里城復元へ基本方針決定
今年度中めどに工程表

政府は、主要な建物が焼失した首里城について関係閣僚会議を開き、前回、平成4年に復元された際の図面に基づいた復元を原則とした基本方針を決めたうえで、今年度中をめどに工程表の策定を目指すことを確認しました。

総理大臣官邸で開かれた3回目となる関係閣僚会議には、菅官房長官や衛藤沖縄・北方担当大臣らが出席し、首里城の復元に向けた基本方針を決定しました。

それによりますと、前回、平成4年に復元された際に作成した図面に基づいて復元することを原則とするとしています。

そして、柱の正確な形状など、前回以降に明らかになった新たな資料も反映させるとともに、スプリンクラーといった消火設備を設置するなど、防火対策を強化するとしています。

また、那覇市にある内閣府の沖縄総合事務局のもとに有識者会議を設け、関係省庁や県が連携して技術的な検討を行うとしています。

そのうえで会議では、今年度中をめどに復元に向けた工程表の策定を目指すことを確認しました。

菅官房長官は、「首里城は沖縄の誇りとも言える極めて重要な建造物だ。関係大臣は密接に連携し、予算措置を含めて早期復元に必要な措置を講じるとともに、観光振興など、地元のニーズに対応した施策を進めてもらいたい」と述べました。

基本方針 内容

政府が決定した首里城の復元に向けた基本方針では、具体的な取り組みについて次の5つの項目を挙げています。

▽首里城の復元に向け、詳細な時代考証に基づく前回、平成4年の復元時の基本的な考え方を踏襲して、首里城を復元していくこととする。

▽そのうえで、前回復元後に確認された資料や材料調達の状況の変化などを反映するとともに、今回の火災を踏まえた防火対策の強化を行う。

▽前回の復元計画にできるかぎり沿って復元できるよう、政府一丸となって木材や漆などの資材調達に取り組むとともに、沖縄独特の赤瓦の製造や施工などについて、前回復元時から沖縄県内に蓄積、継承されている伝統技術を活用するための支援を行う。

▽これまで復元に携わってきた沖縄の有識者を含めた技術的な検討の場を、那覇市にある内閣府の沖縄総合事務局に設け、国土交通省などの関係省庁と連携しつつ、沖縄県民の意見を十分に反映できるよう沖縄県の参画を得ながら検討を進める。

▽首里城跡の世界遺産登録に悪影響が及ばないよう、政府として引き続き、ユネスコ=国連教育科学文化機関と緊密に連携しながら進める。