念生じないようさらに
ヒアリングを」根本厚労相

厚生労働省の統計調査が不適切な手法で行われていた問題で、根本厚生労働大臣は、外部の弁護士らでつくる特別監察委員会による調査が内部的なものにとどまっていると批判が出ていることを受けて、委員会が重ねて調査を行う方針であることを明らかにしました。

この問題で、外部の弁護士などでつくる特別監察委員会は、幹部らにヒアリングしたうえで調査結果をまとめましたが、課長補佐以下の職員のヒアリングは委員ではなく厚生労働省の職員が行っており、24日の衆参両院の厚生労働委員会の閉会中審査で「内部的な調査にとどまっている」などと批判が出ていました。

これについて、根本厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「特別監察委員会には、第三者の立場から集中的に検証を行い、事実関係や、関係した職員の動機や目的、責任の所在を明らかにしてもらった」と述べ、調査結果は十分だとの認識を示しました。

そのうえで、「きのうの委員会での議論を踏まえ、特別監察委員会の報告にいささかの疑念が生じることのないよう、ヒアリングをさらに行っていただくことになった」と述べ、疑念を払拭(ふっしょく)するため、特別監察委員会が重ねて調査を行う方針であることを明らかにしました。

根本大臣は、特別監察委員会による聞き取りに対し厚生労働省の職員らが「地方自治体の要望に配慮し、一部の事業所しか調査しなかった」などと証言していることから、委員会が、東京都など地方自治体にも話を聞くことになるとの見方を示しました。

財務相「はなはだ遺憾」

麻生副総理兼財務大臣は閣議のあとの記者会見で、「財務省でも掲載すべきデータを出していないものがあり、はなはだ遺憾で、再発防止を指導していきたい。日本の統計の精度は高いと今でも思っている。統計は誤差は少なく、正確に出さないといけない。きちんとした統計をやり続けていき、日本という国の信頼が崩れていくのは避けないといけない」と述べました。

総務相「政府統計の信頼回復を」

石田総務大臣は閣議のあとの記者会見で、今回の点検結果を総務省の統計委員会に報告するとともに、基幹統計に加え、一般統計についても検証を要請する考えを示しました。そのうえで「統計制度を所管する立場から、統計委員会の力を借りて、政府全体の統計の信頼回復に向けて、再発防止や統計の品質向上を目指した検証を進めていきたい」と述べました。

文科相「甚だ遺憾 処分は考えていない」

柴山文部科学大臣は記者会見で、文部科学省でも基幹統計の一部が公表されていなかったことについて「甚だ遺憾で、今後は事前の調査計画を踏まえて着実に実施されるよう、適切に対応していきたい」と述べました。

また、職員の処分については「ほかの調査などへの影響は確認されておらず、現時点で考えていない」と述べました。

農相「適正な調査に努める」

吉川農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で「集計作業や調査結果の分析に時間を要したため、公表の期日が遅延したものが2統計あり、最長のものでおよそ5か月、公表が遅れた。政策には影響はなかったが、しっかり点検しながら、今後は公表の遅延がないようにすることを含め、適正な統計調査の実施に努めたい」と述べました。

国交相「再発防止策を検討」

石井国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「極めて遺憾でおわび申し上げる。長年にわたり適切な是正がなされなかった案件が見受けられ、前例に従った業務執行に疑問を抱かず、調査計画などとの整合性のチェックを怠っていたものと言わざるをえない」と述べました。

また、石井大臣は「統計の担当部局を中心に再発防止策を検討し、信頼回復に努めたい」と述べたうえで、必要があれば関係者の処分も検討する考えを示しました。

官房長官「特別監察委でさらに調査」

菅官房長官は午後の記者会見で「特別監察委員会で集中的に検証し、事実関係とその経緯・背景について、第三者の視点から厳正な調査を行った結果を先日、明らかにした。一方で、きのうの国会審議でいただいたさまざまなご指摘について、厚生労働省で真摯(しんし)に受け止めて、特別監察委員会の委員によるヒアリングなどの調査をさらに行っていただくことにしたと聞いている。具体的には委員会の委員で調整して答えをいただけることになる」と述べました。

自民 森山国対委員長「週明けに回答」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「野党側からの要望には、厚生労働省などが誠意を持って対応している。特別監察委員会によるヒアリングは、今週でほぼめどが付くと思う。週明けには一定の回答ができるのではないか」と述べました。

自民 小泉厚労部会長「再調査は当然」

自民党の小泉進次郎厚生労働部会長は記者団に対し、「きのうの閉会中審査で幕引きはありえないので、再調査は当然だ。不十分なところや、疑念を持たれかねない点を払拭し、しっかり対応してほしい」と述べました。

国民 玉木代表「隠蔽なら大臣辞任に値する」

国民民主党の玉木代表は千葉県木更津市で記者団に対し、「基幹統計が極めてずさんな調査で行われていて、その調査を職員どうしが行い、やり直すことになったのは、根本厚生労働大臣の責任が厳しく問われる。大臣が十分に省内を掌握できていない1つの証左でもある。この期に及んで、さらに隠蔽しようとするような意図があったとすれば、大臣の辞任に値する」と述べました。