ナダのトルドー首相と
会談 安倍首相

カナダを訪れている安倍総理大臣は、トルドー首相と会談し、中国の通信機器大手ファーウェイの副会長がカナダで逮捕されたあと、中国がカナダ人2人を相次いで拘束したことについて意見を交わし、解決には法の支配が重要だという認識を共有しました。

ことし6月のG20大阪サミットを前に、主要議題の調整にあたるため、ヨーロッパやアメリカなどを歴訪中の安倍総理大臣は、日本時間の28日午後11時ごろから、最後の訪問国カナダの首都オタワでトルドー首相と首脳会談に臨みました。

この中で、安倍総理大臣は、G20大阪サミットの成功に向けて、自由貿易、デジタル経済、海洋プラスチックごみ、インフラ投資など、主要論点での合意形成が進むよう協力していきたいという考えを伝えました。

これに対し、トルドー首相は「ことしは日本でG20を主催されるということで、非常に期待している」と述べ、日本の取り組みに全面的に協力する考えを示しました。

また、トルドー首相は、中国の通信機器大手ファーウェイの副会長がカナダで逮捕されたあと、中国がカナダ人2人を相次いで拘束したことについて強い懸念を示し、両首脳は、問題の解決には法の支配が重要だという認識を共有しました。

さらに、首脳は、北朝鮮への対応について、国連安全保障理事会の制裁決議を着実に履行し、すべての大量破壊兵器やあらゆる射程の弾道ミサイルの完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄の実現に向けて緊密に連携していくことを確認したほか、日本やカナダなど11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加国の拡大に向けて連携していくことなどでも一致しました。

共同記者会見

安倍総理大臣は、トルドー首相との共同記者会見で、WTO=世界貿易機関の上級委員会で韓国政府による水産物の輸入禁止をめぐる日本側の主張が退けられたことについて、ほかの加盟国からも妥当性を問題視する声が上がっていると指摘し、G20大阪サミットでWTO改革の進展を目指していく決意を強調しました。

この中で、安倍総理大臣は、WTO=世界貿易機関の上級委員会で、先に韓国政府による水産物の輸入禁止をめぐる日本側の主張が退けられたことについて「先般の判断をめぐっては、WTO加盟国からも妥当性を問題視する声が上がっている」と指摘しました。

そのうえで、「上級委員会にはさまざまな課題があり、例えば紛争解決に資さない形で結論が出されるといった議論がある。21世紀の現実を反映したルール作りを行えるよう、紛争解決が機能するように解決していくことが不可欠だ」と述べ、G20大阪サミットでWTO改革の進展を目指していく決意を強調しました。

一方、安倍総理大臣は、アメリカがイラン産原油の禁輸に向けた経済制裁で日本などに適用してきた除外措置を延長しない方針を示していることについて「わが国は、イランとの間では伝統的に友好関係を有しており、こうした友好関係を活用し、地域の平和と安定に貢献していきたい。対話を通じた問題解決に取り組んでいく」と述べました。

一方、カナダのトルドー首相は、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を着実に履行するために日本と緊密に連携していく考えを示しました。

この中で、トルドー首相は、太平洋地域での安全保障においてカナダが重要な役割を果たしていくと強調しました。

そのうえで、「北朝鮮への制裁を確実に実施していく」と述べ、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を着実に履行するために日本と緊密に連携していく考えを示しました。

また、トルドー首相は、記者からアメリカのトランプ政権が保護主義的な貿易政策を推し進めていることについて聞かれ、「経済を成長させるのは、保護主義ではなく、各国で協力することが重要だ」と述べ、日本やカナダなど11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定の発効の意義を強調しました。