倍首相 ヨーロッパ歴訪
まとめ(~25日)

ことし6月のG20大阪サミットを前に、安倍総理大臣は、サミットの主要議題の調整などにあたるため、ヨーロッパやアメリカ、カナダを歴訪することにしています。

フランス マクロン大統領との会談

フランスを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の23日夜、マクロン大統領と首脳会談を行い、G20大阪サミットでは自由貿易の推進などの議論を主導し、連携して各国に協調を呼びかけていくことを確認しました。

ことし6月のG20大阪サミットを前にヨーロッパ4か国などを歴訪中の安倍総理大臣は、日本時間の23日夜、最初の訪問国フランスで、マクロン大統領と共同記者発表を行いました。

両首脳は、スリランカでの同時爆破テロ事件を強く非難し、国際社会と手を携えてテロ対策に取り組む考えを強調しました。また安倍総理大臣は、ノートルダム大聖堂で起きた大規模な火災にお見舞いを表明し、修復に向けた協力を惜しまない意向を示したほか、G20大阪サミットに先立って6月にマクロン大統領夫妻を日本に招く考えを明らかにしました。

このあとの首脳会談で安倍総理大臣は、G20大阪サミットに続いて、8月にフランスで開かれるG7サミット=主要7か国首脳会議でマクロン大統領が議長を務めることを踏まえ、両サミットで明確なメッセージが示せるよう協力を呼びかけました。そして両首脳は、G20大阪サミットでは、自由貿易の推進や、WTO=世界貿易機関の改革、そして電子データの適正管理に向けた国際的な枠組み作りなどで議論を主導し、連携して各国に協調を呼びかけていくことを確認しました。

さらに、自由で開かれたインド太平洋を実現するため年内に包括的海洋対話を開き、具体的な連携を進めていくことや、イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの合意なき離脱の回避に向け協力していくことでも一致しました。

一方、首脳会談では、フランスのルノーと日産自動車の関係をめぐっても意見が交わされました。安倍総理大臣は、「日産とルノー間のアライアンスは、日仏産業協力の象徴で、関係する当事者が納得する形で安定的なアライアンスの維持・強化が図られることが重要だ」という考えを伝えました。また、マクロン大統領がゴーン前会長の事件に言及したのに対し、安倍総理大臣は、「日本の刑事事件の捜査は、独立性の高い捜査機関により、厳格な司法審査を経て適正なプロセスで行われている」などと説明しました。

さらに、中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」などに関連し、マクロン大統領が、先の習近平国家主席のフランス訪問などを説明したのに対し、安倍総理大臣は、インフラ整備にあたっては、開放性や透明性の確保などに留意することが望ましいという考えを伝えました。

「ゴーン前会長の人権が守られているか注視している」
フランスの大統領府によりますと、マクロン大統領は、23日の安倍総理大臣との首脳会談の中で、日産自動車のゴーン前会長の事件に言及したということです。

この中でマクロン大統領は、「日本は、フランスの外交にとって主要なパートナーであり、民主主義を重んじる国家だ」と指摘し、フランスとしては、日本の主権や司法の独立を尊重すると述べました。

その一方でマクロン大統領は、「フランス国民は、ゴーン前会長の人権が守られているかどうか、注視している」と指摘し、ゴーン前会長が推定無罪の原則に基づいて扱われるよう、安倍総理大臣に改めて求めたということです。

イタリア コンテ首相との会談

イタリアを訪れている安倍総理大臣はコンテ首相との首脳会談に臨み、北朝鮮のすべての大量破壊兵器やあらゆる射程の弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄に向けて、国際社会が一体となり米朝の交渉を後押ししていく必要があるという認識で一致しました。

ことし6月のG20大阪サミットの主要議題の調整などにあたるためヨーロッパを歴訪中の安倍総理大臣は、2番目の訪問国イタリアで、マッタレッラ大統領を表敬訪問したあと日本時間の24日午後7時すぎからコンテ首相との首脳会談に臨みました。

この中で安倍総理大臣は、G20大阪サミットでは、自由貿易の推進、WTO=世界貿易機関の改革、海洋汚染の原因となっているプラスチックごみの問題への対策などについて議論したいという考えを伝え、両首脳は、サミットで力強いメッセージを発信するため緊密に協力していくことを確認しました。

さらに北朝鮮のすべての大量破壊兵器やあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID=完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現に向けて、国連安全保障理事会の制裁決議を着実に履行し、国際社会が一体となって米朝の交渉を後押ししていく必要があるという認識で一致しました。

また両首脳は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて安全保障分野での協力を推進していくことを確認したほか、両政府間で映画共同製作協定の締結に向けた交渉を開始したことを歓迎しました。

一方、イタリアが先に中国との間で巨大経済圏構想「一帯一路」に関する覚書を交わし、イタリアのインフラ整備で協力することなどで合意したことに関連し、安倍総理大臣は、インフラ整備は開放性や透明性など国際的なスタンダードに沿った形で進めることが重要だという考えを伝えました。

会談のあと両首脳はそろって記者発表に臨み、安倍総理大臣は「自由で開かれたインド太平洋の実現に対するコンテ首相の力強い支持を歓迎し、具体的なプロジェクトの形成に向けて協力していく」と述べました。

コンテ首相は、中国 北京で始まる「一帯一路」をテーマにした2回目の国際フォーラムに出席する考えを示し、「私の中国訪問の趣旨を説明した。このテーマについて昼食会でも議論を深めていきたい」と述べました。

ポーランド モラウィエツキ首相との会談

スロバキアを訪れている安倍総理大臣は、ポーランドのモラウィエツキ首相と会談し、日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定が発効したことを契機に、両国の経済関係を一層発展させるため協力していくことで一致しました。

