長級幹部「引き続き職務
担わせること適当ではない」

厚生労働省の統計不正問題で、別の統計調査でも不正があったことが明らかになったことを受け、根本厚生労働大臣は、統計部門を担当する局長級の幹部について「引き続き、職務を担わせるのは適当ではない」として、更迭しました。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の問題を受け、政府が「基幹統計」を一斉点検した結果を発表したあと、新たに、労働者の賃金の実態を雇用形態や職種ごとに調べる「賃金構造基本統計調査」でも、本来決められた手法で行われていなかったことが明らかになりました。

これについて、根本厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し、「厚生労働省として、統計の信頼回復のために最大限の努力をしなければならない中、報告漏れがあったのは大変遺憾なことだ」と述べました。

そのうえで、根本大臣は、統計担当の大西康之政策統括官について、「不正な手法で調査していたことを知っていたが、一斉点検の時には、『問題ない』と報告し、その後、気付いて改めて報告をした。引き続き、職務を担わせることは適当ではない」と述べ、1日付けで、官房付に異動させ更迭したことを発表しました。

また、根本大臣は、野党などから、「毎月勤労統計調査」に関する、第三者委員会の調査の独立性の担保が不十分だと指摘されていることについて「第三者委員会である特別監察委員会に、厳正に精力的に、さらなる調査をしていただいている。厚生労働省は、庶務に徹し、事務局機能の強化については委員会が考える」と述べました。

立民 福山氏「予算委前の更迭 言語道断 官僚まで隠蔽」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し「過去の経緯など、全体を把握していたはずの人を予算委員会での審議の直前に更迭し、国会に呼びにくい形にしたのは言語道断で、官僚まで隠蔽するのか。当然、参考人として、予算委員会に来てもらえると思っているが、政府の姿勢は全容解明の意思がないと言わざるを得ず、改めて、根本厚生労働大臣の罷免を求めたい」と述べました。

公明 山口氏「最終的に政治家の監督責任も議論を」

公明党の山口代表は記者団に対し「根本厚生労働大臣は、原因の究明や再発防止策の確立などに責任を負っており、その過程で、不十分なところや非難されるところがあれば、人事を含めた対応をとるのは当然だ。経緯をはっきりさせたうえで、最終的には官僚のみならず、政治家の監督責任も議論されるべきだ」と述べました。

共産 笠井氏「尻尾切り許されない」

共産党の笠井政策委員長は、記者会見で「尻尾切りは許されない。統計不正と賃金偽装は底なしであることが、いよいよ明らかになっており、幹部の処分でふたをすることは、絶対にあってはならない。全容解明が必要で、関係者の国会招致と予算委員会での集中審議を行うべきだ」と述べました。