朝鮮が制裁逃れ車密輸
日本も経由か 米研究機関

北朝鮮が国連の制裁から逃れる形で日本を含む各国から車などを密輸しているとする報告書をアメリカの研究機関がまとめ、制裁の実効性を高めるべきだと指摘しています。

アメリカの民間の研究機関C4ADSは16日、北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁決議から逃れる形で車などを密輸している実態を調査した報告書を発表しました。

それによりますと、北朝鮮は2015年から2017年までの間に、国連の制裁で北朝鮮への輸出が一部禁止されている、日本車256台を含む合わせて803台の外国製の車などを90の国から調達しているということです。

また報告書はことし2月にベトナムの首都ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談の際にキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が乗っていた防弾仕様のドイツ製高級車が北朝鮮に密輸されたルートについても調べています。貨物船の動きや衛星写真をもとに分析したところ、この車両は去年6月に貨物船に積み込まれてオランダの港を出たあと、中国の大連と日本の大阪を経由して、最終的にピョンヤンに運ばれたと指摘しています。

この車両の輸送には大阪市と兵庫県尼崎市に拠点を置く企業も関係しているとしています。

報告書は、こうした実態から、経済制裁の実効性が確保されていないとして、これまで以上に制裁逃れを厳しく取り締まるべきだと指摘しています。

大阪の物流会社「驚いている」

アメリカの研究機関の報告書で密輸に関わったと指摘された大阪 西区にある物流会社はNHKの取材に対し「中国の大連から韓国のプサン(釜山)にベンツを積んだコンテナを輸送しただけで、それが北朝鮮に運ばれているとは思いも寄らず、驚いている。意図的にしたことではない」と説明しています。