技能実習制度見直しへ 有識者会議 制度の存廃や再編含め論点に

外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度を見直すため、14日から政府の有識者による検討が始まり、制度の存廃や再編も含めて論点とすることが了承されました。

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、発展途上国の人材育成を主な目的とする一方、実際は労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっていて、目的と実態がかけ離れているといった指摘も少なくありません。

制度の見直しに向けて政府の有識者による検討が始まり、14日の初会合には有識者会議の座長を務めるJICA=国際協力機構の田中明彦理事長らが出席しました。

冒頭で田中座長は「外国人との共生社会としてありうるべきは、安全・安心で、多様性に富んで活力があり、個人の尊厳と人権を尊重した社会だ。この3つが実現する制度を検討したい」とあいさつしました。

今後の論点として、
▽技能実習制度を存続するか、廃止するか、
▽人手不足の12分野で外国人が働く「特定技能制度」に一本化して再編するのかなどのほか、
▽技能実習生の受け入れを仲介する監理団体の在り方などを含めて検討することを了承しました。

委員からは「制度の目的と実態がかい離していることは明らかで、人権侵害と結び付く構造的な原因だ」などの意見が出された一方で、実習生に日本の技術を学んでもらうことで国際貢献を担っているという意義もあるという意見も出たということです。

有識者会議は、関係団体から聞き取りを行うなどして来年春に中間報告をまとめ、秋ごろをめどに最終報告書を提出する予定です。