道ミサイル発射は国連
安保理決議に違反」防衛相

北朝鮮が9日、再び発射した飛しょう体について、岩屋防衛大臣は閣議のあとの記者会見で短距離弾道ミサイルだったという分析結果を明らかにしました。岩屋大臣は日本の安全保障に直ちに影響を及ぼす事態ではないという認識を示したうえで、「国連の安保理決議に明白に違反するもので誠に遺憾だ」と述べました。

岩屋防衛大臣は北朝鮮が9日、再び発射した飛しょう体について、「収集したさまざまな情報を総合的に勘案した結果、短距離弾道ミサイルを発射したものとみられる」と述べました。

ただ岩屋大臣は発射された複数の飛しょう体の詳細については「短距離弾道ミサイルだと思われるものや、ロケット砲に近いと思われるものがあり、発射数や弾種についてはさらに分析を行う必要がある」と述べました。

そのうえで「いずれにしても、わが国の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されていない」と述べ、日本の安全保障に直ちに影響を及ぼす事態ではないという認識を示しました。

さらに岩屋大臣は「このような弾道ミサイルの発射は、関連する国連の安保理決議に明白に違反するものであり、誠に遺憾だ。こう着している米朝会談を踏まえたアメリカに対する挑発ではないかという見方もあるようだが、北朝鮮の意図を断定的に申し上げられる段階ではない。政府としては、引き続きアメリカ、および韓国とも緊密に連携して、適切に対応していきたい」と述べました。

また安倍総理大臣が意欲を示す、日朝首脳会談への影響について、「政府全体でもう少し事態を分析したうえで判断することだ。安倍総理大臣は早い段階から『次は私がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と向き合わなければならない』と言っていた。その気持ちに変わりはないものと思う」と述べました。

弾道ミサイル発射公表はおととし11月以来

北朝鮮による弾道ミサイルの発射が確認されたして防衛省が公表するのは、おととし11月以来となります。

今回発射されたのは短距離の弾道ミサイルで、日本への直接の影響はないとしていますが、防衛省は警戒と監視を続けています。

北朝鮮による弾道ミサイルの発射が最後に確認されたのはおととし11月29日で、この時は高度が4000キロを大きく超え、防衛省は最大射程が1万キロを超えるICBM=大陸間弾道ミサイル級だという見方を示しました。

その後、去年4月に北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が史上初の米朝首脳会談を前に核実験とICBMの発射実験を中止する考えを表明し、弾道ミサイルの発射は確認されなくなりました。

北朝鮮の弾道ミサイルの発射を防衛省が公表するのはおととし11月以来となりますが、防衛省は今回の発射について短距離の弾道ミサイルだとしていて、日本への直接の影響はないとしています。

ただ国連の制裁決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったあらゆる発射を禁じており、北朝鮮では今月4日にも今回と似た形状の飛しょう体が発射されていることから、防衛省は北朝鮮の意図を分析するとともに警戒と監視を続けています。

大使館ルート通じ厳重抗議

北朝鮮が、9日短距離弾道ミサイルを発射したことについて、野上官房副長官は記者会見で、国連安保理決議に違反し極めて遺憾だとしたうえで、北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにしました。

この中で野上官房副長官は、北朝鮮が9日再び発射した飛しょう体について「種々の情報を総合的に勘案した結果、短距離弾道ミサイルを発射したものと考えている。関連する国連安保理決議に違反するもので極めて遺憾であり、わが国としてはアメリカをはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めていく」と述べました。

そのうえで野上副長官は「北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に対し厳重に抗議した。引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から、今後の対応を不断に検討していきたい」と述べました。

また野上副長官は、安倍総理大臣が意欲を示す日朝首脳会談への影響について「拉致問題の解決に向けて、わが国自身が主体的に取り組むことが重要だ。ご家族もご高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動していくとの方針に変わりはない」と述べました。