費税率10%に引き上げ
「どうしても必要」財務相

消費税率の10%への引き上げについて麻生副総理兼財務大臣は、閣議のあと記者団に対し、今後の社会保障制度を持続可能なものにしていくためどうしても必要だとして理解を求めたうえで、今後の経済運営に万全を期していく考えを示しました。

この中で、麻生副総理兼財務大臣は、「全世代型の社会保障の構築に向けた安定財源を確保するため、極めて重要な意義がある。今後の社会保障制度を持続可能なものとしていくため、どうしても必要だ」と述べ、消費税率10%への引き上げに理解を求めました。

そのうえで、増税後の経済の見通しについて「景気への影響を考えて十二分な対策を講じており、今までのところ、前回の引き上げ時のような大きな駆け込みが起きたという話はあがっていない。駆け込みがなければ、そのあとの消費の反動減も、相対的にほぼないと考えられるが、今後どのようなことが起きてくるか、よくよく注意を払い経済運営には万全を期していきたい」と述べました。

さらに、今回、初めて導入された軽減税率について、麻生副総理は「日本の場合、計算能力が極めて高いという国民性だそうなので、そうした意味では、スムーズに行けるのではないかと期待しているが、いろいろと、ゴチャゴチャする可能性がゼロだとは思わないので、各方面と協力して対応していきたい」と述べました。

萩生田文部科学相「誰もが質の高い教育を」

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、「消費税率の引き上げによる増収分の一部を活用して、本日から幼児教育、保育の無償化が、また来年4月から高等教育の無償化がそれぞれ実施されることになる。家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い教育を受けることができる社会の実現に向けて、関係省庁と連携しつつ、引き続き制度の着実な実施に努めていく」と述べました。

加藤厚労相「幼児教育の無償化等効果出す」

加藤厚生労働大臣は記者会見で、「今回の増収分は、幼児教育の無償化や介護保険料の軽減などに充てるので、着実に効果を出せるよう努力したい。社会保障と税の一体改革は一つの区切りを迎えるので、これからの先行きをどうしていくのか、2025年、2040年を見据えながら、全世代型社会保障検討会議などでしっかり議論していきたい」と述べました。

小泉環境相「どういう影響出るか注視も大事」

小泉環境大臣は、閣議のあとの記者会見で、「多くの国民が、日々の生活の中で感じる変化があると思う。政府として、さまざまな対策を実行していくが、どういう影響が出るか注視することも大事だ。しっかり今後も見ていきたい」と述べました。

衛藤一億総活躍担当相「幼児無償化を円滑実施」

少子化対策を担当する衛藤一億総活躍担当大臣は記者会見で、「幼児教育・保育の無償化は、少子化という国難に正面から立ち向かうために、子どもたちや子育て世代に大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと変えていく重要な政策だ。制度が円滑に実施されるよう、しっかりと取り組んでいく」と述べました。

一方、制度に便乗し、理由なく利用料を値上げしたとみられる保育施設が確認されたことについて、「一部では便乗値上げなども起ころうとしているという話があるが、そういうことがないようきちんと監督していきたい」と述べました。

竹本IT担当相「周知徹底は国の責務」

竹本IT担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「税率の引き上げを周知徹底するのは国の責務だ。きょうの閣議でも、『みんなで力を合わせてしっかりあたろう』ということばがあった」と述べました。

西村経済再生担当相「経済への影響最小限に」

消費税率が10%に引き上げられたことについて西村経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「キャッシュレス決済へのポイント還元制度など2兆円を超える規模の景気対策を講じており、円滑に実施することで税率引き上げによる経済への影響が最小限にすむように取り組んでいく」と述べました。

そのうえで軽減税率やポイント還元制度が複雑だという声があることについて、西村大臣は「軽減税率やポイント還元について若干戸惑いの声が聞かれたりするという報道があることも承知している。初めてのことなので小売店の人たちには負担をかけながらにはなるが、引き続き丁寧に説明しながら政府全体で連携して円滑に制度が進んでいくように対応していきたい」と述べました。

