イバー攻撃は武力攻撃」
安保条約適用で共同対処へ

日米の外務・防衛の閣僚協議が開かれ、軍事力を拡大させている中国などを念頭に、宇宙やサイバー空間でも連携を強化し、日本が深刻なサイバー攻撃を受けた場合に、武力攻撃とみなしてアメリカと共同で対処する方針を初めて確認しました。

日米の外務・防衛の閣僚協議、2+2は日本時間の19日夜、ワシントンで開かれ、軍事力を急速に拡大させている中国や、軍事活動が活発なロシアなどを念頭に、日本が去年12月、新たな「防衛計画の大綱」を策定したことも踏まえて意見を交わしました。

そして、宇宙やサイバー空間といった新たな分野でも連携を強化し、日本が受けた深刻なサイバー攻撃を武力攻撃とみなして、アメリカの対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の第5条を適用して、共同で対処する場合があることを初めて確認しました。

また、日本の人工衛星にアメリカのセンサーを搭載して、宇宙の監視体制を強化することも確認しました。

さらに、中国が東シナ海や南シナ海で海洋進出を強めていることを踏まえ、「深刻な懸念と強い反対」を共有しました。

一方、北朝鮮に対しては非核化が実現するまで、制裁を維持することで一致しました。

また、アメリカなどが開発した、航空自衛隊の最新鋭のF35戦闘機の墜落事故で、捜索の協力と原因究明への連携を確認しました。

さらに、アメリカ軍普天間基地の移設問題では、名護市辺野古への移設が唯一の解決策だとして、早期返還に向けた協力で一致したほか、日本側は在日アメリカ軍の事件や事故の防止を要請しました。

共同会見で、北朝鮮高官の声明で交代を求められたポンペイオ国務長官は、今後も米朝交渉に関わる考えを示すとともに、拉致問題について、「トランプ大統領は米朝首脳会談で毎回提起している。キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、以前から認識していたと思う。今後も、毎回取り上げたい」と述べました。

岩屋防衛相「あらゆる事態に対処できる」

岩屋防衛大臣は共同会見で、「日米両国の力を結集すれば、あらゆる脅威を抑止し、あらゆる事態に対処することができる。今回の成果を踏まえ、日米同盟の一層の強化に取り組みたい」と述べました。

河野外相「北朝鮮対応で緊密協力を確認」

ワシントンで開かれた日米の外務・防衛の閣僚協議を終えた河野外務大臣は日本時間の20日朝、記者団に対し、「閣僚協議では北朝鮮をめぐって、すべての大量破壊兵器や弾道ミサイルの廃棄を実現するため、瀬取り対策などで緊密な協力を再確認した」と述べました。

そのうえで、「核・ミサイルの問題や拉致問題にどう対応するか、今、ボールは北朝鮮側にある」と述べ、北朝鮮は具体的な行動を示すべきだという考えを示しました。

一方で、米朝首脳会談を受けて、北朝鮮で政策の見直しや体制の再構築が行われているとみられるとして、一定程度時間が必要になるという見方を示しました。

また、河野大臣は日中関係に関連して、「国際ルールに沿った経済発展は世界経済にとって有益で、日中関係をさらによくするため、国際ルールにのっとった行動を求めたい」と述べました。

ポンペイオ国務長官「中国の威圧的試みが懸念」

アメリカのポンペイオ国務長官は共同会見で、北朝鮮外務省の高官が交代を求めたことについて、「私は北朝鮮との交渉チームを今、率いており、これからも率いていく」と述べ、交代を否定しました。

そのうえで、「キム委員長はトランプ大統領に何度も、また、私自身にも6回、非核化を約束しており、非核化を達成する真のチャンスがあると確信している。今後もわれわれが交渉を続けていく」と述べました。

さらに、ポンペイオ長官は中国を名指ししたうえで「国際的なルールを損なう威圧的な試みが、日米同盟と地域の平和と安定の課題だという懸念を日米で共有した」と述べました。

そして、沖縄県の尖閣諸島はアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約の第5条の適用範囲だと改めて強調するとともに、南シナ海での軍事拠点化などの動きに反対すると述べ、中国をけん制しました。

シャナハン国防長官代行「傍観することない」

アメリカのシャナハン国防長官代行は2+2のあとの記者会見で、宇宙やサイバー空間について、「中国やロシアなどがわれわれをかく乱することをねらって軍事化を進めるなか、われわれはそれを傍観することはない」と述べ、強い警戒感を示しました。

そのうえで、「これらの領域は同盟国との真の協力の場となる。われわれはこの点について、見解は一致しており、日米で統合された能力の構築に向けて、連携を続ける」と述べ、宇宙やサイバー空間で日米が一致して連携を強化する方針を強調しました。

また、シャナハン長官代行は「情報セキュリティーは防衛関係の中核だ。国内の通信インフラをリスクの高い5G企業から守るための日本の努力に感謝する」と述べ、次世代の通信規格5Gをめぐって、日本がアメリカの求めに応じる形で、中国の通信機器大手「ファーウェイ」などを排除する方針だとして評価しました。

さらに、航空自衛隊の最新鋭のF35戦闘機が海中に墜落した事故について、「日本が主導する事故の調査を全面的にサポートする」と述べ、日本による事故調査を支援する考えを示しました。

一方、在日アメリカ軍の駐留経費の日本側の負担について「公平なものにする。われわれはこれまで交渉を成功させた長い歴史があり、公平なものになると期待している」と述べ、トランプ政権として負担の増額を求める可能性を示唆しました。