GoToキャンペーン」
事務委託費上限3000億円

新型コロナウイルスの感染拡大が収束したあとの観光などを対象にした政府の消費喚起策について、野党側の会合で、議員が事務の委託費が多額だとして削減を求めたのに対し、経済産業省の担当者は、効率的な運用を目指し、余剰が出れば国民への給付に回す考えを示しました。

立憲民主党など野党側は、新型コロナウイルス対策をめぐり、感染拡大が収束したあとの観光などの消費喚起策、「Go Toキャンペーン」の事務の委託などについて、経済産業省などからヒアリングを行いました。

出席した議員からは、政府が事業費およそ1兆7000億円のうち、事務の委託費として3000億円余りを上限に充てるとしていることについて、「額が多すぎであり、減額すべきだ」といった指摘が相次ぎました。

これに対し、経済産業省の担当者は「金額はあくまで上限であり、効率的に運用して余った部分は国民への給付に回したい」と述べました。

一方、「持続化給付金」をめぐり、議員が「事務を委託した一般社団法人は、再委託先の電通に仕事を回すための『トンネル法人』ではないか」とただしたのに対し、担当者は「社団法人でも業務は行われており、そうした認識は持っていない」と答えました。

「Go Toキャンペーン」とは

政府は、外出の自粛などで深刻な影響を受けている観光や運輸、飲食やイベント事業を対象に、感染拡大が収束したあとの半年間、「Go Toキャンペーン」と称した消費喚起策を実施する方針です。

キャンペーンの開始時期はまだ決まっていませんが、旅行会社や予約サイトを通じて旅行商品を購入した人を対象に、代金の半額相当、1泊1人あたり最大2万円分を補助します。宿泊料金を割り引きする形や観光施設や土産物店、それに飲食店や交通機関などで使えるクーポンを発行する形で補助します。

また、飲食業への支援では、インターネットの予約サイトを通じて飲食店を予約した消費者に飲食店で使える最大1000円分のポイントの付与や20%分の割り引きがついた食事券を発行します。

コンサートなどのイベントでは、チケット販売会社を通じて購入した人を対象に代金の20%相当を割り引いたり、クーポンを付与したりします。

政府は、こうした対策を実行するための経費として、ことし4月に成立した今年度の第1次補正予算に1兆6794億円を計上しています。

事業は、民間企業などに委託して進め、予算の中には3095億円を上限とする委託費が含まれています。

委託費“より複雑なシステム”を考慮

「Go Toキャンペーン」は、およそ1兆6700億円の予算のうちおよそ2割にあたる最大で3095億円が事務局を担う事業者に委託費として支払われる計画です。

政府は委託費について利用者にクーポンや割引券を発行するのに必要なシステムづくりの経費や利用者の問い合わせに応じるコールセンターの設置費用、それにキャンペーンを広報する経費などにあてられるとしています。

野党側は、委託費が多額の上、効果に疑問があるとして、批判しています。

政府は北海道地震や熊本地震をはじめ被災地の観光需要の喚起策として行われたいわゆる「ふっこう割」の事業でも1割から2割程度が委託費に使われたとしています。

今回のキャンペーンでは、旅行の費用に加えて、飲食やイベントなども、割引きやクーポンの対象になり、より複雑なシステムが必要になることなども考慮して、委託費を設定したとしています。

また委託費の支払いは、帳簿や領収書などで実際の支払いを厳しく審査し、原則としてキャンペーンが終わったあとにかかった費用だけ精算払いするとしています。

3日開かれた衆議院の国土交通委員会で、赤羽国土交通大臣は「およそ3000億円かかるものを発注すること自体がなかなかない事例であるので、より透明性が求められるということは受け止めておきたい。国民の皆さんの税金ですから、可能なかぎり縮小するという姿勢で臨みたい」と述べました。

政府は、キャンペーンの事務局となる事業者を先月26日から今月8日までの期間で公募し、第三者の有識者でつくる委員会の審査を経て、委託先を決定する方針です。