橋本五輪パラ担当相「次世代に重要な政策」

橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「次世代に向かって、少子化対策や社会保障制度をしっかりと持続可能なものとして確立していくため、大変重要な政策だ」と述べました。そのうえで、「今回、軽減税率やポイント還元などをしっかりとやっていくことにしており、引き続き状況を見据えながら、対応に全力を尽くしたい」と述べました。

自民 二階幹事長「必要な政策を果敢に」

自民党の二階幹事長は記者会見で、「政府には万全の態勢をとるよう要請しているが、しっかり見極めて遺漏なきようにしていきたい。経済の動向を眺めながら、そのつど、必要な政策は果敢に打っていく決意だ」と述べました。

また、「消費税率を引き上げ、財政の充実を図っていこうという考えなので、われわれ与党は、口当たりのいいことばかりを言うのではなく、厳しい面も率直に事情を明らかにしながら、国民の理解を得る努力をしていくことが大事だ。全世代型の社会保障への転換を進めていくので、大いに期待してもらいたい」と述べました。

自民 鈴木総務会長「無償化なども理解を」

自民党の鈴木総務会長は記者会見で、「スムーズに国民に受け入れられるかどうか注目していきたい。きょうは、10%への引き上げと同時に、幼児教育の無償化や、低年金の高齢者を対象にした給付など、消費税の果実を使うスタートの日でもあるので、そういうことについても国民に理解をいただきたい」と述べました。

公明 山口代表「軽減税率の効果に期待」

公明党の山口代表は記者団に対し、「消費税率が2桁になると、国民の生活に大きな影響が及ぶ。軽減税率は消費者の痛税感を和らげ、消費の減退を防ぐ効果を期待できる。今後も丁寧な対応をとっていきたい」と述べました。

また、「消費税率引き上げの増収分をいかして、幼児教育と保育の無償化を実現し、自公連立政権の大きな目標が一歩前進した。今後も無償化のさらなる拡大と待機児童の解消に努力していきたい」と述べました。

立民 福山幹事長「いかにもタイミング悪い」

立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「消費税率の引き上げは、非常に遺憾で残念だ。国際経済が不透明感を増す中で、いかにもタイミングが悪く、国民生活の現実に寄り添ったうえでの判断とは到底思えない。経済への影響を注視しながら臨時国会で議論を深めたい」と述べました。

国民 玉木代表「根本的問題 国会で追及する」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し、消費税率の引き上げに合わせた軽減税率の導入について「税の三原則の『公平・中立・簡素』のいずれにも反する制度で、問題が多いと言わざるをえない」と批判しました。

そのうえで、「経済政策としての妥当性も含め、根本的な問題点について国会でしっかり追及したい」と述べ、今月4日に召集される臨時国会で政府の対応をただす考えを示しました。

一方、消費税率を8%に戻す法案を提出するかどうかについて、玉木氏は、「引き下げることによる混乱もあるので最終的にどうするかを検討しているが、野党で足並みをそろえて対応したい」と述べました。

共産 志位委員長「大増税強行の安倍政権に強く抗議」

共産党の志位委員長は、東京都内で街頭演説し、「『増税によって生活できない、生きていけない』といった、たくさんの怒りの声が寄せられている。複数税率やポイント還元に伴う大きな混乱も起きている。国民の声を無視して、暮らしも景気も経済も壊す大増税を強行した安倍政権に、満身の怒りを込めて強く抗議したい」と述べました。

れ新 山本代表「世紀の愚策」

れいわ新選組の山本代表は1日夜、東京都内で街頭演説し、「消費税の増税は、日本の経済だけでなく、一人一人の生活や中小・零細企業にも大きな打撃を与える世紀の愚策だ。消費税は減税、廃止すべきで、まずは5%への減税を野党共闘の合言葉として掲げ、政権交代を目指したい」と述べました。

野田前首相「混乱心配 状況を見守る」

衆議院の野党の新会派に所属する野田 前総理大臣は国会内で記者団に対し、「軽減税率やポイント還元など、ずいぶん複雑になってしまい、売る側も買う側も混乱するのではないかと心配している。本来ならば『お得になりますよ』というやり方ではなく、『社会保障を支えるためのものだ』と言わなければいけない。円滑に導入されるか状況を見守りたい」と述べました。