有されていないので、国は徹底していくべきだ」と述べ、国や自治体の間での情報共有のありかたについて是正を求めました。