“30年後 花粉の発生量半減目指す” 政府の新たな花粉症対策

政府は5月30日、花粉症対策の関係閣僚会議を開き、10年後(令和15年度)にスギの人工林を2割程度減少させるなどの対応を進めたうえで、30年後には花粉の発生量の半減を目指すとする新たな対策を決定しました。

これは5月30日午前、岸田総理大臣や野村農林水産大臣らが出席して開かれた花粉症対策の関係閣僚会議で正式に決定したものです。

このうち、花粉の発生源対策では、住宅などに使う木材のスギ材への転換を進めたうえで、スギの人工林の伐採面積を現在の年間5万ヘクタールから7万ヘクタールに広げ、10年後にはスギの人工林を2割程度、減少させることを目標に掲げました。

そして花粉の少ないスギの苗木やスギ以外の樹種への植え替えを進めるとし、10年後にはスギの苗木の生産のおよそ9割以上を花粉の少ないものにするとしています。

また、飛散対策としては、薬剤の改良や効果的な散布技術の開発を促進し、5年後に実用化のめどを立てるほか、来年3月までにAI=人工知能などを活用し、花粉の飛散を予測した詳細なデータを民間企業に提供するとしています。

政府としては、こうした取り組みによって、30年後には花粉の発生量の半減を目指すなど、多くの人を悩ませる花粉症の解決へ道筋をつけたいとしています。

岸田首相「将来見据え取り組み実行」

岸田総理大臣は「花粉症は、実効的な対策が行われず、いまだ多くの国民を悩ませ続けているわが国の社会問題と言えるものだ。一朝一夕で解決するものではなく、しっかりと将来を見据えて取り組みを着実に実行することが必要だ」と述べ関係閣僚に対し、決定した新たな対策を速やかに実行に移すよう指示しました。

野村農相 10か年計画を策定し取り組み進める

花粉症対策の関係閣僚会議で新たな対策が決定したことについて、野村農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で「木材の活用も加速させながらスギの人工林を10年後には2割減らし、将来的には花粉量を半減させる取り組みに集中していきたい」と述べました。

そのうえで、農林水産省としてもスギの人工林の伐採と住宅などに使う木材のスギ材への転換を進めるための10か年計画を策定し、取り組みを進める考えを示しました。