害者雇用水増し 閣僚は
首相は職場環境整備を指示

障害者雇用の水増し問題を受け、安倍総理大臣は関係閣僚会議で、「大変遺憾で、深く反省する必要がある」と述べ、障害者が活躍できる職場環境の整備に全力で取り組むよう指示しました。

中央省庁による障害者雇用の水増し問題で、政府の検証委員会は、去年6月の時点で28の機関で合わせて3700人が水増しされ、長年にわたり、恣意(しい)的に解釈された基準に基づくずさんな運用が続けられてきたとする報告書を公表しました。

これを受けて23日開かれた関係閣僚会議で、安倍総理大臣は「障害者の雇用や活躍の場の拡大を率先して進めるべき国の行政機関の多くで、こうした事態が生じたことは大変遺憾で、深く反省する必要がある」と述べました。

そのうえで「法定雇用率の達成にとどまらず障害者が意欲と能力を発揮し活躍できる場の拡大が重要だ。政府一体となって障害のある方の雇用の推進に全力で取り組んでほしい」と述べ、障害者が活躍できる職場環境の整備に全力で取り組むよう指示しました。

会議では、法律で定められた雇用率2.5%を達成するため、来年いっぱいで4000人余りの雇用を目指し、障害者を対象とした統一的な職員採用試験や、非常勤から常勤に移行できる制度の導入などを盛り込んだ雇用促進策を決めました。

麻生財務相「重く受け止め」

麻生副総理兼財務大臣は、障害者雇用の水増し問題で水増しされた人数が国税庁で1103人と、中央省庁の中で最も多かったことに関して、「民間に率先して取り組むべき官庁が、障害者の雇用を怠っていたとことは大変重く受け止めている。厳しく事務方に注意するとともに、障害者雇用の推進について、改めて指示したところだ。再発防止、さらには法定雇用率の速やかな達成に向けて、他省庁と連携して取り組んでいかなければならない」と述べました。

根本厚労相「政府一体で取り組む」

根本厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「障害者雇用を所管する厚生労働省として、二度とこのような事態が生じることのないよう、私から幹部らにしっかり注意するとともに、障害者雇用の推進に全力で取り組むよう指導を徹底したい」と述べました。

そのうえで、根本大臣は来年いっぱいで4000人余りの障害者を雇用する計画について、「容易なことではなく、相当な困難を伴う面もあるが、まずは関係法令にそって取り組みを開始し、進捗状況や課題についてフォローアップしながら、政府一体で取り組んでいく。そのうえで、なお法定雇用率を達成できない府省があれば、要因や課題を検証したうえで、具体的な取り組みを再検討していく」と述べました。

吉川農相「深く反省」

農林水産省でも林野庁や水産庁を含め、合わせて241人の水増しが行われていました。これについて、吉川農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で、「組織として障害者雇用への意識が低く、相当数を計上していたことはあってはならないことで、深く反省し、深くおわび申し上げる。障害者が活躍しやすい職場づくりを進めていかなければならないと強く感じている」と述べました。

石井国交相「あってはならないこと」

石井国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で、「民間事業者に率先して障害者の雇用に積極的に取り組むことが当然の責務であるにもかかわらず、組織として障害者雇用への意識が低く、不適切な計上が行われたことはあってはならないことで、深くおわび申し上げる。二度とこのような事が起こらないように、障害のある方の雇用の推進に全力で取り組む」と述べました。

野党が集中審議要求「検証内容不十分」

中央省庁による障害者雇用の水増し問題を受けて、衆・参両院の厚生労働委員会の理事懇談会が23日開かれ、政府は、去年6月時点で28機関で合わせて3700人が水増しされ、長年にわたり、恣意的(しいてき)に解釈された基準に基づくずさんな運用が続けられてきたなどとする、政府の検証委員会の検証結果や、雇用促進策について説明しました。

これに対し、野党側からは「すでに死亡している人を障害者として算入し水増ししているのは、恣意的ではなく意図的な行為ではないか」とか、「水増しがいつから行われているのかが検証されておらず不十分だ」などの指摘が相次ぎました。

そのうえで野党側は、24日に召集される臨時国会で、委員会での集中審議と障害者団体などを招いて参考人質疑を行うよう求め、引き続き与野党で協議していくことになりました。