阪府 感染拡大防止対策
マニュアル 困惑の声も

大阪府が感染拡大防止の対策をまとめたマニュアルの内容について一部の業種からは現実的ではないと困惑する声もあがっています。

マージャン店では

府のマニュアルにはマージャン店などの遊戯施設について、座席の間隔は「できるだけ2メートルを目安に、最小でも1メートルを確保」するよう書かれています。

大阪 住之江区のマージャン店では、同じマージャン卓を囲む客どうし、2メートルも離れてマージャンをすることが可能なのか試してみました。

メジャーで測ったところ、向かい合う客どうしでも隣に座る客どうしでも、通常より1メートル以上離れなければならず、とてもマージャンは成立しませんでした。
このため店長が大阪府のコールセンターに問い合わせると、応対した担当者は「距離を取るのが難しければアクリル板やビニールの垂れ幕で遮へいしてみてはどうか」と回答したということです。

これに対し店長は「卓のうえに腕を出すのでゲームにならない」と訴えると担当者も「それはそうですね」と応じたということです。

一方、府のマニュアルは施設内での飲食についても「控える」よう求めています。

これについて店長が「マージャンは長時間になるので飲食を提供しないのは難しい」と伝えると、コールセンターの担当者は「飲食物は客に持参してもらってはどうか」と答えたということです。

このマージャン店では店のドアを開けて換気を行ったり、マージャン牌をこまめに消毒したりすることにしていて、楠田重頼店長は「マニュアルには無理な部分はあるが、可能なかぎりの対策はしたい」と話していました。

マニュアルを所管する大阪府の政策企画部危機管理室災害対策課はNHKの取材に対し「やりにくさはあると思うが、客どうしの距離は最小1メートルとも示しているので、マスクをしたうえでお願いしたい」としています。

一方、「飲食物を控えるのは飛まつ防止のためで、店の提供か客の持参かの問題ではなく、コールセンターの担当者の回答は本来の趣旨にそぐわないものだった」としています。

そのうえでマニュアルの内容について「手探りの中なので、事業者からの問い合わせに完璧な回答ができる態勢はできていないのが実情だ。現場の状況や課題も含めて今後必要に応じて見直しもしていくと思う」と説明しています。

そろばん教室では

大阪府の休業要請に応じ先月8日から休業していた、大阪 城東区の「柿田そろばん教室」は、来週からの再開を予定しています。

このそろばん教室は、生徒が自由に来て時間に制限なく学べるため、これまで多いときには定員30人の教室がいっぱいになっていました。

しかし、大阪府のマニュアルではそろばん教室などの学習塾は、座席の間隔を1メートルから2メートル確保すること、少人数で滞在時間が短くなるよう工夫することが求められています。

このため再開にあたっては予約制にして教室にいる人数を多くて15人までに制限し、授業時間も50分にすることにしました。

それでも教室の広さは20平方メートルにも満たないため、3人で使っていた机を2人で使ってもらうようにするものの、府が求める間隔を取るのは難しいということです。

さらに、府のマニュアルでは生徒どうしが大声で会話しないよう周知することも求めていて、経営者の柿田美惠さんは「教室を再開できるのはうれしいが、これまでどおりに子どもどうしが話し合いながら、わきあいあいとした授業ができないので残念です。再開してもすべての生徒が戻るとは思えず、人数制限も行うので収入は今までの半分くらいになると心配しています」と話していました。