日本の総理大臣として初めてスロバキアを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の午前2時すぎから、首都ブラチスラバのホテルで、隣国ポーランドのモラウィエツキ首相と会談しました。

会談の冒頭、安倍総理大臣は、「多くの分野で協力が進み、戦略的パートナーシップ関係が進展していることを歓迎する」と述べたのに対し、モラウィエツキ首相は、「日本との間で戦略的関係を追求していきたい」と応じました。

そして両首脳は、日本とEUとのEPAが発効したことを契機に、両国の経済関係を一層発展させるため協力していくことで一致しました。

また安倍総理大臣が北朝鮮の拉致問題の早期解決に向けて理解と協力を求めたのに対し、モラウィエツキ首相は、日本の立場を支持する考えを示しました。

東欧4か国と首脳会合

スロバキアを訪れている安倍総理大臣は、東欧4か国との首脳会合に出席し、中国の影響力拡大を念頭に法の支配に基づく秩序が揺らいでいると指摘し、EU=ヨーロッパ連合の結束強化に向けて、さまざまな分野での協力を推進していくことを確認しました。

日本の総理大臣として初めてスロバキアを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の午後5時すぎから、日本とスロバキア、チェコ、ポーランド、ハンガリーの東欧4か国との首脳会合に出席しました。

冒頭、安倍総理大臣は、「4か国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有し、自由貿易を推進するEU=ヨーロッパ連合の拡大と深化を支えてきた」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は、中国の影響力拡大を念頭に、「法の支配に基づく秩序や自由で開かれた国際経済システムが揺らぐ中、4か国と日本が一致したメッセージを発出することが重要だ」と述べ、EU=ヨーロッパ連合の結束強化に向けて、さまざまな分野での協力を推進していくことを確認しました。

さらに安倍総理大臣は、自由貿易体制の維持に向けて不公正な貿易慣行への対処が必要だとして、WTO=世界貿易機関の改革への協力を求めました。

会合のあと安倍総理大臣は4か国の首脳らとともに記者発表に臨み、「強固となった日本と4か国のパートナーシップに基づいて引き続き協力を進めていきたい」と述べたのに対し、4か国の首脳などからは日本との関係強化に期待する意見が相次ぎました。

また安倍総理大臣は、会合に合わせてスロバキア、チェコの首脳と個別に会談し、経済を中心とした関係を強化していくことを確認しました。

EUと定期首脳協議

ベルギーに到着した安倍総理大臣は、EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領などとの定期首脳協議に臨み、G20大阪サミットの成功に向け、WTO=世界貿易機関の改革や質の高いインフラ整備の推進などで協力していくことを確認しました。また朝鮮半島の非核化に向けたアメリカの現在の取り組みを支持することで一致しました。

ベルギーに到着した安倍総理大臣は日本時間の26日未明、EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領やユンケル委員長との定期首脳協議などに臨み、会談の成果を盛り込んだ共同声明を発表しました。

それによりますと、日本とEUはルールに基づく国際秩序を守るために、G7とG20の場で協働し、共有された価値を堅持し、新たな課題に対処することなどを通じて、6月のG20大阪サミットの成功を確実なものとするとしています。

そしてWTO=世界貿易機関を中心とするルールに基づく多角的貿易体制を強化することを再確認し、WTO改革を進展させるために引き続き取り組むとしています。

さらに中国などを念頭に、日本とEUは、WTOの主要なメンバーと、自国の産業を優遇するため政府が補助金を活用することへの規制の強化に関する交渉を開始するとともに、強制的な技術移転に対処するため協力を強化するとしています。

またWTOの上級委員会で、韓国政府による水産物の輸入禁止をめぐる日本側の主張が退けられたことに関連し、WTOの通常委員会の監視機能の強化および、上級委員会が本来の機能を確保するための協力に引き続き取り組むと明記しました。

加えて、G7やG20において、質の高いインフラ整備の推進や電子データの適正管理に向けた国際的な枠組み作りで協力していくとしています。

また北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルなどの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄と、朝鮮半島の平和に向けた現在のアメリカの取り組みを支持するほか、東シナ海や南シナ海情勢をめぐって、一方的行動を差し控えることなどの重要性を強調する海洋安全保障の諸事項に取り組むことを確認するとしています。

定期首脳協議のあと、両首脳らはそろって記者会見に臨みました。

この中で、安倍総理大臣は、「国際社会の最重要課題は自由貿易体制の堅持だ。G20が自由貿易の推進やWTO改革に向けて、一致して力強いメッセージを国際社会に対して発出すべく、EUと連携していくことで一致した」と述べました。

また「持続可能な連結性および質の高いインフラ整備、地球規模課題等を中心に協力を進めていくことを確認した。特にわが国が推進する『自由で開かれたインド太平洋』と、EUの欧州・アジア連結性戦略は欧州とアジアをつなぐ広範な地域に繁栄をもたらすコンセプトであり、多くの共通点を有する。これらを軸に日本とEUのさらなる連携を模索していく」と述べました。

ユンケル委員長は、「WTOの改革についてはともに力を合わせてあたっている問題だ。WTOは深いところから改革される必要があり、日本もEUも力を合わせて、この改革を成功裏に進めていく所存だ」と述べました。

また安倍総理大臣が提唱している電子データの適正管理に向けた国際的な枠組み作りについて、「全幅の信頼を表明したい。安倍総理大臣の提唱に従い、通商的な枠組みで進めていきたい。欧州委員会も日本の力強い味方でありたいと思っている」と述べました。