入管法改正案 参院法務委で可決 9日の本会議で成立の見通し

外国人の収容のあり方を見直す入管法の改正案は、参議院法務委員会で採決が行われ自民・公明両党や、日本維新の会などの賛成多数で可決されました。

そして参議院議院運営委員会は、午後の理事会で、6月9日の本会議で出入国管理法などの改正案を採決することで与野党が合意しました。改正案は9日の本会議で可決・成立する見通しです。

出入国管理法などの改正案は、難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は「相当の理由」を示さなければ適用しないことや退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活できることなどが盛り込まれています。

改正案に反対する立憲民主党が成立を阻止したいとして提出した齋藤法務大臣に対する問責決議案は、7日の参議院本会議で否決されました。

そして8日午前、法務委員会では、採決を前にした討論で立憲民主党の石川大我議員が「この法案に断固反対を表明したい。委員長が職権で本日、委員会を開催したことに最大限の抗議を示したい。数千人単位の命を危険にさらす法律だ」と述べました。

一方、自民党はこの日討論を行いませんでしたが「改正案は、外国人と日本人が安全・安心に暮らせる共生社会の実現に必要不可欠だ」などとしています。

そして、このあと採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。立憲民主党と共産党などは反対しました。

改正案は、9日の本会議で可決・成立する見通しです。

採決時 立民の議員らは委員長席を囲んで抗議

この日の委員会では、公明党の杉委員長が職権で採決を行う際、立憲民主党の議員らが委員長席を囲んで抗議しました。

周囲には「強行採決に反対」などと怒号が飛び交ったほか、一部の議員が、委員長席に飛びかかろうとする場面もみられ、委員会室は一時騒然としました。

与党側 筆頭理事 自民 福岡氏“充実した審議をしてきた”

参議院法務委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の福岡資麿氏は記者団に対し「審議時間などの面で衆議院を超える充実した審議をしてきたと思っている。考えの隔たりはあるが、採決すべき時期に来たと判断した」と述べました。

そのうえで「議場が騒然となるような形になってしまったということは極めて残念だが、あすの本会議では、粛々と採決に臨みたい」と述べました。

野党側 筆頭理事 立民 牧山氏“強行採決 許されない”

参議院法務委員会で野党側の筆頭理事を務める、立憲民主党の牧山ひろえ氏は、記者団に対し「立法事実が覆っている状態での強行採決で、許されない。民主主義も崩壊していて、国会の意味がなくなると思う」と述べました。

維新 馬場代表「茶番劇『強行採決ごっこ』が行われた」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、改正案の採決の際、立憲民主党の議員らが委員長席を囲んで抗議し、周囲には「強行採決に反対」などと怒号が飛び交ったことについて「われわれが最も嫌う茶番劇の『強行採決ごっこ』が行われた。前例や慣例に基づいた生産性のない国会を表しており国民からばかにされない国会を目指してやってもらいたい」と述べました。

ウィシュマさん妹「強行に可決され残念」

おととし、名古屋市にある入管施設で収容中に亡くなった、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんの2人の妹が、委員会を傍聴したあと報道陣の取材に応じ、このうち下の妹のポールニマさんは「強行に可決され、残念に思います。与党は、批判の声を真摯(しんし)に受け止めてから法案を成立させるべきではないでしょうか。日本の皆さんには諦めず声をあげていただきたい」と訴えました。