ルーズ船にヘリで薬を
届けることも検討」厚労相

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船で、乗客から持病の薬など必要な医薬品が不足しているという声が出ていることについて、加藤厚生労働大臣は、海上保安庁などとも協力して薬の供給に万全を期す考えを示しました。

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」には、およそ3600人が残っていて、乗客から持病の薬など必要な医薬品が不足しているという声が出ています。

これについて加藤厚生労働大臣は、8日夜、東京都内で記者団に対し「ふだん使っている薬が切れてきたということで、特に緊急の対応が必要な方から優先的に対応している。薬によっては少し時間差があるが、できるだけ速やかにやるべく対応したい」と述べました。

そのうえで「クルーズ船に海上保安庁の船が同行し、ヘリコプターも使って薬を届けることも検討している」と述べ、海上保安庁などとも協力して薬の供給に万全を期す考えを示しました。

またアメリカ人夫婦が、ロイター通信の取材に、下船できるよう外交的な対応を求めていることについて「アメリカ側も、最終的には今の状態の中で日本の対応に任せると聞いている。アメリカ国籍の方々も日本の方々と一緒に、引き続き、滞在していただく」と述べ、引き続き船内にとどまってもらう考えを示しました。

「早く病院に連れて行って…」 持病の悪化心配も

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船では、船での生活が長期化するなか、持病の悪化などを心配する切実な声があがっています。

このうち60代の女性は、一緒に船内で待機している60代の夫が7日の夜から、たびたび38度を超える高熱を出しているということです。

女性の夫は、もともと免疫に関する難病を患っていて、感染症にかかると重症化するリスクが高いため、医師の診察や治療を受けたいと申し出たということですが、船内では十分な対応がされず、主治医と電話で連絡を取り合いながら、薬などを送ってもらい対応しているということです。

8日の夕方になって、国が派遣した災害派遣医療チーム=DMATの医師に状況を説明したということですが、女性は夫の健康状態が悪化した場合、緊急の対応ができるのか心配しているといいます。

女性は「とにかく夫を早く病院に連れて行ってほしいです。新型コロナウイルスだけが命に関わるのではなく、ハイリスクな病気の人も病院に行かないと、もしものときに間に合わないかもしれません。私たちは医師の方に診察してもらいましたが、医師の数は少なく、診察を待っている人たちがたくさんいます。なんとか対応してもらいたいです」と話していました。