馬県議 政務活動費で
海外渡航 報告書なし

群馬県議会の議員が海外に渡航する際の公費の支出について、NHKが情報公開請求などを行ったところ、事前審査や報告書の提出の必要がない「政務活動費」による支出が、平成29年度までの3年間に総額で3200万円にのぼることがわかりました。専門家は「説明責任の観点からも報告書の提出などが必要だ」と指摘しています。

議員が海外に渡航する際の公費の支出について、群馬県議会にはその必要性を事前に審査し、帰国後に報告書の提出を求める「議員派遣制度」があり、この制度を使った渡航はアジア地域に限られるほか、期間は4日以内とされていています。

NHKが県議会に情報公開請求をするなどして調べたところ、平成29年度までの3年間でこの制度を利用した海外渡航は、平成27年度に11人の議員が台湾を訪れた観光調査の1件で、費用の総額は260万円でした。

その一方で、事前審査や報告書の提出の必要がない「政務活動費」を使った海外への渡航は、平成29年度までの3年間で20回以上行われ、延べおよそ120人の議員に総額およそ3200万円が支払われていました。

渡航先は、イタリアやデンマークなどヨーロッパの国が多く含まれ、期間が1週間というケースもありました。

これについて「全国市民オンブズマン連絡会議」の事務局長で、政務活動費の問題に詳しい新海聡弁護士は「多額の公費を使った視察であり、納税者への説明責任の観点から報告書などの提出が必要だ」と指摘しています。

政務活動費で海外に渡航した経験がある県議会の狩野浩志議長は、NHKの取材に対して「現状では義務がないので報告書は提出していないが、それぞれの議員が責任を持って対応しているので、政務活動費は適切に使われていると考えている。しかし、今後は県民の理解が得られるよう報告書の提出を検討する必要がある」としています。